【薔薇ノ木ニ初恋ノ花咲ク】 秘密ノ結末 【初恋ノ木ニ純愛ノ花咲ク】    ・・・ 2006.8.5


に後押ししてもらい、部屋を出たときにはもう既に心に迷いはなかった。
男など、決して恋愛の対象ではないと思ってきただったが、惚れてしまえば性別など関係ない。
似たようなことを言っている人間は、今まで何人も見てきたが、まさか自分が同類になるとは思いも寄らなかった。
全ての始まり、薔薇の木が目の前にある。
辺りを見渡すが、繁の姿が見えない。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

しばらくそこにいたが、は意を決して繁の家を訪ねることにした。
もう既に日が暮れてしまっていたため、雑木林の中は真っ暗だったが、白い塀が見えると安心した。
身軽に跳び越えようとして、塀の上で動きを止めた。
その先に見覚えのある後姿があったから。

「・・・くん・・・?」

ゆっくりと振り返る。

「はぁ・・・はぁ・・・」

走ってきたため、肩で息をするを見て、繁が目を擦る。
夢ではないだろうかというように。
しかし、その漆黒の艶やかな長い髪は・・・見紛うことはありえない。

「ああ、来てくれたんだね・・・。もう、会ってくれないかと思ってた。・・・・嬉しいよ」

言いながら目を細め、本当に嬉しそうに繁が微笑んだ。

に・・・会った・・・ん・・・だな」

言わなければならないことはもっと他にあるはずなのに、口から出たのはそんなどうでもいい内容。
己の素直じゃなさを、はこれほど呪ったことはなかった。

? ああ、薄茶色の髪の子のことかな? ほら、いつまでもそんなとこにいないでこっちに降りておいで」

そんなの思考をお見通しだというように、ゆっくりと両手を広げて繁が言った。

「・・・なんだ、その手は」

「ぼくの腕の中に、降りておいで」

「・・・・・・・」

「あ、疑ってるね? もう虐めないよ。そんな必要もなくなったからね」

語尾がやけに辛そうだ。しかし、暗くてよく見えないがその瞳は優しげに見える。
・・・月村に、何かあったのだろうか。

「・・・・」

無性に腹立たしくなり、はわざと両手を広げる繁を避けて、少し離れたところに飛び降りた。
・・・はずだった。

「・・・・・・・・・・・素直じゃないわりに、やることが単純だよね」

見事に抱きとめられた。

「は、離せ・・・っ。そして、降ろせっ」

気が付けば、いつの間にか繁にしっかりと抱きしめられている。

「また、そんな可愛くないことを言う」

「・・・・・・っ」

繁の声が少しだけ意地悪を含んだものに変わり、が無意識に身を硬くする。
それがわかったのか、繁は口元を緩めた。
そして、の耳元にその形の良い唇を寄せた。



抱きしめられたまま耳元で優しく名を呼ばれ、は戸惑う。

「好きだよ」

「え・・・?」

は?」

この男は、自分の敬愛する水川抱月であり、月村のことが好きで、あんな狂った計画に手を貸して、
それで自分にあのようなことをさせて、思い出すだけでも恥かしい屈辱的なことをして・・・。
それなのに、好きだと言われて、どうしてこんなにも胸が甘く疼いてしまうのか。
理由など、わかりきっている。

「・・・・」

しかし、自尊心が邪魔をして、それを口に出すことが出来ない。

「ぼくにだけ、言わせるつもり?」

「言わなくても・・・わかっているだろう?」

「そんなの、言わなきゃわからな・・・・・・え?」

繁の目の前が、更に暗くなった。
その先の言葉は声になる前に、がその唇で吸う。

「これが君の答え?」

「・・・・・」

俯きながら、ほんの少しだけ頷いてみせる。

「嬉しいよ・・・・・あぁ」

「な・・・なんだ、変な声を出して」

「君があんまりにも可愛いことをするから・・・・」

ぎゅっと抱きしめる腕に力を入れる繁。
着物越しに、少し熱を持った繁自身がに触れた。

「なっ!?」

「さぁて、どう責任取ってくれるつもりかな?」

「ど、どうして俺が、責任を押し付けられるんだ!!馬鹿!自分でなんとかしろ!!」

じたばたと暴れてみるが、やはり繁の腕はびくともしない。
わかってはいたが、これが暴れずにいられようか。

「おや、冷たいことを言うね・・・お仕置きだ」

楽しげな繁の声と共に振ってきた、小鳥のついばみのような口付け。

「やめ・・・くすぐった・・・いっ」

まるで子供がじゃれるように、顔中に軽い口付けを散らされ、身を捩って耐える。
そして、結局・・・大量の本に囲まれた繁の部屋で、絡み合っているこの状況に、が思わず苦笑する。

「どうかした?」

「いや・・・何故こんなことになったのか、考えていた」

繁のあぐらに、正面から跨るように乗せられたが答える。

「へぇ、それは、余裕ってこと?」

「どうしてそうなるんだ」

「時に君は・・・・する方とされる方、どちらがいい?」

色気も何もないこの聞き方が、まさしく繁である。
が、何と答えたものかと思案していると、先手を打つように繁が言う。

「ぼくとしては、する方がいいんだけれど」

「だったらどうして聞くんだ」

「君、女扱いを極端に嫌うだろう? それに耳を貸す気がなくても、一応希望くらいは聞いておいてあげないとって思って」

優しいだろう?と付け加えて、どこか得意げに繁が言う。

「耳を貸す気がなくてもだと!?」

「うん、そう」

耳を疑う勢いで聞き返したはずの台詞も、あっさりと肯定されてしまえば、二の句は次げない。
が、こめかみを押さえた。なんという男を好きになってしまったのだろうか。

「もう一度聞くが、耳を貸す気は、ないのか?」

「そうだねぇ・・・言い方にもよるかな? 例えばもし、君が可愛く、させて下さいって言えば、考えてあげるかもね」

「・・・・」

「ま、言わないとは思うけど」

「・・・違う」

「何が?」

「その、別に・・・いや・・・その・・・」

「ん?」

が妙に口篭る。
好きだとすら言えなかったこの口が、よもやそのようなこと−−−されてもいいなどと、言えるはずがない。
言おうとした発言を脳内からも撤回しようとした、まさにその瞬間。
繁が、何かに気が付いたような顔をした。

「もしかして・・・?」

「ばっ、違う!誤解だ!!」

焦って否定したが、それが逆効果だったことは、繁の表情を見れば一目瞭然だった。

「なーにーがー?」

にやにやと笑う繁。この顔は、の心を完全に見透かしている。
は羞恥と身の危険を感じ、大慌てで繁から離れようとした。

「駄目だよ、逃がさない」

腰に回された手が、をきつく抱き寄せる。
互いに硬くなった自身が触れる感触。のものは繁の腹の辺りに。そして繁のものはの尻に。

「う・・・」

「言ってごらん?」

「なに・・を・・・っ」



繁はたしなめるように、名を呼ぶ。腰にくるような、とろける官能的で甘い響き。
たまらなくなり、はついに観念した。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・す、すれば・・・いいだろう」

目を逸らし、これが限界と言わんばかりに、蚊の鳴くような声で言う。

「ああもう、どうして君はそんなに可愛いんだろうねぇ」

あっという間に押し倒されて服を脱がされる。

「ご褒美に、優しくしてあげるよ」

「あ・・・っ」

の身体は、繁からの愛撫を待ちわびていたかのように熱くなる。
両胸の紅い点をゆっくりと舐られるたびに、自分のものではないような甘い声が漏れる。
きつく吸われれば、自然に身体が悦びに震えた。

「んっ・・・・・・あ・・・・」

「気持ちいい?」

「・・・・な、こと・・・・・いちい・・・ち聞くな・・・」

「こっちも、だいぶ大きくなってるみたいだけど?」

の熟れたものを、その手にやんわりと包み込み、上下に優しく扱く。

「ああっ・・・・・はぁ・・・・・んっ・・・んっ」

「可愛いよ・・・

繁はの先から零れる液体をその指に絡め取り、その奥の秘部に押し当てた。
ゆっくりと、ほぐすように挿入していく。

「あっ・・・・・ああっ・・・・ん・・・あぁ・・・」

ゆっくりと息を吐く。身体中の神経が全てそこに集中してしまったような奇妙な感覚。

「繁だよ」

「しげ・・・・・・・・るっ・・」

「いい子だ」

耳元で低く囁かれれば、脳内が麻痺したような感覚が襲う。

「んっっ!!」

いきなり電気のような衝撃が走り、が目を見開いた。

「隠しても無駄だよ。君のいいところは全部知ってる」

その台詞が嘘ではないということを証明するように、の弱い部分を強弱をつけて突いてやる。

「ぁあっ・・・・・あっ・・・・・あぁっ・・・・ア・・・やっ・・・やめ・・・・」

「そろそろ欲しくなった?」

既に抵抗する気も失せたらしく、くたりと自分に全身を委ねているに向かって、繁は意地悪く問う。

「どう・・・して・・・・あん・・・たは、そんっ・・・なに・・・・・意地が・・・悪い・・・ん・・・だっ」

「さて、どうしてだろうねぇ? あ、今、あんたって言ったね? さっきはちゃんと名前で呼べていたのに・・」

剣呑に光る繁の蒼い眼。がまずいと思っても、今更だった。

「・・・お仕置きだ」

聞きなれたその台詞。今のにはそれすらも、甘美な響きを持って聞こえる。
それはそれは楽しそうにを抱え上げると、座った体勢の自分の上にゆっくりと降ろしてゆく。

「ああああっ・・・・待・・てっ・・・ちょっ・・・・・ああっ」

の止める声を綺麗に無視して、自分自身の上に沈めていく。
完全に静めると、その細い腰を持ちゆっくりと揺する。

「ああっ・・・・もぅ・・・・ああ・・・・ああ・・・・」

既に余裕の欠片もない声が、の口から漏れる。

「く・・・ぅ」

達する時期が近いのだろう、無意識に締め上げるに、繁も細い眉も寄せ、苦しそうに息を吐く。
薄く目を開ければ、白い肌と漆黒の髪の対照的な色合いが、をより卑猥で美しく見せる。
腰を掴まれ、揺すられて、上半身をいやらしくくねらせる。
身を仰け反らせ、与えられる強すぎる快楽に耐えるその姿は、自分が今まで文章で表現してきたどの場面よりも美しく官能的だ。
まさに眩暈の起きそうな甘美な誘惑。そんなことを考えていると、繁の余裕もそろそろ危うくなってきた。
このままではよりも早く達してしまいかねない。

「だ・・・め・・・そこ・・・あぁ・・・・」

わざとの弱い部分を狙って甘く揺すってやる。
しつこく、これでもかというほどに。

「あ・・・・ア・・・・っ・・・・・・・っ・・・っ・・あっ・・・・あああああっっ」

「・・・・・ぅ・・・くぅ・・・っ」

同時に果てる。
がその青味を帯びた切れ長の眼だけを、ぐったりと四肢を広げて快楽の余韻に浸る繁に向ける。

「・・・・・・・・繁」

「うん?」

「その・・・・好き、・・・だ」

一瞬、あっけに取られた繁だったが、すぐにいつもの余裕の表情に戻ると、得意げに言う。

「・・・知ってたよ」

その後、どちらが先だったかは定かではないが、ひとしきり二人で笑いあった。
胸の奥に何かくすぐったいものを感じながら、が些か照れくさそうに繁に寄り添う。

「でも、いいのかい? 彼・・・えぇと、くんだっけ? 君のこと、好きだったんだろう?」

「ここへ来たのはが行けと言ってくれたから・・・だ」

「・・・そう。 君はなかなか罪な男だねぇ」

「なんだそれは」

「ねぇ、もう一度君の方から・・・・からキッスしてくれない?」

「・・・俺のは高いぞ?」

「ん〜・・・・・・・・・それじゃ、身体で返すってのはどう?」

「・・・馬鹿」

の呆れ声の後、互いの唇は吸い寄せられるように静かに重なった。



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