金平内視鏡外科研究所<エルク>は,小さなきずで手術することにこだわる外科医達のネットワークです.

 

最近の手術症例 No.20 2003年10月                                               <ほかの症例を見る>

直腸癌と胆石の同時手術も小さなきずで

2年前から便に血が混じるということでしたが,痔があるので,痔からの出血だと思っていたそうです.

最近便に混じる血の量が多くなったので心配になって来院されました.大腸カメラを受けたところ,

直腸の上の方(S字状結腸との境目くらい)に悪性腫瘍(がん)が発見されました.腫瘍は大きめでした

が,腹腔鏡下手術で取れる範囲でしたので,小さなきずで手術することにしました.準備の段階で,

胆嚢(たんのう)に石がたくさんあることがわかりました.きずの位置をうまく工夫すれば,直腸も胆嚢も

同時に腹腔鏡の手術ができると考え,計画を立てました.右は実際のきずの位置です.へその下に

1.5cm,右わき腹に5mm,右下腹に12mm,左上に1cm,左下腹に5cm,そしてもうひとつ,よくみない

とわかりませんが,みぞおちの右側に,3mmのきずがあります.右下腹に昔受けた虫垂切除術(いわ

ゆる盲腸の手術)のきずあとも見えます.

<大腸カメラで直腸に大きな腫瘍を発見>  <バリウム注腸検査で黒く抜けている部分が病変> <MRI写真左上で黒い丸型に抜けている部分が胆石>

手術はおよそ4時間で終わりました.直腸は自動縫合器を使ったダブルステイプリングという技術で縫い合わせました(2003年3月の症例参照).

遠く離れたリンパ節まで取りましたが,病変近傍のリンパ節にだけ病巣の転移がみられただけでしたので,直腸腫瘍は根治したと判断できます.患者

様の術後経過は,驚くほど順調でした.このような手術では,腸の動きの回復が早く,おならが早期に出るので,食事の開始も早いのが特徴です.

<この手術で切り取った胆嚢・胆石(上)と直腸腫瘍>                        <この手術を行ったやわたメディカルセンターは,麻酔科の宮口先生と外科の

                                           吉羽先生を迎えてグレードアップしました.右からDr川西,Dr宮口,Dr吉羽>

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