岡崎忍個展「木瓜」

富山市民プラザ2F ギャラリーA
1996, 1月14日

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■会場は春を待つ心のエネルギーを表現する岡崎さんの作品と、肉体からわき出る不思議な力強さと繊細さで木瓜を表わす山本さん、白榊さんのそれぞれの世界が広がり、幻想的な雰囲気に包まれた。  朱赤の木瓜二百本余りが岡崎さん自ら溶接した住宅用建材の花器にふんだんに生けられ、木瓜が持つ生命力で春を待つ心の強さを表現している。
 セッションでは、真っ黒の衣装の山本さんと白い衣装の白榊さんが会場全体を使ってダイナミックな動きと指先や視線などにも細心の注意が払われた繊細な動きで木瓜の持つ魅力を表現した。  訪れた鑑賞者は華道と舞踏が織りなす神秘的な世界に釘付けとなった。セッションを終えた山本さんと白榊さんは「お互い前衛の要素の強い舞踏と華道なので、セッションに違和感はなかった。忍さんの世界にまったく違う私たちの空間を持ち込むおもしろさがあった」と話した。  岡崎さんは「だれもやったことのないことへの挑戦だった。前衛舞踏との組み合わせで、新たな側面から華道を楽しめた」と充実した個展を振り返った。■
記事 宮下保子


「舞踏 in 木瓜 (ぼけ) 」

舞踏 : 山本 萌、白榊ケイ
草月流 : 岡崎 忍

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 正月気分が残るなか、華道展で踊るのは身が引き締まる気持ちでした。広いホールの中央に四角く閉じられた鉄さくの骨組みに、大きく生けた木瓜(ぼけ)の赤い花ばなが清楚な空間を作り出していました。私達はこの正方形の木瓜と関わって踊るわけですが、ぐるりと囲んだ白い壁にも室内を飾るように鉄の断片と木瓜一枝が生けられていました。

 無料の2 回公演でしたが、マチネーの時、人が多くて四方の壁を埋めてしまいました。登場してから観客に対して、方向性を与えようと考えていましたが、近ずいても思いのほか移動せず、逆に四方から見つめられる事になりました。私達にとって計算外で、四方に気をくばる事によって二人の動きがずれだし、キッカケをはずす事になってしまい、呼吸の合わない舞台になってしまいました。2 回目は一方の壁を背景にするために、事前に観客に空けてもらいました。やっと、呼吸を合わせる事ができました。

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 舞台の本番というのは観客の真剣なまなざしに伴い、舞踏手にとっても、とても緊張が高まっていきます。しかし、バランス良い緊張感は決められた動きの上に、新しいインスピレーションを生み出すものです。それが泉のように湧き出てくると舞踏家にとってこの上もない喜びです。

 このときの新しい発見、木瓜展での出会いは鉄柵の上に登った時に現われました。本来は展示物は静止物で、空間を飾って位置しています。私が不安定な鉄柵に手をかけて登ろうとした時、鉄柵が動き、生けられて静止していた木瓜の木々と花々がサワサワと揺れたのです。この時私は木瓜に出会い、その瞬間「木瓜をざわめかせる」というインスピレーションが湧き上がりました。鉄柵の上に立ち、足元をゆすりました。身近かな木瓜の枝からザワザワとゆれた動きがひろがっていきます。

 ー古い華道の世界の生けられた花を動かすー これだけで舞踏家・山本萌と草月流・岡崎忍との出会いがあったと言えると思います。立って見てくださった観客に感謝いたします。

( 文章: 山本萌 写真: 菊 昌治 )


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