王家に捧ぐ歌ーオペラ「アイーダ」よりー

2003年7月21日 1F10列82番、 8月9日 1F13番25番、8月10日 2F6列28番

初見感想

プログラムさえ目を通さずオペラを題材にした作品〜知識しかなかった。
新生☆組は、お目当てのスターもいず、ただ作品を楽しもう、、と
結構気楽に観劇に望んだ。
新TOPコンビ評判の女役に挑む安蘭けい、そして組替の汐美真帆立樹遥を意識していた。

一言、よかった、、満足した作品でした。
観劇して丸1日たった今もあの安蘭アイーダの濡れるような大きな瞳と真っ赤な唇が強く印象に残っている。TOPコンビには悪いが今回の作品はタイトルどおりアイーダが全てでした。
3時間の観劇時間がこんなに短く感じたのは久し振り。
1部終了で大きく溜め息をつき、作品の中に入り込んでいた自分をようやく取り戻し、
2部は先が読めない展開に一緒にドキドキ。終焉はこうなったのか!!
肩の力が抜ける感じでした。
周囲を見る余裕さえなく、豊かで魅力的な安蘭アイーダの表情を追うだけで、
胸が一杯になってしまう。
頭のてっぺんから、つま先まで一部の隙間無く女優でした
そして全身全霊で恋する女になっていた。
*ツボは銀橋 裸足の2人のラブシーン、安蘭アイーダが背伸びして湖月ラメルダに強くしがみつく。
キラキラ光る指先よりも大きな瞳が光っていた。上手席で安蘭の表情を瞬きもせず凝視していた。
開幕から、まるでTOPコンビのように湖月安蘭2人船での登場。
これがラストの場面とつながる、、黄泉の国からの死の船だ。
今回の作品に限り デュエットダンスさえなければ、TOPコンビを誰しも見間違うだろう。
 
フィナーレでは ほんとに湖月の心からの笑顔を見た。
TOPを楽しむかのように 大らかで大きな まさにBIGなTOPスター。
いつの間にあの湖月が、、感慨深い。
アイーダが命をかけて愛した湖月ラメルダ。しっかり大きな身体と心で受け止めていた。
全く違和感は無い。強くて逞しく 誠実で純心。アイーダでなくても、アムネリスでなくても、
世の女性は誰しもが 憧れるヒーロー像。
湖月はよく歌っていた、、こんなに歌う姿は見たことがないくらい。心を込め歌ってはいたが
後少し 弱い、、一番大事な奥底まで響かないのだ。
アムネリアス。歌、演技とも押し出しが強くなり、一段と美貌が冴える。
どんなに派手な金銀ピカピカのお衣装でも、負けない 美しさ。上手くなりましたね〜
3人の配役のバランスがよい。
星組 今いるこのメンバーでの最高の配役、そして最高の作品!
 
マイヤ・プリセツカヤ(世界的有名なプリマバレリーナ)の鳴り物いりの振り付け場面
凱旋のシーンとデュエットはきれいに仕上がってはいるが イマイチ印象が薄い。
 
テーマは
「押し潰す側の大国の将軍と押した潰される側の小国の王女の悲劇の恋
 戦いは人間の1番基本的な幸せを押し潰して行くだけ 不戦への誓い」
 
祖国と愛の狭間で揺れ動く安蘭アイーダがいとおしいかった。
そして この世で幸せになってほしかった。
 

2、3回目感想
              2003年8月9日 1F13列25番、10日2F6列28番
 
今回の下手席では湖月わたるの表情がよく見えた。前回 上手席では安蘭けいでしたから、、
特筆は アムネリスの印象が変った、化けた。
初見では 安蘭アイーダを絶賛した。2回目でも一層安定感を増していた。
 
安蘭アイーダに良き影響を受けたか、アムネリスが決まる。
美しさだけが際立った前回と比べ 今回は感情移入ができた。
命令口調の大きく はっきり言い切るセリフもキリリと決まり、高貴な王女を印象つける。
感情も溢れるばかりにでていた。
情に流されず、自分の成すべきことを行う為、身を切られるように感情を抑える。
抑圧された部分と発散する部分との兼ね合いが上手い。
湖月は将軍の名を呼ばれた後の雄叫び〜ポイント
は押し出しは強いが 歌の音程は不安定。
TOP2人の課題は最後まで歌でした。
ところが今回女官2人(叶、陽月)は歌に関しては問題外、困った。
エチオピア囚人達(仙堂花歩、琴まりえ等)は表情も歌もいい。
専科2人(箙、一樹)組長(英真)も最高。
 
フィナーレの男役群舞が好き。
若手5人が銀橋に並んだ時 無意識に朝澄けいを探した。
汐美立樹のポジションには多分夢輝朝澄がいただろう。
汐美の濃い演技を追いながら ヘス役の夢輝を思い出していた。
そしたら 朝澄は、、、思い入れのある星組は時々過去を引きずる。
フィナーレ 銀橋目の前は真飛
黒塗りのオールーバックの髪型は男らしく精悍。
今回短いソロダンスを含め 本来の濃い演技を見せてくれた。
細身の入り姿を重ねながら 星組はしばらく真飛君中心に観るだろう。
そして柚希、嶺と続くだろう。
 
2F席は 奥行きのあるフォーメーションがよくわかった。
 
 
「戦いは新たな戦いを生むだけ」メロディが大きく流れ テーマがしっかりしている。
見ごたえがある。舞台がどんどん変化して人物に奥行きを感じられ飽きさせない。
いいですね〜
卓越した演技を見せる安蘭けいが檀れい湖月わたるを引っ張り
組全体、作品全体の質を上げていった。
東宝は本当に期待していいだろう〜*