金平内視鏡外科研究所<エルク>は,小さなきずで手術することにこだわる外科医達のネットワークです.

 

最近の手術症例 No.18 2003年7月                                               <ほかの症例を見る>

胃がんを小さな傷の手術で治す (LADG)

今回の症例は72歳の女性です.胃の下半分のところに大きさ2センチくらいの早期胃がんがみつかりま

下した.リンパ節に転移している可能性があると判断される病期でしたので,リンパ節郭清を行う胃切除

の適応です.いままでの手術ではみぞおちのところからへそのところまで約20センチおなかを切り開いて

手術を行っていました.わたしたちは内視鏡の力を利用して,1センチくらいのきずが2ヶ所,5ミリくらいの

きずが2ヶ所,そして5センチのきずが1ヶ所という小さなきずで手術を行います.5センチのきずは,左の

写真にあるように,みぞおちのところに横方向にできます.そこから胃を取り出して,がんのところを切り取り

残った胃と十二指腸を縫い合わせます.このような手術を腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(ふくくうきょうほ

じょかゆうもんそくいせつじょじゅつ)と呼んでいます.わたしたちは英語の略でLADGと呼んでいます.

 

 

写真左は,自動切離縫合器を使って,胃と十二指腸を切り離しているところです.この自動切離縫合器は直径1センチ2ミリです.写真中は,リンパ節郭清

を始める前の様子です.下に膵臓(すいぞう)があります.右に胃が見えています.右から直径5ミリの超音波手術器具が挿入されています.その先端の

黄色い脂肪組織に含まれているリンパ節を郭清します.写真右は,リンパ節郭清が終了したところ.肝臓・胃・脾臓に栄養を養う動脈のまわりの脂肪やリンパ

節がなくなり,動脈がはだかになっています.

患者様の術後経過はきわめて順調で,翌日には病室内を歩行され,きずの痛みも

軽く,お元気で退院されました.顕微鏡検査の結果では,がんはきれいに取りきれ

ており,予防的に郭清したリンパ節には転移はありませんでした.

この手術は福井県敦賀市の市立敦賀病院外科の先生方と協力して行いました.

市立敦賀病院オペ室のスタッフの方々.左から小串Ns,金平,中村Ns,藤本Dr,

角田Ns婦長,木下Dr,足立Dr,富田Dr

 

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