詩 \
  残 照
いつの間にからの眠りから覚めると

車窓からは雨のふる海がみえていた

黒く煙る島影は

遠い想い出のかけらの様に ゆっくりと過ぎて行き

夢はふたたび愛の罪に 虚ろな空を彷徨いはじめた

私は今まで 何を求めて生きて来たのだろうか

果てない旅の日常は 帰るべき場所の記憶か

無数の恥のかきすてに 魂は千々に乱れ

舞い降りては 堪えず私を攻め立てる

穏やかな日溜りに憧れつつ その情景を片隅で軽蔑し

愛欲の祭りに この身をやつし落ちてゆく 落ちてゆく

無限地獄の後悔がまた私を錆付いた鎖で深い穴倉に閉じ込める

それでも いつか

暗い雲の隙間から 一条の光が海を照らし

舞台照明のように 束なり 重なり

救いを乞う私の車窓を照らしてくれるなら

落日の中

あなたの 赦しの腕の中に帰っていこう