007映画DVD
    

 世界で最も有名なスパイ、英国海外秘密情報部員007号ジェイムズ・ボンドが巨大な国際犯罪組織と戦うアクション物語。
 スリリングなオープニングと華麗な主題歌。暗躍する強敵、魅惑的な美女。さまざまな秘密兵器とボンドカー。

 「007」は、当初は「ゼロゼロセブン」または「ゼロゼロナナ」と言われていました。
 日本で正式に「ダブルオーセブン」となったのは映画第8作「死ぬのは奴らだ」(1973年)からです。

 英国海外秘密情報部の00ナンバー部員は任務中に敵の殺害を許される、「殺人許可」を与えられています。
 第1作「ドクター・ノオ」に「007は殺しの番号」とはうまい邦題をつけたもので、第16作「消されたライセンス」は、命令に背いたことで、その許可を取り上げられる話です。
 1962年に始まった映画「007シリーズ」は現在までで全23作。私を虜にしています。

 私が「007」を知ったのは、中学1年生になったばかりの頃。
 友人に見せてもらった雑誌「ボーイズライフ」(小学館)に載っていたさいとう・たかをさんの劇画「死ぬのは奴らだ」を読んだ時で、生き餌倉庫の場面の、その一部分だけが忘れられない記憶になっています。

 中学2年の時に、小学館ゴールデンコミックスで刊行された劇画「死ぬのは奴らだ」と「サンダーボール作戦」をまとめて読んで、その後、講読を始めた「ボーイズライフ」での「女王陛下の007号」と「黄金の銃を持つ男」の連載を読むのが楽しみでした。
 当時はまだ中学生だったので映画館には保護者同伴でないと入れず、日本ロケで話題になっていた新作映画「007は二度死ぬ」(67)を見ることはできなかった。

 高校生になって、イアン・フレミングの原作小説(早川ポケット・ミステリ9冊と創元推理文庫5冊)を全部そろえて愛読しました。
 映画を見たのはそのあとで、高校2年の3学期に「女王陛下の007」(69)が公開されて、それを見たのが初めてです。

 そんなわけで、私にとっての「007」はさいとう・たかをさんの劇画にはじまり、イアン・フレミングの原作小説を読んで、それから映画を見た、という順になります。

 2006年11月22日に映画全20作品のDVD「アルティメット・エディション」が発売されました。
 デジタル処理による高画質化がなされ、音声も全作品がDTS5.1chサラウンドになり、日本語吹替えも収録されています。
 特典映像も豊富で、制作に関連する「ドキュメンタリー」や「メイキング」などが2枚組として別ディスクに収められています。
 日本語吹替えでは、ショーン・コネリーの若山弦蔵さん、ロジャー・ムーアの広川太一郎さんの声が聴けるのが嬉しい。ジョージ・レイゼンビーの小杉十郎太さんもナイスです。




 2006年に20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社より発売された「アルティメットエディション」全20巻。
 定価2990円(+税)だったが、現在は半額の1490円になった。20%OFFの店なら1192円で買えます。
 本編ディスクのみの1490円(税込)版も発売されましたが、アルティメット版と同じ価格なので、どうせ買うなら、特典ディスク付き2枚組のアルティメット版の方がお得です。

 最高傑作の「ロシアより愛をこめて」(63)を除いて、ベスト5を選ぶとすれば、
 「ゴールドフィンガー」(64)、「女王陛下の007」(69)
 「オクトパシー」(83)、「消されたライセンス」(89)、「トゥモロー・ネバー・ダイ」(97)でしょうか。
 ジェイムズ・ボンドを演じた俳優たち   (普通はジェームズですが、私は早川書房にならってジェイムズと表記しています)
■ショーン・コネリー Sean Connery
    1930年8月25日、エジンバラ生まれ。

 007号ジェイムズ・ボンドといえば、「やはりコネリーだね」という人が多いと思います。野性的でありながら礼儀正しく、上流社会(カジノなど)でも違和感のない格好良さ。

「サンダーボール作戦」(65)の時にはまだ35歳でしたが、老け顔なのでしょうか、ラブシーンが似合わなくなった感じがします。
「ボンドのイメージに固定されたくない」として第5作「007は二度死ぬ」(67)を最後に降板。そのままやめておけばいいものを、第7作「ダイヤモンドは永遠に」(71)に、一作だけど復帰したのはいただけない。
 現在まで大物スターとして活躍(2006年4月俳優を隠退宣言)を続けていたのは、さすがです。
 [代表作] 「史上最大の作戦」(62)、「マーニー」(64)
         「風とライオン」(75)、「ザ・ロック」(96)

■ジョージ・レイゼンビー George Lazenby
    1939年9月5日生まれ。オーストラリア人。

 ボンド役を降りたショーン・コネリーに代わり、第6作「女王陛下の007」(69)で二代目ボンドに抜擢されました。
 モデル出身ということで、演技がぎこちないけど、長身でハンサム、上品さや健康的な体格を備えてボンドのイメージに近いと思います。

 人気のあったコネリーの後を継ぐという不利な出演でしたが、私は気に入ってます。
 1作だけでなく、あと2、3作あれば彼なりのボンドキャラが確立できただろうに、惜しいことです。
 「女王陛下の007」では、敵のアジトからスキーで脱出。麓の町で開催中のスケート競技の群衆に紛れ込み、追っ手から隠れるシーンは、無敵のスーパーマンではなくて現実的。

■ロジャー・ムーア Roger Moore
    1927年10月14日、ロンドン生まれ。

 コネリーが「ダイヤモンドは永遠に」(71)に1作のみ復帰したが、次の第8作「死ぬのは奴らだ」(73)から三代目ボンドとなる。シリーズ中、最多の7作品に出演。

 コネリーやレイゼンビーと異なって、顔が甘すぎて殺し屋としての冷酷さに欠けるようです。
 役では、野性味を感じない都会的な紳士であり、ユーモアを強調した愉快なオジさん。その反面、敵に対しての非情さを意識的に入れている感を受ける。女性との関係も図々しいけど、コネリーのようなイヤらしさがなくて、笑って許せる良い感じ。
 歴代ボンド俳優では最年長で、「死ぬのは奴らだ」は46歳、「美しき獲物たち」(85)は58歳である。
 「代表作] テレビ「天国野郎セイント」。
        映画「ゴールド」(74)、「北海ハイジャック」(80)

■ティモシー・ダルトン Timothy Dalton
    1946年3月21日ウェールズ生まれ。

 ロジャー・ムーアに替わって第15作「リビング・デイライツ」(87)からボンドを演じる。41歳の精悍で重厚、硬派で渋いボンドになったが、次の「消されたライセンス」(89)と2作のみの出演。
 英国王立演劇芸術学校で演技を学んだシェイクスピア俳優である。英国紳士でありながら、殺し屋としての冷酷な感じもあって、彼のボンドは良いですね。
 故ダイアナ妃が「彼のボンドは、最も原作のイメージに近い」と絶賛したそうです。
  [代表作] 「冬のライオン」(68)「嵐が丘」(71)
          「フラッシュ・ゴードン」(80)

■ピアース・ブロスナン Pierce Brosnan
    1953年5月16日、アイルランド生まれ。

 ティモシー・ダルトンが2作で降りて、第17作「ゴールデンアイ」(95)からボンドを演じる。42歳のボンド。
 ブロスナンは二枚目でスマートだけれど、重厚なダルトンの後では軽い感じがします。でも2作目の「トゥモロー・ネバー・ダイ」(97)では、役も板について、すっかりボンドになりきっています。タイプとしてはロジャー・ムーア系に戻ったようです。

 ブロスナンは子供のときに「ドクター・ノオ」を見て、すばらしい作品だと思ったそうですが、「電撃フリントGO!GO作戦」(66)のジェイムズ・コバーンの方がお気に入りだったそうです。
 「フリントはもう最高にカッコよかった。あんなヘアスタイルにして、あんな歩き方をして、ともかくあんな風になりたかった」といっています。(「ミステリマガジン」2000年11月号)
  [代表作] テレビ「探偵レミントン・スティール」

■ダニエル・クレイグ  Daniel Craig
    1968年3月2日 チェスター生まれ。

 16歳の時にロンドンへ移り、ナショナル・ユース・シアターとギルドホール音楽演劇学校で演技を学ぶ。舞台で経験を積み、TV作品にも数多く出演、映画もいろいろあるそうですが、私は「トゥームレイダー」(01)しか知りません。
 ピアース・ブロスナンに代わって「カジノ・ロワイヤル」で新ボンドを演じる。「ボンドが007になるまでの物語」ということで、初々しく活動的。
 でも時代が現代の設定ということは、これまでの作品はなかったことになる?本作から新スタートという意味でしょうか?
 これまでの歴代ボンドとはイメージがずいぶん変わった感じで、英国紳士でも愉快なオジさんでもなく、マジメなボンドになりました。
 彼のボンドが、もしかして最も原作小説のイメージに近いのかもしれない。39歳、金髪碧眼。



 シリーズ第2作 「ロシアより愛をこめて」はイスタンブールを舞台にした異国情緒たっぷりの傑作。オリエント急行などスパイ映画の雰囲気が濃厚で、アクションシーンも盛りだくさんです。

 第3作「ゴールドフィンガー」の世界的大ヒットにより、007号を知らない日本人はいないと言っても過言ではなくなりました。
 第6作「女王陛下の007」ではコネリーからジョージ・レイゼンビーにボンド役が替わり、原作に最も近い作品として、現在では人気が高い。


 G・レイゼンビーが「女王陛下の007」一作のみで降板し、その後を受けた3人のボンド俳優。

 ロジャー・ムーアは「オクトパシー」など7作に出演。最後の「美しき獲物たち」では58歳で、次作「リビングデイライツ」からティモシー・ダルトン(右)に替わり、41歳のボンドに若返った。
 ダルトンが惜しいかな2作のみで降りて、その後をテレビの探偵ドラマ「レミントン・スティール」のピアース・ブロスナンにバトンタッチ。


 2008年12月19日に、キラキラ光るホログラム・ジャケットにリニューアルされ、同価格の2990円で再発売。
 現在は実売価格1196円になっています。
 内容は旧アルティメット版と同じです。


 これまでBOXのみでブルーレイ単品未発売だった作品がすべて低価格となって発売されました。
 2013年8月現在では、「ドクター・ノオ」から「スカイフォール」まで全23作品が実売価格1490円で買うことができます。
 ボンドガールやその他のキャラクターは、このページの下段をごらんください。 ↓

 タイトル/スタッフ/キャスト  感想        採点 ☆一つが20点 ★が10点
 ドクター・ノオ  Dr. No

製作 ハリー・サルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 テレンス・ヤング
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
撮影 テッド・ムーア
編集 ピーター・ハント
美術 ケン・アダム
音楽 ジョン・バリー
    モンティ・ノーマン
出演 ショーン・コネリー (007号ジェイムズ・ボンド)
    アーシュラ・アンドレス (ハニーチャイル)
    ジョゼフ・ワイズマン (ノオ博士)
    アンソニー・ドーソン (デント教授)
    ユーニス・ゲイソン (シルビア・トレンチ) 
                  1962年 110分 ビスタ
 初公開時のタイトルは「007は殺しの番号」で、シリーズ第1作。
 製作は1962年、日本公開は1963年6月。当時はB級映画扱いで、日本ではそれほどヒットしなかったようです。本当に007が有名になるのは、第3作「ゴールドフィンガー」が大当たりしてから。

 冒頭で3人の乞食が英国情報部のジャマイカ主任を射殺する場面など、イアン・フレミングの小説に大筋では忠実ですが、アメリカの宇宙ロケットの軌道を怪電波で狂わせる陰謀とか、当時の世相を取り込んでいます。
 この後、定番となるボンドガールは、アーシュラ・アンドレスの白いビキニ姿。でも私にはタイプじゃないです。

 ジャマイカの青い海と空の広がり、アルティメット版のDVDは驚くほど画質が美しい。
 ☆☆☆★
 ロシアより愛をこめて
         From Russia with Love

監督 テレンス・ヤング
原作 イアン・フレミング(創元推理文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 テッド・ムーア
編集 ピーター・ハント
音楽 ジョン・バリー
主題歌 マット・モンロー
出演 ショーン・コネリー (007号ジェイムズ・ボンド)
    ダニエラ・ビアンキ (タチアナ・ロマノヴァ)
    ロバート・ショウ (レッド・グラント)
    ペドロ・アルメンダリス (ダーコ・ケリム)
    ロッテ・レーニヤ (ローザ・クレッブ)
            1963年 115分 ビスタ
 シリーズ第2作で、公開時のタイトルは「007危機一発」。
 国際犯罪組織「スペクター」が登場し、オリエント急行やイスタンブールの異国情緒など、本格スパイものの雰囲気が濃厚です。
 オリエント急行内での格闘、ヘリコプターの襲撃、モーターボートでの逃走などアクションシーンが連続して、活劇映画の傑作。
 ボンドとタチアナのラブシーンなど、その表情やしぐさに監督テレンス・ヤングの演出の冴えが感じられる。シリーズ中では最高傑作と思われるできばえで、この作品から007映画の定型ができたと言えるでしょう。

 殺し屋グラントを演じるロバート・ショウは、この後「バルジ大作戦」(65)でドイツ戦車隊の隊長役を演じて印象的な俳優です。
 ボンドガールにはイタリアの美女ダニエラ・ビアンキ。マット・モンローが甘く歌うエンディング曲もロマンチックで良い感じ。
 ☆☆☆☆★
 ゴールドフィンガー  Goldfinger

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ガイ・ハミルトン
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 テッド・ムーア
編集 ピーター・ハント
美術 ケン・アダム
音楽 ジョン・バリー
主題歌 シャーリー・バッシー
出演 ショーン・コネリー
    ゲルト・フレーベ (オーリック・ゴールドフィンガー)
    オナー・ブラックマン (プッシー・ギャロア)
    ハロルド坂田 (よろず屋)
    シャーリー・イートン (ジル・マスターソン) 
    タニア・マレット (ティリー・マスターソン)
               1964年 106分 ビスタ 
 シリーズ第3作。私の最も好きな作品です。
 ゴールドフィンガーの計画は、フォートノックスの金塊を奪うのではなく、原爆を爆発させて金塊を放射能汚染させ、経済破壊を起こさせようというのですね。確かにあれだけの金塊を持ち出すのは大仕事だ。(イアン・フレミングの原作は金塊を強奪するのでしたけど)
 美術担当のケン・アダムがデザインしたフォートノックスの大金庫内、金塊の山の金ぴかセットは必見です。
 ボンドガールのオナー・ブラックマン、大人の女性の妖しい魅力にぞっこんで、もうたまりません。この作品が最も好きなのは彼女のせいかも(笑)。

 DVDの旧版はモノラル音声だったがアルティメット版は5.1chサラウンドになり、クライマックスのシャンパン・リーダーが率いる飛行隊がフォートノックス上空にガス散布するシーンはワクワクするものになっている。
 シャーリー・バッシーが熱唱する主題歌は名曲です。ボンドカーのアストンマーチン初登場。
 ☆☆☆☆★
 サンダーボール作戦  Thunderball

製作 ケビン・マクローリー(名前のみ)
   (実際はハリーサルツマン/アルバート・R・ブロッコリ)
監督 テレンス・ヤング
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
    ジョン・ホプキンス
撮影 テッド・ムーア
編集 ピーター・ハント
音楽 ジョン・バリー
主題歌 トム・ジョーンズ
出演 ショーン・コネリー
    クロディーヌ・オージェ (ドミノ)
    アドルフォ・チェリ (エミリオ・ラルゴ)
    ルチアナ・パルッツイ (フィオナ)
         1965年 130分 シネスコ
 この作品から画面がシネマスコ−プサイズになり、内容も大がかりな大作になりました。
 原爆を搭載したNATOの爆撃機がスペクターに奪われ、英米が一億ポンドを要求される事件が勃発。00メンバーが総動員され、ボンドはジャマイカへ。

 スペクターの「No.2」のラルゴを演ずるアドルフォ・チェリの貫禄。悪役の貫禄は重要な要素ですね。それとヒロイン、ドミノ役のクロディーヌ・オージェの優雅でシャープな美しさも魅力的です。水着姿など、現代ではなんでもないけど、当時の子供たちには刺激的だったようです。
 クライマックスの、空から降下した海兵隊とスペクターとの大がかりな海中戦闘シーンも見所です。
 トム・ジョーンズが渋く歌うオープニングタイトルの格好良さ。
 ☆☆☆☆
 007は二度死ぬ  You Only Live Twice

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ルイス・ギルバート
原作 イアン・フレミング
脚本 ロアルド・ダール
撮影 フレディ・ヤング
編集 ピーター・ハント
美術 ケン・アダム
音楽 ジョン・バリー
主題歌 ナンシー・シナトラ
出演 ショーン・コネリー
    ドナルド・プレザンス(ブロフェルド)
    丹波哲郎(タイガー田中)
    若林映子(アキ)
    カリン・ドール(ヘルガ)
    浜美枝(キッシー鈴木)
        1967年 117分 シネスコ
 シリーズ第5作。大掛かりな日本ロケがおこなわれ、話題になった作品。
 スペクター一味、大里(島田テル)のアジトはホテル・ニューオータニ。日本の秘密機関が訓練をおこなっているのは姫路城で撮影された。
 丹波哲郎、若林映子、浜美枝など、日本の俳優が出演。大相撲の横綱佐田ノ山も特別出演。若林映子嬢が颯爽と運転するトヨタ2000GTは現在では幻の名車といわれる。

 阿蘇山の火口の下にスペクターの秘密基地があるという設定。「リトルネリー」というミニコプター(実在する)のボンドと敵のヘリコプターの空中戦。
 日本秘密機関の忍者部隊が攻撃するクライマックス。スパイ映画から脱線して奇想天外な活劇映画になってしまったが楽しめる一編。日本の描写が愉快。

 ただ現在、再見してみると、ボンドと丹波さんが風呂で女性にサービスさせるシーン、女性差別を感じますね。男性上位の日本では女性は男につくすものという外国人の思いこみ(羨望?)でしょうか。
 ☆☆☆★
 女王陛下の007
      On Her Majesty's Secret Service

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ピーター・ハント
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 マイケル・リード
音楽 ジョン・バリー
エンディング歌 ルイ・アームストロング
出演 ジョージ・レイゼンビー (007号ジェイムズ・ボンド)
    ダイアナ・リッグ (トレーシー)
    テリー・サバラス (ブロフェルド)
    ガブリエル・フェルゼッティ (マルク・アンジュ・ドラコ)
        1969年 142分 シネスコ
 シリーズ第6作。前作「007は二度死ぬ」(67)で取り逃がしたブロフェルドを追ってボンドはスイス・アルプスへ。
 今作ではショーン・コネリーに代わってジョージ・レイゼンビーがボンドを演ずる。あまり評価されていませんが、私にとって初めて見た007映画で、思い入れもあって好きな作品。

 後半、ボンドがスキーで脱出するアクション場面は最高です。インストルメンタルの重低音主題曲も格好良い。
 終盤、トレーシーの父が編成したヘリ部隊がスペクターの山頂基地を攻撃、盛り上がりを見せますが、基地爆破シーンがショボい。ここは盛大に爆破してほしかったです。
 結婚式のボンド、これはショーン・コネリーにはできない役で、新人レイゼンビーならではです。
 ☆☆☆☆
 ダイヤモンドは永遠に Diamonds Are Forever

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ガイ・ハミルトン
原作 イアン・フレミング(創元推理文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
   トム・マンキウィッツ
撮影 テッド・ムーア
音楽 ジョン・バリー
主題歌 シャーリー・バッシー
出演 ショーン・コネリー
    チャールズ・グレイ (ブロフェルド)
    ジル・セント・ジョン (ティファニー・ケイス)
    ラナ・ウッド (プレンティ・オトゥール)
         1971年 120分 シネスコ
 シリーズ第7作。前作でボンド役を降りたショーン・コネリーが、これ1作のみだが再登場。私としてはジョージ・レイゼンビーに演じて欲しかったです。

 コネリーの出演料に製作費を持っていかれたせいか、スケールにとぼしい作品で、悪役ブロフェルドの陰謀も海上の秘密基地もショボいものになっている。
 ボンドカーも登場せず、アクションシーンもラスベガスでの警察相手のカーチェイスが少々。ボンドガールも魅力がないなあ。ダイヤモンドを大量に集めただけでレーザー衛星兵器を造れるのでしょうか?

 コネリーのボンドは往年の魅力がなく、年齢的に無理を感じ、この起用は失敗ですね。007の腰の据わったボンド役が不在で、シリーズの製作方針に試行錯誤しているようです。
 ☆☆☆
 死ぬのは奴らだ  Live and Let Die

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ガイ・ハミルトン
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
脚本 トム・マンキウィッツ
撮影 テッド・ムーア
編集 バート・ベイツ
音楽 ジョージ・マーティン
主題歌 ポール・マッカートニー
出演 ロジャー・ムーア (007号ジェイムズ・ボンド)
    ヤフェット・コットー (ドクター・カナンガ)
    ジェーン・セイモア (ソリテア) 
         1973年 120分 ビスタ
 シリーズ第8作。ロジャー・ムーアがボンドを演じた第1作め。
 大量の麻薬を無料でばらまいて、その後に値をつり上げて巨利を得ようと計画するカナンガ(ヤフェット・コットー)の陰謀は、これまでの奇想天外で誇大妄想狂な悪役たちとは異なって、現実的なものになりました。

 ニューヨーク・ハーレムの黒人街、アメリカ南部ニューオーリンズの湿地帯と南米の仮想国を舞台にしています。黒人社会と南米のブードー教は、当時の黒人映画(「黒いジャガー」など)の流行を取り入れたのでしょうか。
 タロット占いのソリテアを演じるジェーン・セイモアが魅力的。モーターボートのアクションも面白いけど、ロジャー・ムーアがボンドとして定着するには「私を愛したスパイ」まで待たなければなりません。
 ☆☆☆★
 黄金銃を持つ男
       The Man with the Golden Gun

製作 ハリーサルツマン
    アルバート・R・ブロッコリ
監督 ガイ・ハミルトン
原作 イアン・フレミング(ハヤカワ文庫)
脚本 リチャード・メイバウム
    トム・マンキウィッツ
撮影 テッド・ムーア
音楽 ジョン・バリー
主題歌 ルル
出演 ロジャー・ムーア
    クリストファー・リー (スカラマンガ)
    エルベ・ビレシェーズ (ニック・ナック)
    ブリット・エクランド (メアリー・グッドナイト)
    モード・アダムス (アンドレア・アンダース)
         1974年 125分 ビスタ
 シリーズ第9作。1974年12月公開で、同時期の「エマニエル夫人」も同じだけど、香港・マカオやタイを舞台にしている。当時はヨーロッパ人にとってアジアは興味のある国々だったのでは。前年の「燃えよドラゴン」(73)のヒットも影響していると思います。
 東洋人蔑視を感じるという意見もあるけれど、娯楽映画に目くじら立てることもないでしょう。
 非情な殺し屋どうしのシリアスな対決を描けばよかったのに、この作品からユーモア色が強くなりましたね。ロジャー・ムーアのボンドが軟派なので、仕方がないのかな?

 殺し屋スカラマンガ役のクリストファー・リー(ドラキュラ伯爵)は原作者イアン・フレミングの従兄弟で、「ドクター・ノオ」は彼がモデルなのだとか。
 ボンドガールのグッドナイト役はブリット・エクランド。「ダイヤモンドは永遠に」のジル・セント・ジョンもそうだけど、きわどいビキニ水着姿はセクハラでは?。グッドナイト、グーッドナイトというのがラストのエンディング曲につながるのはオシャレですね。
 ☆☆☆★
 私を愛したスパイ The Spy Who Loved Me

製作 アルバート・R・ブロッコリ
監督 ルイス・ギルバート
脚本 クリストファー・ウッド
    リチャード・メイバウム
撮影 クロード・ルノワール
編集 ジョン・グレン
美術 ケン・アダム
音楽 マーヴィン・ハムリッシュ
主題歌 カーリー・サイモン
出演 ロジャー・ムーア
    バーバラ・バック (アーニャ・アマソヴァ少佐)
    クルト・ユルゲンス (ストロンバーグ)
    キャロライン・マンロー (ナオミ)
         1977年 125分 シネスコ
 シリーズ第10作。ロジャー・ムーアのボンド役は3作めになります。
 英国とソ連の原子力潜水艦が相次いで消息を絶つ事件が起こり、英ソはそれぞれに調査のため情報部員を派遣する。海運王ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)が黒幕と判明し、英ソのボンドとアーニャ・アマソヴァ少佐(バーバラ・バック)は協力することに。

 鋼鉄の歯を持つ大男ジョーズ(リチャード・キール)の登場。彼は同時期の「大陸横断超特急」(76)にも似たキャラクターで出演していました。
 ヘリコプターでボンドのロータス・エスプリを追跡・銃撃する美女キャロライン・マンローが、機上からボンドにウインクするのがシビレます。
 この作品、評価が高いようだけど、私にはあまり・・・。だってメイン・ボンドガールのバーバラ・バックが魅力ないんだもの。悪役はがんばってるけどね。
 ☆☆☆★
 ムーンレイカー  Moonraker

製作 アルバート・R・ブロッコリ
監督 ルイス・ギルバート
脚本 クリストファー・ウッド
撮影 ジャン・トゥルニエ
編集 ジョン・グレン
美術 ケン・アダム
音楽 ジョン・バリー
主題歌 シャーリー・バッシー
出演 ロジャー・ムーア
    ロイス・チャイルズ (ホリー・グッドヘッド博士)
    ミシェル・ロンダール (ヒューゴ・ドラックス卿)
    リチャード・キール (ジョーズ) 
        1979年 126分 シネスコ
 シリーズ第11作。前作「私を愛したスパイ」をさらにスケールアップした娯楽大作。
 ヒューゴ・ドラックス卿の「ノアの箱船計画」は先日見た「スカイキャプテン」(04)と似ています。
 スペースシャトルで宇宙ステーションへ。レーザーガンの銃撃戦。初めて見たときは荒唐無稽さを感じたが、今ではシャトルで宇宙へ行くのも特異ではなく、このような作品があっても良いかなと思うようになりました。

 ヴェニスやリオデジャネイロなどロケ地の風景が美しい。ロイス・チャイルズやコリンヌ・クレリー(O嬢です)、その他のボンドガールも魅力的で、胸元が大きく開いた衣装がなかなかセクシーですね。
 ラストは悪役ジョーズに救われるボンド。「スター・ウォーズ」(77)の影響を強く受けた作品。
 ☆☆☆☆
 ロジャー・ムーアは「私を愛したスパイ」からジェイムズ・ボンドとして軌道に乗りましたね。
 ジョーズ(リチャード・キール)は愛されるマンガチックな悪役で、特に子供たちに人気があったようです。
「私を愛したスパイ」のエンドクレジットで次回作は「ユア・アイズ・オンリー」となっていましたが、「スター・ウォーズ」が大ヒットの影響で「ムーンレイカー」に変更されました。裏切者の女をサメの水槽に落としたり、逃げるのを猟犬に追わせたりする残酷趣味もありますが、全体的にこの時期の「007」は「家族で鑑賞映画」になってしまった。
 ユア・アイズ・オンリー
        For Your Eyes Only

製作 アルバート・R・ブロッコリ
監督 ジョン・グレン
脚本 リチャード・メイバウム
    マイケル・G・ウィルソン
撮影 アラン・ヒューム
編集 ジョン・グローヴァー
美術 ピーター・ラモント
音楽 ビル・コンティ
主題歌 シーナ・イーストン
出演 ロジャー・ムーア
    キャロル・ブーケ (メリナ・ハブロック)
    トポル (コロンボ)
    ジュリアン・グローバー (クリスタトス)
    リン・ホリー・ジョンソン
            1981年 128分
 シリーズ第12作。英国の電波監視船が沈み、引き上げようとした海洋学者夫婦が殺される。監視船に積まれていたミサイル誘導装置ATACを東側に売ろうとするギリシャの大富豪の陰謀。
 この作品は地味です。思い出そうとしても悪役が誰だったのか?思い出せないくらいです。前作の「ムーンレイカー」が宇宙まで行っちゃって、荒唐無稽だと批判され、再び原点に軌道修正されました。

 ボンドガールのキャロル・ブーケは知性的な最高の超スゴイ美人です。殺された海洋学者の娘で親の仇を討とうとする。彼女とボンドが縛られて、サメのいる珊瑚の海をボートで引きずりまわされるシーンは原作では「死ぬのは奴らだ」ですね。
 ロジャー・ムーア作品を選ぶなら本作と、次の「オクトパシー」かな。ボンドは殺し屋情報部員として年齢的限界を感じますけど。トポルが味のある演技をしています。
 ☆☆☆☆
  オクトパシー  Octopussy

製作 アルバート・R・ブロッコリ
監督 ジョン・グレン
脚本 ジョージ・マクドナルド・フレイザー
撮影 アラン・ヒューム
編集 ジョン・グローヴァー
音楽 ジョン・バリー
主題歌 リタ・クーリッジ
出演 ロジャー・ムーア
    モード・アダムス (オクトパシー)
    ルイ・ジュールダン (カマル・カーン)
    クリスティナ・ウェイボーン (マグダ)
           1983年 131分
 シリーズ第13作。前作の「ユア・アイズ・オンリー」が地味だったのを意識したのか、アクションが盛りだくさん。美女もいっぱい登場してゴージャスな作品になった。
 西ドイツの米軍基地で核爆弾を爆発させようとするソ連の過激思想の将軍。宝石密輸団のオクトパシー美女軍団。異国情緒もあり、前半はインド、後半は東西ドイツが舞台。
 飛行機や列車を使ったアクション。ロジャー・ムーアが健闘しています。女性との関係もイヤらしくなくて好感が持てます。「女だけの宮殿」と聞いて「差別だ」と言うけど、顔が嬉しそう(笑)
 ☆☆☆☆★
 美しき獲物たち A View To A Kill

製作 アルバート・R・ブロッコリ
    マイケル・G・ウィルソン
監督 ジョン・グレン
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 アラン・ヒューム
編集 ピーター・デイヴィス
音楽 ジョン・バリー
主題歌 デュラン・デュラン
出演 ロジャー・ムーア
    クリストファー・ウォーケン (マックス・ゾリン)
    タニヤ・ロバーツ (ステイシー・サットン)
    グレイス・ジョーンズ (女殺し屋メイデイ)
            1985年 131分 
 シリーズ第14作。ロジャー・ムーア最後の作品です。
 エッフェル塔や英国のアスコット競馬場、サンフランシスコの金門橋などゴージャス感がある仕上がり。
 シリコン・バレーを水没させて、エレクトロニクス産業界を独占しようとする悪役ゾリン(クリストファー・ウォーケン)の陰謀。
 ゾリンの女殺し屋メイデイを演じるグレース・ジョーンズが印象的で、オッド・ジョブ(ハロルド坂田)やジョーズ(リチャ−ド・キール)の流れを汲むキャラクターです。
 金持ち貴族の道楽者に扮してゾリンに接近するボンド、広川太一郎さんの愉快な吹替えが絶品で、タニヤ・ロバーツも吹替えの方が可愛いです。
 ☆☆☆★
 リビング・デイライツ
           The Living Daylights

製作 アルバート・R・ブロッコリ
    マイケル・G・ウィルソン
監督 ジョン・グレン
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 アレック・ミルズ
編集 ジョン・グローヴァー
    ピーター・デイヴィス
音楽 ジョン・バリー
主題歌 a−ha
出演 ティモシー・ダルトン (007号ジェイムズ・ボンド)
    マリアム・ダボ (カーラ・ミロヴィ)
    ジェローン・クラッベ (コスコフ)
    ジョー・ドン・ベイカー (ウィテカー)
            1987年 131分
 シリーズ第15作。ロジャームーアに替わってティモシー・ダルトンが新ボンドを演じる。彼は英国王立演劇芸術学校で学んだ本格的な俳優なのですね。
 これまでとはすっかり雰囲気が変わって、冒頭のジブラルタルの断崖の軽快なアクションから、東ヨーロッパを舞台にスパイ映画らしくなっています。
 ボンドガールがセクシーじゃないのが残念。ボンドが若く硬派になったけど、お色気シーンがなくなりました。
 ☆☆☆☆
 消されたライセンス  Licence To Kill

製作 アルバート・R・ブロッコリ
    マイケル・G・ウィルソン
監督 ジョン・グレン
脚本 リチャード・メイバウム
撮影 アレック・ミルズ
編集 ジョン・グローヴァー
音楽 マイケル・ケイメン
出演 ティモシー・ダルトン
    キャリー・ローウェル (パム・ブーヴィエ)
    ロバート・ダビ (麻薬王フランツ・サンチェス)
            1989年 133分
 シリーズ第16作。親友のCIA部員であるフェリクス・レイターが結婚。直後に花嫁が惨殺され、レイターは重傷を負う。怒りに燃えたボンドは、英国情報部の命令を無視し、「殺しの許可証」を投げ捨て、復讐を誓う。
 女王陛下の情報部員が私憤にかられるのはいただけないと批判される作品ですが、シリーズ中「ベスト5」級の作品だと思います。私は好きですね。
 悪役は麻薬王サンチェス(ロバート・ダビ)。ロシアの情報機関やスペクターといったこれまでの悪役とは異なり、現実的になった。セスナ機を操るボンドガール、キャリー・ローウェルが可憐で可愛い。ほんと、個人的好みの問題だな。
 ☆☆☆☆
 ゴールデンアイ  GoldenEye

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 マーティン・キャンベル
脚本 ジェフリー・ケイン
    ブルース・フィアスティン
撮影 フィル・メイフュー
音楽 エリック・セラ
出演 ピアース・ブロスナン (007号ジェイムズ・ボンド)
    ショーン・ビーン (アレック・トレヴェルヤン)
    イザベラ・スコルプコ (ナターリヤ・シミョノヴァ)
    ファムケ・ヤンセン (ゼニア・オナトップ)
            1995年 130分
 シリーズ第17作。前作「消されたライセンス」から6年のブランクがあります。
 T・ダルトンが役を降りて、新ボンドにピアース・ブロスナンが起用された。
 ボンド役交代と共にMが女性(ジュディ・デンチ)になりました。それと重要なことですが、ボンドが属する組織はユニバーサル貿易という架空のものだったのが、今作からMI6(正式名SIS)になった。
 悪役は元ボンドの同僚(006)だったという設定で、今作も悪役に貫禄がないのが欠点。
 ロシアの歴史あるサンクト・ペテルブルグ市街を重戦車に乗ったボンドが、敵の車を追跡するシーンは映画史に記録されてもよいと思われる。破壊した建物はセットだそうです。
 凶悪な悪女役のファムケ・ヤンセンは、最近は「Xメン」(2000)に出演している。変なハッカー男(アラン・カミング)が場違いで、作品を台無しにしている。
 ☆☆★
 トゥモロー・ネバー・ダイ
         Tomorrow Never Dies

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 ロジャー・スポスティスウッド
脚本 ブルース・フィアスティン
撮影 ロバート・エルスウィット
音楽 デビッド・アーノルド
出演 ピアース・ブロスナン
    ミシェル・ヨー (ウェイ・リン)
    ジョナサン・ブライス (エリオット・カーヴァー)
    テリー・ハッチャー 
            1997年 119分
 ピアース・ブロスナンのボンドはこの作品が最高作。巨大メディア王カーヴァーはステルス艦を操って、英国駆逐艦を中国沖で撃沈し、飛来した中国機を撃墜。双方がやり合った状況にしてイギリスと中国を戦争させようと企む。
 悪役に貫禄なし。でも物語は面白く、中国情報部員のミシェル・ヨーも魅力的だし、ボンドカーのBMW750も格好良い。ボンドとミシェル・ヨーが手錠に繋がれたオートバイアクションもスゴイ。
 敵のヘリコプターに追われ、ここぞという場面でボンドのテーマ曲が入るのも嬉しいです。
 オープニングのテロリスト兵器市場を壊滅させるアクションの緊張感はシリーズ最高級。
 ☆☆☆☆★
 ワールド・イズ・ノット・イナフ
          The World Is Not Enough

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 マイケル・アブテッド
脚本 ニール・パービス
    ロバート・ウェイド
撮影 エイドリアン・ビドル
音楽 デビッド・アーノルド
出演 ピアース・ブロスナン
    ソフィー・マルソー (エレクトラ・キング)
    ロバート・カーライル    
            1999年 128分
 英国情報部本部内で爆弾が爆発。石油王キング卿が殺される。ボンドがテロリストから奪還した巨額の札束に爆弾が仕掛けられていたのだ。ボンドは次に狙われる可能性のあるキング卿の娘(ソフィー・マルソー)に接近する。
 テムズ川でのモーターボートの追跡戦は迫力あるけれど、悪役がはっきりせず、ストーリーが複雑なので物語が盛り上がらない。007映画は単純明快にすべし。
 ソフィー・マルソーはフランスの元アイドル女優。もう一人のボンドガール、デニーズ・リチャーズは科学者に見えず、ただの若いお姉ちゃんといった感じ。
 ☆☆☆★
 ダイ・アナザー・デイ  Die Another Day

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 リー・タマホリ
脚本 ニール・パービス
    ロバート・ウェイド
撮影 デビッド・タッタサール
音楽 デビッド・アーノルド 
出演 ピアース・ブロスナン
    ハル・ベリー
    ロザムンド・パイク
           2002年 133分
 シリーズ第20作。期待が大きすぎたのか、大はずれでガックリ。これまででは最低のできばえ。007映画もそろそろ終了かな?
 オープニング、ボンドが北朝鮮に潜入し、捕虜となる。捕虜交換で帰国するが、Mは彼に冷たい。
 CGの多用が目立ち、007の体を張ったアクションが感じられず、ボンドのサーフィンなど合成が見え見え。音楽も冴えなくて、マドンナの主題曲もつまらない。
 この映画を見て北朝鮮の金正日が激怒したそうですが、映画のような兵器を持ってないのが悔しかったのかも?。登場する北朝鮮軍は過大に描かれているような気がします。ラストのミス・マネーペニーはボンドガールより色っぽい。
 ☆☆☆
 カジノ・ロワイヤル  Casino Royale

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 マーティン・キャンベル
脚本 ニール・パービス
    ロバート・ウェイド
撮影 フィル・メフュー
音楽 デビッド・アーノルド 
出演 ダニエル・クレイグ (007号ジェイムズ・ボンド)
    エヴァ・グリーン (ヴェスパー・リンド)
    マッツ・ミケルセン (ル・シッフル)
    ジャンカルロ・ジャンニーニ (ルネ・マチス)
    カテリーナ・ムリーノ
            2006年 145分
 シリーズ第21作で、現在の最新作。ピアース・ブロスナンに代わって金髪碧眼のダニエル・クレイグが新ボンドを演ずる。
 世界のテロリストの資金運用をしているル・シッフル(マッツ・ミケルセン)をカジノで破産させようとするボンド。大金を賭けたポーカー対決が見ものです。
 これまでの007のような華麗な主題歌もオープニングアクションもなく、いたってオーソドックスなスパイ映画になりました。
 ボンドも、コネリーの野性味、ロジャー・ムーアの愉快なオジさん、ブロスナンのスマートさがなく、マジメなボンドです。でも女性の好みが「人妻」だとは、後腐れがないという意味なのかな?
 国家予算なみの巨額の賭け金でポーカー勝負をするボンドのお目付役ヴェスパー・リンドに、「君は好みじゃない。独身だから」と言う。
 00ナンバー諜報部員となって初任務。ボンドの生い立ちがさりげなく語られるなど、この作品から新しく「新007」が始まるということか?
 ☆☆☆★
 慰めの報酬   Quantum of Solace

製作 マイケル・G・ウィルソン
    バーバラ・ブロッコリ
監督 マーク・フォースター
脚本 ジョシュア・ゼトゥマー
    ポール・ハギス
    ニール・バーヴィス
    ロバート・ウェイド
撮影 ロベルト・シェイファー
音楽 デビッド・アーノルド
出演 ダニエル・クレイグ
    オルガ・キュリレンコ
    マチュー・アマルリック
    ジュディ・デンチ
         2008年 108分
 シリーズ第22作。ダニエル・クレイグによる新007の第2作。
 これは私には最悪のものでした。開巻早々から意味のないアクション、魅力のないボンドガール、大物に見えない悪役、ボンドの上司Mもヒステリックで嫌味なオバさんでしかない。
 007映画でこんなに退屈な思いをしたのは初めてで、シリーズ最低の作品。これはもう「007」ではありません。このシリーズ、今後はどうなってゆくのだろうか?
 ☆★
 カジノロワイヤル    Casino Royale

製作 チャールズ・K・フェルドマン
監督 ジョン・ヒューストン
    ケン・ヒューズ
    ロバート・パリッシュ 他
脚本 ウォルフ・マンキウィッツ
    ジョン・ロウ
    マイケル・セイヤーズ
撮影 ジャック・ヒルデヤード
音楽 バート・バカラック
出演 デビッド・ニブン
    ピーター・セラーズ
    オーソン・ウェルズ
    アーシュラ・アンドレス
    ジョアンナ・ペティット
          1967年 132分
 1967年、イオン・プロが版権を取得していなかった、イアン・フレミングの007小説第1作「カジノ・ロワイヤル」を別の製作者、映画会社が映画化。
 番外編というより、まったく関係のないドタバタ・パロディ映画である。タイトルに007は冠せず、カジノとロワイヤル間にコンマを入れない。

 現役引退をしたジェイムズ・ボンド卿(デビッド・ニブン)を始め、何人もの男女ボンドが登場。出演者ではピーター・セラーズが気分を出していて最も良く、彼とアーシュラ・アンドレスによって作品が引き締まったと言える。
 特にアーシュラは「ドクター・ノオ」よりも魅力的で、彼女のシーンで流れる音楽(ヴェスパー・リンドのテーマ?)もグッド。悪役ル・シッフルを演ずるのはなんとオーソン・ウェルズ!。
 1960年代後半のファッションが楽しいが、全体にちょっと退屈する。
 ☆☆☆
■イオン・プロ (EON Productions、“EON”はEverything Or Nothing の頭文字)

 1960年ごろ、アルバート・R・ブロッコリとハリー・サルツマンが、イアン・フレミングの007小説を映画化するために設立した映画製作会社。
 第1作「ドクター・ノオ」の英国での公開は1962年10月5日。日本では翌1963年6月8日。フレミングの原作では第6作にあたり、当初ボンド役はケーリー・グラントが本命で、ジェイムズ・メイスンも候補にあがっていたそうです。
 けっきょく、新人のショーン・コネリーがボンドを演じて成功したが、職人肌の監督テレンス・ヤングは彼に英国紳士としての立ち居振る舞い、服のセンス、酒の飲み方などを教えて、徹底的にボンドに仕立てたとか。

 アルバート・R・ブロッコリは007映画を娯楽路線として進め、やがて、原作重視のリアルなスパイ映画を目指すハリー・サルツマンと意見が対立するようになり、サルツマンは第9作「黄金銃を持つ男」(74)を最後にイオン・プロから手を引きました。
 その後はブロッコリのイオン・プロとなり、007映画の製作を続け、1996年6月27日にブロッコリが死去。
「ゴールデン・アイ」(96)以降は、娘のバーバラ・ブロッコリと継子のマイケル・G・ウィルソンがあとを引き継いでいます。

 ハリー・サルツマンは単独で、「国際諜報局」(64)「パーマーの危機脱出」(66)「10億ドルの頭脳」(67)など、シリアスなスパイ映画を製作しました。「パーマーの危機脱出」の監督は007シリーズでおなじみのガイ・ハミルトンです。
 ボンドガールは男の子の味方!  ボンドの拳銃
■アーシュラ・アンドレス Ursula Andress
           1936年3月19日 スイス生まれ。

「ドクター・ノオ」(62)のハニーチャイル・ライダーで、白いビキニ姿で海から上がってくるシーンが有名です。原作小説では、なんと全裸で腰にナイフのベルトだけ!。
 父が海洋学者で、子供の頃から学校教育を受けたことがなく、百科事典で勉強した。ノオ博士のクラブ島へ貝殻を採りに来てボンドと出会う。

 撮影現場を訪れた原作者イアン・フレミングが惚れ込んだそうですが、私にはタイプではなく魅力を感じません。アーシュラはウルスラとも表記されるけど、DVD特典収録のメイキングではアースラと発音しています。

■ユーニス・ゲイソン Eunice Gayson
          1928年3月17日 ロンドン生まれ。

「ドクター・ノオ」(62)「ロシアより愛をこめて」(63)に登場するシルビア・トレンチ。ボンドの任務とは関係ない、私生活でのガールフレンドである。
 シリーズ第1作「ドクター・ノオ」の冒頭、カジノでボンドと知り合う赤いドレスの女で、厳密には彼女がボンドガール第1号といえる。

 深夜、ボンドが部屋に帰るとパジャマの上だけの姿でゴルフをしている。「この方がくつろげるでしょ」ボンドはMの命令でジャマイカへ飛ばなければならないが、1時間のばすことに。
 第2作「ロシアより愛をこめて」では、河畔でボンドといっしょに遊んでいる。上流階級の有閑奥様か、あるいは未亡人?

■ダニエラ・ビアンキ Daniela Bianchi
          1942年1月31日 ローマ生まれ。

「ロシアより愛をこめて」(63)のタチアナ・ロマノーヴァ。イスタンブールのソ連領事館の職員(国家保安局の伍長)。ボンドを罠にかけるため、彼を誘惑する任務を与えられる。
 首に黒いリボンだけの姿でベッドに。男ならイチコロです。
 シリーズではトップクラスの美人。本人は口が大きいと気にしているが、ボンドはちょうど良いと言う。
 赤い唇と白い歯が魅惑的。キッスシーンでは特にテレンス・ヤング監督の演出の冴えが感じられる。

■オナー・ブラックマン Honor Blackman
        1927年12月11日 ロンドン生まれ。

「ゴールドフィンガー」(64)の悪役ゴールドフィンガーの専用ジェット機のパイロット、プッシー・ギャロア。5人の女性アクロバット飛行チームを率いている。
 男嫌いの同性愛だったが、干し草小屋でボンドに押し倒され、まいってしまう。ハスキーボイスで、大人の女性の妖しい魅力満点!
 プッシーという冗談みたいな命名、イアン・フレミング恐るべし(笑)。

■シャーリー・イートン Shirley Eaton
          1936年1月12日 ロンドン生まれ。
■タニア・マレット Tania Mallet
         1941年5月19日 ランカシャー生まれ。

「ゴールドフィンガー」(64)に登場する姉妹で、姉のジル・マスターソンを演じるのがシャーリー・イートン。ゴールドフィンガーに雇われて、カードゲームをする相手の手持ち札をホテルのベランダから双眼鏡でのぞいている。イカサマを見破ったボンドと仲良くなったため、ゴールドフィンガーのボディガード、オッドジョブに全身に金粉を塗られて殺されてしまう。

 妹のティリー・マスターソン(タニア・マレット)は、姉の仇を討つためにゴールドフィンガーを狙うが、オッドジョブの刃を仕込んだ山高帽をぶつけられ殺される。けっきょく二人ともオッドジョブに命を奪われる悲劇の姉妹。

 ティリーのフォード・マスタングとボンドのアストンマーチンの追いかけっこ。Qの特殊装備、タイヤのハブから回転する刃が出て、ティリーの車をパンクさせる。「これはひどい、欠陥タイヤだ」とは、ボンドも図々しい(笑)

■クロディーヌ・オージェ Claudine Auger
           1942年4月26日 パリ生まれ。

「サンダーボール作戦」(65)で、スペクターNo.2エミリオ・ラルゴの愛人ドミノ(ドミニク)・ダーバルの役。ドミノはNATO所属のフランス空軍パイロット、ダーバル少佐の妹。兄は搭乗前に整形した偽者が入れ代わるために殺された。

 原作小説ではドミネッタ・ヴィタリというイタリア人だが、映画ではフランス人に変更されている。本人がフランス人だからか。
 黒と白の水着姿が美しい。原作では、ドミノの大胆な車の運転にボンドは惹かれる。ボンドは運転のうまい女性に弱い。この設定は映画にもよく使われます。ボンドが美人の車に追い越され、ニヤリとして追いかけるシーンがありますね。

 ワルサーPPK

 PP(1929年)の改良型がPPK(1931年)。
 32口径(7.65mm)
 装弾数 7+1発
 全長148mm。重量568g(空)
 有効射程40m。
 PPKはポリツェイ・ピストーレ・クリミナーレ(警察短拳銃)。第二次大戦中、ドイツ軍将校や警察が使用した。


 ベレッタM1919

イタリア製の拳銃。25口径(6.35mm)
 装弾数8発
 全長115mm。重量300g(空)
 ボンドが15年間使用して愛着のある拳銃。女性がハンドバッグに忍ばせる、護身用の小型拳銃である。
 原作小説「ロシアから愛をこめて」でローザ・クレッブに襲われたさい、ズボンのベルトに差してあったが、サイレンサー(消音器)が引っかかって抜けず、命を落とすところだった。そのため次作「ドクター・ノオ」の冒頭で、Mの命令によりワルサーPPKに交換させられる。


 ワルサーP99

全長180mm。重量750g(空)
使用弾 9mmパラベラム 装弾数16+1

 シリーズ第18作「トゥモロー・ネバー・ダイ」からピアース・ブロスナンのボンドが使用。ウェイ・リン(ミシェル・ヨー)の隠れ家にあった物で、ボンドは「ワルサーの新型か、欲しかったんだよ」と言っている。
 映画では他に「アンダーワールド」(03)でヴァンパイアのセリーン(ケイト・ベッキンセイル嬢)が使っている。


 アーマライト AR−7

全長889mm。重量1130g
22口径(5.56mm)
装弾数 8、10、15、25
使用弾 ロングライフル弾。

「ロシアより愛をこめて」(63)でQから渡されたアタッシェ・ケースに入っている。赤外線照準器付き。セミオートマチック。分解して、パーツを銃床内に収納できる。
「ゴールドフィンガー」(64)ではティリー・マスターソンが使用。ボンドがケースを見て「狩猟かい?同じものを持っている」という。ティリーは「スケート靴よ」と、ごまかすが。
■若林映子(わかばやし・あきこ)
        1939年12月13日 東京生まれ。

 「007は二度死ぬ」(67)で日本秘密機関の女性諜報員アキの役。タイガー田中(丹波哲郎)の部下である。
 国技館で大相撲を観戦しているボンドに「アイ・ラブ・ユー」という合い言葉で接近、タイガーの連絡員として登場。

 スペクターの拠点「大里化学」から逃げ出したボンドを、彼女が運転する軽快なボンドカー、トヨタ2000GTでひろうシーンが格好良い。天井裏からボンドを狙った暗殺者に毒薬で殺されてしまう。

 日本では浜美枝さんの方が有名だが、若林さんがタイトルでは上位で、欧米では彼女がボンドガール「アキ」として認定されている。

 若林映子:東宝の女優。「アルプスの若大将」(66)「三大怪獣地球最大の決戦」(64)、テレビでは「ウルトラQ」(66)の「クモ男爵」の話に出演。
■ダイアナ・リッグ  Diana Rigg
       1938年7月20日 ヨークシャー州生まれ。

 「女王陛下の007」(69)のテレサ(トレーシー)・ディ・ヴィンツェンツォ。ユニオン・コルス首領マルク・アンジュ・ドラコの娘。

 ボンドは自暴自棄になっていた彼女と出会って、「この女を守ってやりたい、悩みを解決して、幸せにしてやりたい」という気持ちになる。

 マルク・アンジュに気に入られたボンドはテレサと結婚。ボンドが義父にねだった結婚の贈り物は、アルプス山上のスペクター基地を攻撃するヘリコプター部隊。新婚旅行に出発したボンドを襲った銃弾が花嫁の命を奪うラスト。

 ダイアナ・リッグは、「おしゃれ(秘)探偵」というテレビ映画(1967)に主演していたそうで、見てみたいな。
■ジェーン・セイモア Jane Seymour
  1951年2月15日イギリス、ミドルセックス州ヒリングドン生まれ。

「死ぬのは奴らだ」(73)のタロット占い師ソリテア(ソリテール)。
 ニューヨークの黒人麻薬組織のボス、カナンガ(ヤフェット・コットー)に仕えて、未来や訪問者の素性、言動の真偽を占っている。神秘的で清純な美女だが、ボンドによって処女を失ったため、占い能力を失う。
 柱に縛られ、大蛇をけしかけられる。「ほんとうに怖かった」と言っています。

 ジェーン・セイモアはバレリーナ志望だったが膝の故障により断念、女優になった。テレビ「警部マクロード」や、映画では「シンドバッド虎の目大冒険」(77)に出演。
■ロイス・チャイルズ Lois Chiles
   1950年アメリカ、テキサス州ヒューストン生まれ。

 「ムーンレイカー」(79)のホリー・グッドヘッド博士。実はCIA諜報員で、ボンドと共にドラッグス卿の陰謀を追う。
 これまでのボンドガールはお色気担当として単なるお飾りだったが、前作「私を愛したスパイ」(77)のバーバラ・バックあたりから、ボンドに負けない、自立した行動をとるヒロインになった。

 それにしても、グッドヘッドとは、良い頭?。イアン・フレミングの命名法にならったお遊びですね。
 ロイス・チャイルズはボンドガールのお色気専門的な役を嫌ったそうで、だったら出演を断ればよかったのにと思う。
■モード・アダムス Maud Adams
        1945年2月12日 スウェーデン生まれ

「黄金銃を持つ男」(74)「オクトパシー」(83)の2作に出演。

「黄金銃を持つ男」では殺し屋スカラマンガの愛人アンドレア・アンダースの役。スカラマンガから逃げるためにボンドに挑戦状(黄金の銃弾)を送る。ボンドに対決させてスカラマンガを殺そうとした。

「オクトパシー」では、女だけの宝石密輸団の首領オクトパシーを演じた。ボンドがかつて黄金横領の罪で捕らえたスマイス少佐の娘で、少佐は軍法会議の直前に自殺。彼女は父に自殺の機会を与えてくれたボンドに感謝している。東南アジアの非行少女たちを集めて目的を与え、訓練して部下として使っている。
■キャロル・ブーケ Carole Bouquet
          1957年8月18日パリ生まれ

 「ユア・アイズ・オンリー」(81)は、短編「読後焼却すべし」と「危険」が原作。両親を射殺され、仇を討とうとする娘ジュディ・ハブロックの役だが、映画では大幅にストーリーや設定が変えられて、彼女の役名もメリナ・ハブロックとなっている。

 キャロル・ブーケの知的でクールな美貌は特筆もの。復讐心に取り憑かれた彼女にボンドが、「中国のことわざでは、復讐に出る時は先に墓をふたつ掘ってから行けという」と諭す。

 彼女の愛車は黄色いシトロエン2CV。愛嬌のある小型車で、敵とのカー・チェイスが楽しいアクションになっている。ボンドといっしょに縛られてボートで海を引き回されるのは、小説「死ぬのは奴らだ」ですね。
■クリスティナ・ウェイボーン Kristina Wayborn
         1950年9月24日 スウェーデン生まれ

 「オクトパシー」(83)。オクトパシー(モード・アダムス)の美女軍団の一員マグダを演ずる。モード・アダムスと同じくスウェーデン生まれの女優。ホテルの窓のベランダから、サリーの端を手すりに縛り、スルスルと階下に降りる身軽さ。
 ラストの格闘アクションシーンでは相手を病院送りにしたというのが可笑しい。細身の美人である。
■キャリー・ローウェル Carey Lowell
        1961年2月11日ニューヨーク生まれ。

 「消されたライセンス」(89)。麻薬捜査官パム(パメラ)・ブーヴィエを演ずる。ショットガンをぶっ放し、パイパー軽飛行機を操縦し、ボンドを助ける。
 ボーイッシュなショートの髪がよく似合って可愛い。太腿が魅力的な、屈指のボンドガール。
■ミシェル・ヨー Michelle Yeoh
          1962年8月6日マレーシア生まれ。

 「トゥモロー・ネバー・ダイ」(97)で中国の女諜報員ウェイ・リンを演ずる。長い黒髪がチャーミングな東洋美人。

 ボンド映画の女優は添え物的存在だったのが、80年代になるとボンドを助ける重要な役になった。ミシェル・ヨーはその典型で、ボンドに劣らぬ大活躍を見せる。
 ボンドと手錠で繋がれたバイクの二人乗り、短機関銃を二挺持った銃撃戦、手裏剣で敵を倒す一瞬技など、ホレボレするカッコ良さ。
■エヴァ・グリーン Eva Gaelle Green
            1980年7月5日パリ生まれ。

 最新作「カジノロワイヤル」(06)のヴェスパー・リンド。
 ボンドが悪役ル・シッフルとポーカー対決をする任務にお目付役として財務省から派遣された。皮肉で傲慢な女性だが、ボンドに言わせると「美貌のために才能が正当に評価されない」からだそうだ。

「ゴージャスな服を着て、ぼくの後ろから首にキスしろ。他のプレーヤーが君に見とれて勝負がおろそかになる」といったボンド自身が見とれてしまう。
 セクシーで美人。ボンドに対して最初は「血も涙もないクズ」だと思っているが、しだいに惹かれてゆく。
 エヴァ・グリーンの母親はフランス女優マルレーヌ・ジョベール。
注目すべきキャラクターたち
■M
 ロンドン、リージェント公園の近くにある背の高いグレイのビルが英国海外秘密情報部の本部ビルである。表向きは「ユニヴァーサル貿易」の、その最上階9階の部屋で、00課員の一人である007号は上司である部長「M」から任務を与えられる。

 Mは穏やかな、シワの多い顔をした海の男(退役した海軍中将)。ボンドの敬愛する、頭の上がらない人物である。
 小説「ダイヤモンドは永遠に」で、ボンドはMと結婚しているようなもので、女と結婚するには、まず彼と別れなければと言っている。

【バーナード・リー Bernard Lee 】
       1908年1月10日ロンドン生まれ
       1981年1月16日没

 第1作「ドクター・ノオ」(62)から第11作「ムーンレイカー」(79)まで。この人のMは最高ですね。ボンドを「あきれた」というような目つきで見る。ボンドが禁煙中だというと、あざ笑うようにパイプに火を付け深々と煙を吸う。頑固親父でパイプがトレードマーク。

 午前3時に遊んでいたボンドを出頭させ、「いつ寝るんだ」と言いながらも、自分だって仕事をしている。部屋には帆船の油彩画が飾られ、海軍提督の前歴を思わせる。
 ちなみに、第12作の「ユア・アイズ・オンリー」(81)は休暇中という設定で、Mは登場しない。

【ロバート・ブラウン Robert Brown 】
        1921年7月23日生まれ。
        2003年11月11日没

 第13作「オクトパシー」(83)から、「美しき獲物たち」(85)「リビング・デイライツ」(87)「消されたライセンス」(89)の4作品。

【ジュディ・デンチ Judi Dench 】
     1934年12月9日ヨーク生まれ。

 第17作「ゴールデンアイ」(95)から、最新第21作「カジノ・ロワイヤル」(06)まで。
「恋に落ちたシェイクスピア」(98)で英国女王を演じるなど演技派だかなんだか知らないが、好きになれない。
 007を「冷戦時代の遺物」と言うなど、部長として失格。こんな上司の下では命がけで働けないと思う。早く交代してほしい。
■ミス・マネーペニー(マネイペニー)
 英国海外情報部部長Mの秘書。Mの執務室の隣りの部屋でタイプライターを前に座っている。原作では20代後半?のお嬢さんで、ボンドの秘書と仲良し。

【ロイス・マクスウェル Lois Maxwell】
     1927年2月14日カナダ生まれ。
     2007年9月29日没

「ドクター・ノオ」(62)から「美しき獲物たち」(85)までの14作品。007映画開始いらい、23年にわたってマネーペニーを好演した。

「007は二度死ぬ」(67)では海軍婦人士官の白い制服姿で、ボンドが中尉と呼ぶので彼女の階級がわかります。

「サンダーボール作戦」(66)ではボンドをダーリンと呼ぶ。「お仕置きが必要だ」と言うボンドに、「あら嬉しい、待ちきれないわ」。
 ボンドとのやり取りにMが加わると絶品となって、「ご老体はだませても、私はだませないわよ」「だれがご老体だと?」。
 ボンドを暖かく迎え、見送るやさしい女性である。「オクトパシー」(83)では、彼女に若い美人助手が付き、気分を害しているようすだった。

【キャロライン・ブリス Caroline Bliss 】
            1961年生まれ。

 「リビング・デイライツ」(87)「消されたライセンス」(89)の2作のみ。ティモシー・ダルトンの新ボンドとともに、マネーペニー役に抜擢された。
 知的な美人で、2作だけでなくずっと続けて欲しかったけど、次のピアース・ブロスナンとではバランスがとれないですね。

【サマンサ・ボンド Samantha Bond 】
        1962年11月27日生まれ。

 「ゴールデンアイ」(95)以降、現在まで。ボンドがピアース・ブロスナンになったと同時にマネーペニーも交代。同じく上司のMもジュディ・デンチになった。
 ボンドとペニーはお互いに好意を持っているという設定のはずだが、ブロスナンの態度を見ると、マネーペニーの片思い?。「ダイ・アナザー・デイ」(02)のラストでは彼女の願望が・・・
■Q
 兵器係主任のブースロイド少佐。原作では「Q課」というセクション名で、個人ではない。映画では個人のコード名として、さらに発展させて秘密兵器開発を担当。
 任務におもむくボンドに装備品として持たせるが、つねに壊してしまうので不満を持っている。ボンドにすれば「死と隣り合わせの現場の苦労を知らないな」と言いたいのだが、毎回Qの装備のおかげで死地を脱している。

 映画のQとブースロイド少佐が同一人物になったのは「私を愛したスパイ」からで、作中でアーニャ(バーバラ・バック)が「Good morning, Major Boothroyd」と言うセリフが最初。

【ピーター・バートン Peter Burton】

 第1作「ドクター・ノオ」のブースロイド少佐。Mの命令によりボンドの拳銃ベレッタを取り上げワルサーPPKを渡す。

【デズモンド・リュウェリン Desmond Llewelyn 】
   1914年9月12日ウェールズ生まれ
   1999年12月19日没。

 第2作「ロシアより愛をこめて」(63)から第19作「ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99)まで出演。Qといえばこの人で、温厚なおじいちゃん。
 ボンドの出先まで出張することが多い。秘密兵器開発の優秀な技術者として尊敬すべき人物だけど、実際のリュウェリンさんは機械オンチだって。
 上司のMが感じ悪い女になったので、ボンドを理解してくれる良き仲間として、もっと長生きしてほしかったです。

【ジョン・クリーズ John Cleese 】
            1939年生まれ。

「ダイ・アナザー・デイ」(2002)から新しくQを演ずるが、どうも現時点では存在感が薄い。
■ケリム・ベイ(ダーコ・ケリム)
 「ロシアより愛をこめて」(63)に登場する英国情報部のトルコ、イスタンブール支局の主任。
 演ずるのはペドロ・アルメンダリス(Pedro Armendariz 1912年5月9日メキシコ生まれ)。

 任務で出張してきたボンドに協力する。部下には息子たちを使っている。最も信頼できるという理由だが、いったい何人の息子がいるのだろう?。
 ソ連領事館の地下まで水路があり、設置した潜望鏡で覗くのが日課だと言っている。オリエント急行内で、スペクターの殺し屋グラントに殺される。

 俳優ペドロ・アルメンダリスは、この映画を撮影中は末期ガンに冒されていた。帰国し入院するが延命を嫌って拳銃自殺という壮絶な死をとげる(1963年6月18日没)。
■フェリックス・レイター(ライター)
 アメリカ中央情報局(CIA)の局員。
 原作では第一作「カジノ・ロワイヤル」から登場するボンドの親友である。
 やせた骨ばった体で、背が高くぼさぼさの麦わら色の髪。テキサス出身のタフで残忍な闘士。
 原作「死ぬのは奴らだ」で落とし穴に落とされ、サメのために右手と左足を失う。重傷から回復後は、右手に鋼鉄の鉤を着けている。
 CIAを退職してピンカートン探偵局の探偵になるが、「サンダーボール作戦」で応召されて、再びボンドと一緒に働くことになる。

 映画では、「ドクター・ノオ」ジャック・ロード、「ゴールドフィンガー」セス・リンダー、「サンダーボール作戦」リック・ヴァン・ナッター。
「ダイヤモンドは永遠に」ノーマン・バートン、「死ぬのは奴らだ」「消されたライセンス」デビッド・ヘディソン、「リビング・デイライツ」ジョン・テリー、が演じている。
ボンドの敵たち
■スペクターの首領 エルンスト・スタブロ・ブロフェルド
 スペクターSPECTREとは、「The SPecial Executive for Counterintelligence, Terrorism, Revenge and Extortion」の略で、「対敵情報活動・テロ・復讐・強要のための特別機関」という意味。

 初めてスペクターが実体のある組織として登場するのは「ロシアより愛をこめて」(63)だが、ブロフェルドは膝に猫を抱いているだけで顔は見せない。顔を見せるのは「007は二度死ぬ」(67)が最初で、俳優はドナルド・プレザンスが演じた。
「女王陛下の007」(69)ではテリー・サバラス。その後、「ダイヤモンドは永遠に」(71)はチャ−ルズ・グレイ。

「ユア・アイズ・オンリー」(81)のオープニングシーンではD・プレザンスを思わせる坊主頭で、ボンドがヘリコプターから煙突の中に落っことして殺してしまった。これで完全にスペクターが007映画に登場することがなくなり、ボンドの強敵がいなくなってしまった。これは失敗でしたね。

「サンダーボール作戦」(65)では貫禄充分のエミリオ・ラルゴ(アドルフォ・チェリ)ですら組織のNo.2であって、さらにその上に存在する謎の大物ということで、ブロフェルドは顔を見せない方が良かったと思います。
■ジュリアス・ノオ博士
 演ずるのはジョゼフ・ワイズマン Joseph Wiseman
    1918年5月15日、カナダ、モントリオール生まれ。

 映画シリーズ第1作「ドクター・ノオ」の悪役。ドイツ人と中国人の混血でドクター・ノオことノオ博士。ジャマイカ政府から島を買って住んでいる。
 かつてアメリカの中国人組織に属し、内紛から胸を撃たれ殺されそうになるが、心臓が右側にある珍しい体だったため助かる。
 ボンドの「偏執狂だ」という悪態に、「偏執狂というのは天賦の才能と同じく貴重なものだ。そうだよボンド君、私は力に対する偏執狂だ」と認める。

 アメリカのロケットの軌道を怪電波で妨害する陰謀。ノオ博士を探っていた英国情報部カリブ海域主任ストラングウェイズからの定時連絡が途絶えたため、007号ボンドが調査に派遣される。
 スペクターの幹部だと自ら名乗るが、映画ではスペクターという名称だけで組織は未だ出てこない。
 「ふざけた名前だ」「ノオ?、イエス、ノオのノオ?」「そうだ」(原作小説のMとボンドの会話)
■ローザ・クレッブ
 演ずるのはロッテ・レーニヤ Lotte Lenya
    1898年10月18日、オーストリア、ウィーン生まれ。

「ロシアより愛をこめて」(63)の恐ろしいおばさん。ローザ・クレッブはソ連の殺人機関スメルシュの大佐でありながら、祖国を裏切ってスペクターの大幹部となっている。
 同性愛で、タチアナ・ロマノーヴァ(ダニエラ・ビアンキ)を値踏みするようなイヤらしい目で見る。グラントに会うシーンでの、訓練所指揮官(ウォルター・ゴテル)に触れられ、身をこわばらせる一瞬をお見逃しなく。

 ラストで、ホテルのメイドに変装した彼女が靴のつま先に仕込んだ毒刃で襲いかかる。任務に失敗したら処刑される掟なので、ヤケクソだったのでしょうか。
 ダニエラ・ビアンキの回想では、ロッテ・レーニヤは優しい親切な女性だそうで、役柄と素顔のギャップがおもしろかったといっています。

■スペクターの殺し屋 レッド・グラント
(ドノヴァン・グラニトスキー、別名が『赤いグラント』)
 演ずるのはロバート・ショウ Robert Shaw
        1927年8月9日、英ランカシャー生まれ。

 原作ではロシアのスメルシュ(政府の公式殺人機関シュミェルチ・シュピオーナムの略語で、スパイ殺しという意味)の主席執行官。
 殺人嗜好癖の異常者。「ロシアより愛をこめて」(63)で、英国情報部員に化けてボンドに接近。オリエント急行の客室内での死闘は名場面。
 金銭に欲があって、「金をやる」と言うボンドからアタッシェケースを引ったくって、開けたのが大不覚だった。

 ロバート・ショウさんは1978年8月28日に51歳で亡くなりました。代表作に「バルジ大作戦」(65)「ジョーズ」(75)「ブラック・サンデー」(77)があります。
 奥様は「荒鷲の要塞」(68)の女優メアリー・ユーアさん。

■クロンスティーン
 演ずるのはヴラデク・シェイバル Vladek Sheybal
       1362年 ポーランド生まれ。

 国際犯罪組織スペクターのNo.5。「ロシアより愛をこめて」(63)でボンド殺害計画を立案する。ドクター・ノオの仇討ちと、ソ連の暗号解読器レクターを入手する一挙両得の作戦として、ソ連国家保安局の美人職員タチアナ・ロマノーヴァを餌にしてボンドをおびき寄せる。結局、計画は失敗に終わり、責任を取らされブロフェルドに処刑される。

 チェスの名手。原作では二年連続「モスクワ選手権」保持者で、三度目の優勝決定戦の模様が描写される。映画でも同じくチェスの名手とされいて、決勝戦の最中にブロフェルドからの呼び出しを受けるシーンがある。

 ヴラデク・シェイバルは鷹のような顔をした俳優で、SFテレビドラマ「謎の円盤UFO」でドクター・ジャクソン役で出演している。
■オーリック・ゴールドフィンガー
 演ずるのはゲルト・フレーベ Gert Frobe
    1913年2月25日、独ザクセン生まれ
    1988年9月5日没。

「ゴールドフィンガー」(64)の悪役。イギリスの貴金属商で億万長者。黄金に異常に執着する男で、財産を金の延べ棒にして蓄えている。金の相場の変化に応じて利ザヤを稼ぎ、イギリスの金を海外に持ち出して、スイスや外国の保管金庫に預けている。

 フォートノックスの黄金を盗み出すために住民6万人を神経毒で抹殺しようとする、のが原作だが、映画では核爆弾で放射能汚染させ、金の相場を上げようとする。ゴールドフィンガーの誇大妄想狂的な悪役ぶり。
 ボンドが彼に接近する口実として用意したナチスの金塊。足元にゴトッと落としたキンピカを見て思わずゴルフの手が止まる。エサの効果満点、食いつきの良い男である。

 ゲルト・フレーベは高校卒業後、ヴァイオリニストとして活躍。舞台美術を経て俳優になる。第二次大戦では衛生兵として従軍。
 代表作は、「史上最大の作戦」(62)の、ドイツ軍海岸陣地へロバでコーヒーを運ぶ軍曹役、「素晴らしきヒコーキ野郎」(65)のマニュアル片手に操縦するコミカルなドイツ将校が有名。

■オッド・ジョブ(よろず屋)
 演ずるのはハロルド坂田
   1920年7月1日、米ハワイ州生まれ。
   1982年7月29日没。

 ゴールドフィンガーの運転手兼ボディガード。鋭い刃の付いた山高帽を武器とする怪力の東洋人。
 ジルとティリーの姉妹を殺害する。「こいつは女を二人も殺した」と、ボンドの怒りの声。最後はフォートノックス銀行内でボンドと格闘。鉄格子にはさまった山高帽を取ろうとしたところをボンドに高圧電流を流されて感電死する。実際にハロルド坂田さん、手に大ヤケドしたそうです。

 ハロルド坂田は日系のプロレスラー。本名はトシユキ・ハロルド・サカタ。
1948年ロンドン五輪の重量挙げでアメリカ選手として銀メダルを獲得。
■エミリオ・ラルゴ
 演ずるのはアドルフォ・チェリ Adolfo Celi
  1922年7月22日、伊シチリア島メッシーナ生まれ。
  1986年2月19日没。

「サンダーボール作戦」(65)に登場するスペクターのNo.2である。片目アイパッチで、凄味と迫力充分の貫禄。スペクターのアジトがあるパリで、駐車違反を警官がとがめるが、相手がラルゴだと知ると「ラルゴさんでしたか」といって引き下がってしまう。

 へまをした部下をサメのプールに落としたりする非情さ。高速水中翼船ディスコ・ボランテ号が駆逐艦に追われると後ろ半分を切り離し、部下を見捨てて自分だけ逃げるんだものなー。
 ドミノ(クロディーヌ・オージェ)を情婦として囲っている。200年前に生まれていたら「黒ひげ」みたいな海賊になっていただろうタイプ。
■フランシスコ・スカラマンガ
 演ずるのはクリストファー・リー Christopher Lee
    1922年5月27日、イギリス、ロンドン生まれ。

「黄金銃を持つ男」(74)の悪役、殺し屋スカラマンガ。
 黄金製の銃弾を使用し、依頼料は100万ドル。身体的特徴は乳首が三つあり、サーカスで育った射撃の名手である。
 中国領海内の孤島に住み、従僕にニック・ナックという小人を使っている。ニック・ナックには、自分を殺したら全財産をやると言ってあるらしく、彼とは良いコンビである。ボンドには、同じ殺し屋として親近感を持っているようだ。
 愛人(モード・アダムス)は自由になりたくて、ボンドにスカラマンガを倒してもらおうと考え、挑戦状に見せかけた黄金の銃弾を送る。

 クリストファー・リーは、ハマー・プロの怪奇映画で吸血鬼ドラキュラ伯爵の役が有名。「フランケンシュタインの逆襲」では怪物の役も演じている。「007」の原作者イアン・フレミングの従兄弟である。
■ジャック・ブヴァール大佐
  演ずるのはボブ・シモンズ Bob Simmons
  1922年3月31日生まれ 1987年10月21日没

「サンダーボール作戦」の冒頭でボンドに殺されるスペクターのNo.6。
 英国情報部員を二人も抹殺した仇敵で、ボンドが狙う前に、眠っている間に死んだと見せかけ自分で葬式を出す。

 バルコニーのボンドが棺のJ・Bの頭文字を見て「自分の葬式を見ているようだ」と言う。本人は黒衣の未亡人に化けているが、自分で車のドアを開けたために見破られた。
 女装趣味を楽しんでいるようだ。
■ドクター・カナンガ(ミスター・ビッグ)
 演ずるのはヤフェット・コットー Yaphet Kotto
    1937年11月15日、アメリカ、ニューヨーク生まれ
 第8作「死ぬのは奴らだ」(73)に登場の悪役で、ニューヨーク暗黒街の麻薬シンジケートのボス、ミスター・ビッグ。その実はカリブ海の小さな島国サンモニクの首相ドクター・カナンガで、麻薬を無料でばらまいて中毒者を増やし、その後で値をつり上げて巨利を得ようと計画する。
 タロット占い師ソリテア(ジェーン・セイモア)を囲っていて、物事の判断に占いをさせている。

 原作小説でのミスター・ビッグはカリブ海の英領ジャマイカから大量の古代金貨を持ち出し、金相場を狂わせようと企むが、映画では麻薬王に変えられた。
 スペクターの首領ブロフェルドと悪役代表を二分するくらいに印象的な大物なのに、映画ではカナンガという名にしたり、貫禄も凄みも不足である。
 麻薬よりも、古代金貨の密輸と海賊血まみれモーガンの財宝の方がロマンがあって良かったのにね。
■カール・ストロンバーグ
 演ずるのはクルト・ユルゲンス Curd Jurgens
  1912年12月13日生まれ 1982年6月18日没。

「私を愛したスパイ」の悪役。海洋学者で、アトランティスと名付けた海中基地に住んでいる。腕に水かきがあるという設定で、他人との握手を嫌う。
 海を愛しており、世界を破滅させて海を中心にした世界を作る目的で、米ソ間に核戦争を起こさせようと企む。核ミサイルを入手するために両国の原潜を巨大タンカーで拿捕する。

 クルト・ユルゲンスはドイツの大スター。「眼下の敵」「史上最大の作戦」「空軍大戦略」など戦争映画に多く出演している。
■ヒューゴ・ドラックス卿
 演ずるのはミシェル・ロンズデール Michael Lonsdale
     1931年5月24日、フランスのパリ生まれ。

 第11作「ムーンレイカー」(79)の悪役。アメリカの大富豪で、地球の全人類を死滅させ、自分たち選民による新しい世界を築こうという「ノアの箱船計画」を企てる。
 アメリカにフランス風の宮殿を持ち、自費を投じた宇宙開発センターを経営する。知的で物静か、威厳のある悪役である。ボンドに協力した秘書兼パイロットの女性(コリンヌ・クレリー)を猟犬に追わせ、餌食にする冷酷さ。

 アメリカの大富豪の役なのに、ミシェル・ロンズデールはフランスの俳優。「ジャッカルの日」(73)では暗殺者ジャッカルを追うルベル警視を演じていた。
 原作ではイギリス人(実はドイツ人でナチの残党)の億万長者で本名はフーゴ・フォン・デル・ドラッヒュ伯爵。自費で核攻撃用大型ロケットを建造し、発射実験をよそおってロンドンに落とそうとする。 
■KGB(ソ連国家保安委員会)のアナトール・ゴーゴル将軍
 演ずるのはウォルター・ゴテル Walter Gotell
    1924年3月15日、ドイツのボン生まれ。
    1997年5月5日没。

「私を愛したスパイ」(77)「ムーンレイカー」(79)「ユア・アイズ・オンリー」(81)「オクトパシー」(83)「美しき獲物たち」(85)「リビング・デイライツ」(87)に登場。
 俳優ウォルター・ゴテルは、007シリーズでは他に「ロシアより愛をこめて」(63)にスペクター訓練所の指揮官役で出ている。

 ゴーゴル将軍は、「オクトパシー」では西ヨーロッパ進攻を主張する過激な将軍に対して「君は戦争を起こす気か!我々の軍備は防衛のためにあるのだ」と、しりぞける。東西協調主義者である。
 セクシーな秘書を持っていて、彼女に手を付けているようだ。年を取ってもお元気なことで。
■ジョーズ
 演ずるのはリチャ−ド・キール Richard Kiel
    1939年9月13日、アメリカのデトロイト生まれ。

 第10作「私を愛したスパイ」(77)に登場する敵の殺し屋。鋼鉄の歯を持つ不死身の大男である。
 その人間離れしたキャラクターが人気を呼び、続けて第11作「ムーンレイカー」(79)にも登場するという、めずらしい悪役となった。最後は改心してボンドを助けたり、金髪の可愛いガールフレンドまでできる。

 身長218センチ、体重143キロ。12歳で、すでに現在の体格だったそうである。もしかして映画俳優では一番の巨漢かも?
 映画では他にも「大陸横断超特急」(76)に同じようなキャラで登場している。
イアン・フレミングの原作小説   翻訳 井上一夫
■ハヤカワ・ミステリ文庫
     (以前はハヤカワ・ポケット・ミステリで刊行)
 「死ぬのは奴らだ」  1954
 「ドクター・ノオ」    1958
 「ゴールドフィンガー」 1959
 「サンダーボール作戦」 1961
 「わたしを愛したスパイ」 1962
 「女王陛下の007」(ポケミス版は「女王陛下の007号」) 1963
 「007は二度死ぬ」(同じく「007号は二度死ぬ」) 1964
 「黄金の銃を持つ男」1965
 「オクトパシー(旧題はベルリン脱出)(短篇集) 1966

■創元推理文庫
 「カジノ・ロワイヤル」  1953
 「ムーンレイカー」    1955
 「ダイヤモンドは永遠に」 1956
 「ロシアから愛をこめて」 1957
 「バラと拳銃(旧題は「007号の冒険)(短篇集) 1960

 オススメ作品は「死ぬのは奴らだ」「ドクター・ノオ」「サンダーボール作戦」。創元推理文庫では、「カジノ・ロワイヤル」(第1作です)です。
 ハヤカワ文庫版はジェイムズ・ボンド、創元推理文庫版はジェームズ・ボンドと表記している。楽天ブックスなど、ネットで購入できます。
 絶版の可能性もあり。


イアン・フレミング
   1908年5月28日生まれ。
 戦前はロイター通信の記者、第二次世界大戦中は海軍情報部長の中佐待遇として従軍。戦後、「007シリーズ」の創作に集中。
 
1961年、アメリカのJ・F・ケネディ大統領が愛読していると発表され、一躍注目された。
 1964年8月12日、最後の作品「黄金の銃を持つ男」を校正中に、心臓麻痺で死去。
■ジェイムズ・ボンドの容姿
 身長183センチ。体重76キロ。体格は骨細。目は青。髪は黒。右頬に縦に、さらに左肩にも傷跡。
 万能選手。拳銃、拳闘、ナイフ投げの名手。変装は用いず。外国語はフランス語とドイツ語。
 喫煙多量。悪癖は飲酒、ただし度は過ごさず。ほかに女。買収可能とは思われず。(ロシアから愛をこめて)
 「男前だけど、何か冷たくて無茶なところがある・・・」 ヴェスパー・リンドの感想(カジノ・ロワイヤル)

[特徴] 無造作に櫛を入れた前髪。長めのまっすぐな鼻と短い上唇、その下に大きくて格好はいいが、残忍そうな口がある。
劇画「007シリーズ」  さいとう・たかを  月刊「ボーイズライフ」(小学館)連載
 かつて、さいとう・たかをさんの劇画「007シリーズ」が存在しました。007ブーム最盛期だった時に小学館が版権を取得したものです。

「死ぬのは奴らだ」「サンダーボール作戦」「女王陛下の007号」「黄金の銃を持つ男」が劇画化され、月刊誌「ボーイズライフ」(小学館)に1964年から67年まで連載されました。

 この中で連載当時に映画化されていたのは「サンダーボール作戦」だけです。「ボーイズライフ」の人気作品で、連載終了後、さいとう・たかを作品はオリジナルの「挑戦野郎」。そして1968年に青年誌「ビッグコミック」が創刊され、「捜し屋はげ鷹登場」「ゴルゴ13」へと続きます。
 「死ぬのは奴らだ」 1964年12月号〜65年8月号
 「サンダーボール作戦」 1965年9月号〜66年3月号
 「女王陛下の007号」 1966年4月号〜12月号
 「黄金の銃を持つ男」 1967年1月号〜8月号

 1966年(昭和41年)に刊行された新書判サイズのマンガ単行本(コミックスの走り)、ゴールデン・コミックス(定価220〜250円)に全4巻として順次発売されましたが、現在は読むことができない幻の作品です。

 その後、2015年12月に小学館からB6判サイズのコミックス全4巻として刊行された。
 長年読むことができない作品だったので、この復刊はたいへん嬉しい。
 007の影響で生まれたスパイ・ドラマ
■「0011ナポレオン・ソロ」
    The Man from U.N.C.L.E.

 1964年にMGMが製作を始めたテレビドラマ。国際秘密諜報機関アンクルに属するソロとイリヤが、犯罪組織スラッシュを相手に活躍します。日本では1965年から68年まで、101話が放送されました。

 ソロとイリヤの名コンビ。漫才みたいなやりとりが面白く、これは日本語吹替えが良かったのですね。
 万年筆型の通信機で「オープンチャンネルD、こちらソロ」とかやってるけど、現代は携帯電話が当たり前の時代になりました。
 子供心にもオシャレなドラマだと思いましたが、先年放映されたのを見ると、それほどでもないです。
 世界各国にアンクルの支部があるというのが物語のスケール感を生み出しているけど、撮影はセットと国内ばかりで海外ロケは少なかったようです。

 私が好きなのは、アンクル本部で働くきれいなお姉さんたちの格好良さ。タイトスカートの腰に小型拳銃のホルスター。ブラウスの胸には三角の認識プレートを着けている。彼女たちこそ最高のキャリアウーマンです。
 姉妹編に「0022アンクルの女」というのもあって、こちらはステファニー・パワーズ(エイプリル・ダンサー、声・野際陽子)が主演。

  出演 ロバート・ヴォーン(ナポレオン・ソロ、矢島正明)
      デビッド・マッカラム(イリヤ・クリヤキン、野沢那智)
      レオ・G・キャロル(ウェイバリー課長、真木恭介)


■「スパイ大作戦」
    Mission:Impossible

 1966年〜73年まで、フジテレビ系で第1〜7シーズン全171話が放送された。

 当局から指令を受けたリーダーが、任務に応じてメンバーを選び、実行不可能とされるような困難な任務を遂行する。スパイ組織が政府機関なのか民間なのかまったく不明です。

「君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局はいっさい関知しない」というテープレコーダーの声(大平透)による指令と、自動的に発火して燃えるのがよかった。
 任務に失敗しても当局は助けてくれないという非情感があって、それがスリルにもつながっていました。

 任務内容は東側要人の亡命を助けるとか、誘拐された人を救い出すとかが多いようで、緻密に計算された計画をメンバーたちが各人の特技を使って実行してゆくものでした。
 リーダーは第1シーズンではブリックス(スティーブン・ヒル、声は同じ若山弦蔵さん)で、おなじみのフェルプス(ピーター・グレイヴス)になるのは第2シーズンから。
 女性メンバーのシナモン役のバーバラ・ベインさん(声は山東昭子さん)が子供心にもセクシーでドキドキしました。

  出演 ピーター・グレイヴス(ジム・フェルプス、若山弦蔵)
      マーティン・ランドー(ローラン、納谷悟朗)
      バーバラ・ベイン(シナモン、山東昭子)
      グレッグ・モリス(バーニー、田中信夫)
      ピーター・ルーパス(ウィリー、小林修)


 「0011ナポレオン・ソロ」のオープニング。


 「スパイ大作戦」のオープニング。
 バーバラ・ベインさんがセクシーだった。