詩 Z
深い海の色について

葬列は続く

羊の群れのように 夕暮れの岡を

寒村の砂丘 吹きすさぶ風の中を

黙々と黙々と

遺影は想い出

その足跡は犯した罪の歩数を語る

焼き場へと続く道

曇天の空と陸の境目までか

異国へ続く海の彼方までか

果たして 花々の咲く

魂の鎮まる草原は 何処にあるというのか

遠くでは 戦の黒煙が無数に立ち登り

風は 生けるものの 悲しみ 嘆き 憎しみを伝えている

瓦礫の街に 立ち尽くす母と子に

無情の宙を飛ぶ鳥の群れは何も語らない

昔も今も

悲劇の連鎖を告知するかのように

土埃を立てて軍靴の音は 街中を通り過ぎる



それでも尚 葬列は続く 密やかに 輪廻の中で

埋められた者達だけが

深い海の色を知るかのように