『藤澤清造貧困小説集』紹介・批評集
「彷書月刊」2001年8月号

明治二十二年石川県鹿島郡七尾町に生まれ、昭和七年東京の芝公園で凍死した『根津権現裏』の作家、
藤澤清造の作品集を、金沢の版元が刊行。表紙絵と扉絵はつげ義春。泣けるなあ。扉を開けると「まこ
とに済みませんが、一つ面倒見てください。拝みます。清造」。泣けるなあ。粕井均の「藤澤清造 同
時代評・ゴシップ細見」も丁寧で、かつ、面白い。
今なら間に合うと思う。藤澤清造が拝んでいるのだから、五百人の読者の一人になれる機会をぜひ。
本を作るって、心意気なんだなあと思います。本当に泣けるなあ。(七痴庵)

藤澤清造貧困小説集が届きました。
造本がとても良いと思いました。私の絵がお役に立てて嬉しく存じます。

六月六日付 つげ義春氏葉書より

「点燈者軟骨新聞」No. 106

点燈者軟骨新聞は、甲府の深澤久雄氏が発行している、
知る人ぞ知るつげ義春ファンのための新聞。今回の清造
の本の発行に当たり、第一面に左のとおり、テポドン級
の紹介をしていただきました。感謝、感謝。
以下、読みやすいように紹介文を再録します。

 龜鳴屋からの贈物! 
 貧乏神も裸足で逃げた藤澤清造その世界を

 長編私小説『根津権現裏』作者・藤澤清造の末路は
 芝公園で凍死。だが、その作品と名前は死後もなお
 か細くも語り継がれてきた。彼の代表作『根津権現
 裏』などは現在途方もない金額で取引されていると
 聞く。だがしかし、金沢のかめ龜鳴屋、幸子を泣か
 せてまでお手頃価格で皆様のお手元に届けると言う
 大盤振る舞いだ。(略)幸子に笑顔を…。