今からおよそ三百年前の江戸時代、元禄年間に金沢の方々で悪魔払いが大流行した。当時悪魔払いは弥彦送りとか、または弥彦払いと呼ばれていたが、この弥彦払いが訛って「やひこばば」となった。悪魔払いは、家に病人が出たり、不幸があったりすると山伏に頼んで厄払いの祈祷をしてもらった。経文を唱え、錫杖を打ち振って歩く者。踊り手は、白布で頭を包み、柿色の法被にたっつけ袴をはき、一人は背に笈を背負って般若の面を入れ、一人は悪尉の面を入れ、付き人の者たちは、弓、鉞を持って歩く者、唐櫃をかつぐ者もいる。高足駄を履き、ホラ貝を吹き、太鼓をたたいて行進した。この悪魔払いは、幕末には影をひそめてしまい、祭礼の余興として今に伝わってきた。 |
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