白土三平さんの漫画
 私が忍者に興味を持ち、格好良いと思うきっかけになったのは白土三平さんのマンガの影響です。

 中学生の時に初めて「忍者武芸帳 影丸伝」を読んで、そのおもしろさに夢中になりました。当時は小学館のゴールデンコミックス版だったのですが、そのご処分してしまって残念に思っていたところ、1993年に小学館叢書で復刊されました。
 忍者の非情さや、主人公やヒロインが無惨に死ぬなんて、子供の頃に読んでいた少年マンガではあり得ないことでした。

「忍者武芸帳」と短編集「忍法秘話」は私にとって生涯の愛読書となっています。 

 小学館叢書の「忍者武芸帳」「忍法秘話」「ワタリ」
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 題 名 出版社/価格   内 容 紹 介
忍者武芸帳 影丸伝
  全8巻
小学館叢書
 ¥1165
小学館文庫
 ¥638
 過酷な戦国時代を舞台にした忍者漫画の古典で、白土三平さんの最高傑作。
 父の仇、坂上主膳を追う剣客結城重太郎や謎の忍者影丸。影一族と明智忍群の戦い。明智光秀や織田信長、無風道人、林崎甚助など、多彩な登場人物。明智光秀が渋い。
 ヒロインの明美と螢火は無惨にも・・・合掌。
  (1959〜62年作品 初出は貸本単行本、その後に小学館ゴールデンコミックス)
カムイ外伝
 
全12巻
小学館叢書
¥1165
 変移抜刀霞斬り。飯綱落とし。抜け忍カムイの追っ手との戦い。孤独な逃亡生活と非情な忍者の世界を描く。
 他に「カムイ伝」という大長編作がありますが、この外伝の方が断然おもしろい。
「週刊少年サンデー」(1965〜66)に連載されたものと、後に「ビッグコミック」(1982〜86)連載された作品が収録されています。
 ビッグコミック連載作は白土さんの実弟岡本鉄二さんが描いています。「カムイ伝」の後半から作画を担当されたと思うのですが、岡本鉄二さんのデッサン力には驚嘆です。
   「忍風カムイ外伝」のタイトルでアニメ化。1969年4月からフジTV系で全26話が放送。
サスケ
  全8巻
小学館叢書
 ¥1165
 真田忍者大猿の息子サスケの成長物語。大坂落城の頃を舞台にしていて、服部半蔵や謎の忍者四貫目が登場する。「微塵がくれ」「風移し」「春花の術」など忍法の解説もあって、なるほどと納得させられます。
 惜しいことに、後半は画風が変化して魅力がなくなり粗雑な絵になりました。赤目プロが設立(1963年)され、作画担当者が代わったせいだと思われます。天真爛漫な少年忍者ものだったストーリーも、階級闘争が持ち込まれて深刻な暗い話になりました。白土さんの心境の変化でしょうか?。おもしろいのは前半だけです。
  「少年」1961年4月号〜66年3月号連載。TVアニメ化され、1968年9月からTBS系で全29話が放送。
忍法秘話
 全5巻
小学館叢書
 ¥1165
「大摩のガロ」「いしみつ」「シジマ」「スガル」他、1960年〜65年に発表された55作品を収録した短編集。
「シジマ」「スガル」「くぐつ返し」など女忍者が登場する話が好きです(笑)。
 長編は「忍者武芸帳」、短編集はこの「忍法秘話」が白土さんのベスト作だと思います。
真田剣流
 
全2巻
小学館叢書
 ¥1165
 高熱の果てに死ぬという「丑三の術」の謎。真田剣流を学ぶ少女桔梗。真田の忍者たちと服部半蔵の伊賀者たちの戦い。忍者たちの権利を守る組合?として風魔一族が登場する。
「サスケ」の後半など、1964年あたりから白土さんは作品中に階級闘争を描くようになりました。
  「少年ブック」1964年9月号〜65年8月号連載
風魔 小学館叢書
 ¥1165
 公儀隠密の犬丸半蔵は「忍びの社会」を完全支配するために、忍びの権利を守る風魔一族の壊滅をたくらむ。裏切りや二重スパイ。
「真田剣流」の続編として、「少年ブック」1965年9月号〜66年8月号連載。
忍者旋風
 風魔忍風伝 全2巻
小学館叢書
 ¥1165
 それを知る者は天下を手にするといわれる「竜煙の書」(実は毒ガス製造法が書いてある)をめぐって、 豊臣、徳川、風魔一族が入り乱れての死闘。
「風のフジ丸」というタイトルで1964年にTVアニメ化されました。見た記憶はあるけれど内容は憶えていません。   (1959年作品)
初期傑作集
 
全5巻
小学館叢書
 ¥1165
「忍者人別帖」「赤目」「死神少年キム」「狼小僧」「無風伝」など、1959〜65年に貸本単行本や少年マンガ月刊誌に発表された長・中・短篇を収録。
カムイ伝
 
全15巻
小学館叢書
 ¥1165
 非人の境涯から抜けるために忍者の世界に入るカムイが主人公というより、百姓(下人)の正助を中心に江戸時代の農村を描いた作品。
 階級制や搾取される農民の悲惨さが強調され、作者の思想がフルに描き出されています。学生運動が盛んだった頃には支持されたそうですが、私は好きではありません。誤った歴史観を教えるおそれがあります。  「ガロ」1964年12月号〜74年7月号連載
ワタリ 全4巻 小学館叢書
 ¥1165
 百地と藤林の二つに分かれ対立する伊賀の里に、巧妙に仕組まれた陰謀。謎の忍者0(ゼロ)、ワタリ一族、そして友人や愛する者の死。はたして本当の敵は誰か?何もわからず操られ、戦わされて死んでゆく伊賀の下忍たち。
 部分部分は面白いが、話が難解で複雑すぎて、これは失敗作だと思います。
  「週刊少年マガジン」1965年18号〜67年37号(途中中断有り)連載
■小学館叢書版は絶版になっています。
 
現在は小学館文庫から刊行されていますので、文庫版なら入手可能です。