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はじめに

 ↑前田利家の銅像
   (金沢市兼六園下)
 前田利家は、織田信長や豊臣秀吉、徳川家康に比べるとマイナーな印象があって、これまでの大河ドラマや小説などでは常に脇役でした。
 NHK大河ドラマ「利家とまつ」(平成14年)の放送で、ようやく脚光を浴びて表舞台に登場したという感じです。
 加賀百万石の地元金沢市でも、よほど歴史にくわしい人でないと、前田利家の名前は知っていても、どのような生涯を送ったのか知らないという人が多いのではないでしょうか?
 恥ずかしながら私もその一人で、「利家とまつ」の放送は、私に地元の歴史に関心を持たせてくれる大きなきっかけになりました。

 前田利家の生涯は、大きく二つの時代に分けられると思います。
 槍の又左、かぶき者の又左と呼ばれて信長に仕えた時代。そして、大老として豊臣政権を支えた時代です。
 利家の没後、いっきに徳川家康が天下取りに突き進んだことが、利家の存在がいかに大きかったかを示していると思います。



 註 「利家とまつ 加賀百万石物語」
        ・・・・2002年のNHK大河ドラマ。1月6日〜12月15日まで毎週日曜日に全49話放送。
           脚本:竹山洋  出演:唐沢寿明、松嶋菜々子、反町隆史、酒井法子、天海祐希、香川照之、田中美里。

■ 前田利家の略歴  Contents
 利家は尾張国愛知郡荒子(名古屋市中川区)で二千貫の領地を有する前田利昌(利春)の四男で、幼名は孫四郎。織田信長に小姓として仕え、戦功を立てました。
 永禄12年(1569)兄利久に代わって前田家当主となり、天正3年(1575)越前府中3万石を与えられ、天正9年(1581)能登一国を領する大名となりました。
 信長が本能寺で倒れた後、豊臣秀吉に臣従して、加賀国の北半国を加増されて、金沢城を居城としました。
 豊臣家の宿老として筆頭格の地位にあり、秀吉を補佐。秀吉の愛息秀頼の後見を託されます。並立する徳川家康の野心を知りながらも、健康を害し、慶長4年(1599)閏3月3日大坂で亡くなりました(62歳)。

 前田氏は菅原道真の末裔とされ、他に藤原姓ともいわれますが、確かな姓は不明。
 豊臣期には、利家は秀吉から許された豊臣姓を名乗りました。慶長10年(1605)三代利常は徳川家から松平を称することを許されましたが、利常は松平(源姓なので)を避けて「文」の神である菅原道真の子孫にこだわったそうです。


 ■ 利家とまつ

 ■ 関連年表

 ■ 利家に関わる人物たち

 ■ 利家の子供たち

■若い頃の利家
 若い頃の利家は喧嘩好きのかぶき者でした。かぶき者とは、常識はずれの服装や行動で自分を誇示する者で、現代の悪ぶった茶髪のツッパリ兄ちゃんみたいな感じでしょうか。
 6m以上もある槍(鑓)を持った利家を町で見かけると、人々は「又左衛門の槍」が来たと言って、道を変えて敬遠したそうです。いわば利家の槍は嫌われ者の象徴だったのですね。

 利家は容姿端麗だったといわれています。男が容貌を美しいといわれても誉められたことにならない戦国時代に、そのような話が伝わるのは、よほどの美男子だったようです。
 推定身長約180cmで、当時としてはかなりの長身です。長身でハンサム、かぶき者のおしゃれとくれば、年配者には敬遠されても、城下の若者や女の子たちには人気があったと思います。

 利家は主君織田信長の寵童だったといわれますが、信長の身長は166cmくらいです。華奢な美少年ならともかく、大男の利家と、そのような関係が成立するものか、想像ができません。
■ 賤ヶ岳合戦における前田利家について

 賤ヶ岳合戦は織田信長亡き後、天正11年(1583)4月、天下を狙う秀吉と、信長の北陸方面軍司令官だった柴田勝家が争った合戦です。最初は両軍が対峙し、膠着状態になりました。秀吉が岐阜の織田信孝に対するために戦線を留守にし、大垣に移ったのを見た柴田勝家軍の先鋒、佐久間盛政が突出。ところが意外にも、秀吉は大垣・木之本間52qをわずか5時間で走り戻り、佐久間盛政隊を追い崩したのです。この時、前田利家・不破勝光・金森長近たち与力大名が戦線を離脱しました。このため柴田勝家全軍が崩壊し、北ノ庄めざして潰走することになったのです。

 この前田利家の行動を、敗北の原因になった「裏切り」として非難する人がいます。
 確かに裏切りにちがいありませんが、彼らは柴田勝家の家臣ではありません。信長から勝家にあずけられた同僚であり、どちらに味方するのも自由です。ただ、利家には柴田勝家に個人的恩義があり、おやじ様と呼んで親しんでいました。一方の秀吉とも深いつき合いがあり、どう行動するか悩んだにちがいありません。その結果が戦線離脱だったのでしょう。

 勝家は利家の裏切りを責めないで、人質(利家の三女・麻阿まあ)を送り帰しました。柴田勝家とは、なんといさぎよい男でしょう。利家は穴があったら入りたい気持ちだったにちがいありません。人質に出してあった娘を無事に帰してくれて、感謝の気持ちでいっぱいだったことでしょう。このあたりは小説版「利家とまつ」(竹山洋著・新潮文庫)では感動的に描かれています。

「裏切り」に関して、現代人の道徳や倫理観で判断するのはまちがっています。利家と柴田勝家の関係は個人的なものです。家の存続が係るとなれば別問題で、それは勝家も承知していたはずです。
 戦国時代は、生き残らなければならない。どちらに味方するのが家のために良いかを判断し、家を存続させることを第一に考えるのが常識です。たとえ数十万石の大封を与えられていても、存続させなければ何の価値もありません。

■ 利家に天下取りの野望はあったのでしょうか?

 利家は「律儀者」といわれています。秀吉を補佐して天下統一に協力してきたのですが、一生補佐役で終わるつもりだったのでしょうか?。野心を持たず、補佐役に徹するだけのお人好しだったのか?。
 私は「律儀者」というのは案外、演技だったのかもしれないと思います。機会さえあれば天下を狙う気持ちがあったのかもしれません。戦国時代に生きる武将として、その方が自然なのではないでしょうか。

 徳川家康や毛利輝元らとともに五大老の一人であり、秀吉の信任が厚く、秀頼の後見を任されたほどの利家ですが、同僚の諸侯たちの中には、利家を家康の有力な対抗馬と考えていた者が多かったようです。
 また利家は彼ら諸侯たちに人気がありました。槍ひとすじで幾多の戦場を経験してきた武将として尊敬されていたのです。この尊敬は天下人秀吉でさえ及びもつかないものです。
 ある時、聚楽第の一室に気の合った諸大名が集まって、秀吉亡き後はだれが天下を取るかという話になりました。だれかが「内府(家康)だろう」というと「あのケチンボに天下が取れるものか」と利家ファンの蒲生氏郷がいいました。そして「天下を取るのは、ほれ、彼の親父どのさ」とその場にいた利家の息子の利長を指さしたそうです。だれもが皆、なるほどと納得したとか。

 利家はその頃、家康の天下取りの野望を見抜いていたようです。また家康が天下人たる実力と人望を備えていることもわきまえていました。利家も天下取りの気持ちを持っていたかもしれませんが、彼は病魔に冒されていて、健康面で自信がなかったようです。
 そこで、自分の跡を継ぐ利長の器量と、前田家の将来を考えて、天下を争うより家の存続を選択したのだともいわれています。

 五大老・・・徳川家康、前田利家、毛利輝元、上杉景勝(小早川隆景の没後就任)、宇喜多秀家。
 当時は「五大老」という語はなく「奉行衆」と呼ばれ、石田三成ら「五奉行」は「年寄共」と呼ばれていたようです。

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