金平内視鏡外科研究所<エルク>は,小さなきずで手術することにこだわる外科医達のネットワークです.

 

最近の手術症例 No.15 2003年4月                                            <ほかの症例を見る>

くり返す逆流性食道炎に対する腹腔鏡下Nissen法噴門形成術

今回の症例は42歳の男性です.数年前から胸焼けを自覚していました.内視鏡検査により,逆流性食道

炎が発見されていました.胃液や胆汁,あるいは膵液などが胃の中から食道に逆流し,食道の粘膜を

傷害してしまう疾患です.薬で抑えられることもありますが,薬を止めると再発することも多いのです.

くり返しているうちに食道が短くなったり,細くなったり,あるいは食道の粘膜が性質を変えてしまい癌が

発生する可能性も出てきます.欧米では若い年代でこの病気にかかる人が多く,癌の発生を心配して

多くの人が手術による治療を受けています.日本では比較的少ないのですが,近年食生活の欧米化に

より若い世代の逆流性食道炎が少しずつ増えてきているといわれています.

 

 

 

 

<透視でバリウムが胃から食道に逆流する> <逆流防止手術:胃の上部を襟巻き状に食道に縫い付ける> <襟巻き状の噴門形成術が終わったところ>

 

逆流性食道炎を治す手術には,数多くの種類がありますが,わたしはNissen式噴門形成術と言う方法で行っています.この方法は,胃の上のほうを,

食道の最下端にまきつけて,逆流防止にふさわしい形に作り直す方法です.この手術では糸で胃を縫い付けるための技術が必要です.内視鏡の

手術で,針を通したり糸を結んだりするのは至難の業ですが,熟練により克服でき

るものです.従来はおなかを25センチくらい切ってこの手術を行っていましたが,

上の写真のように内視鏡手術で小さなキズで同じ手術が行えます.患者様の術後

経過はすばらしく順調で,手術後6日目で退院されました.現在は長年苦しんだ

胸焼けに悩まされることもなく,薬も飲まなくても良い状態でお元気に生活されて

いると報告がありました.

今回の手術は横浜の栄(さかえ)共済病院で行いました.

左の写真は今回の手術のスタッフです.

 

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