金平内視鏡外科研究所<エルク>は,小さなきずで手術することにこだわる外科医達のネットワークです.

 

最近の手術症例 No.14 2003年3月                                 <ほかの症例を見る>

直腸絨毛腫瘍に対する腹腔鏡補助下前方切除術

今回の症例は男性です.直腸上部に直径5センチほどの大きな腫瘍がみつかりました.内視鏡で

細胞を調べたところ癌の一歩手前の病変でした.放っておくと,大きくなり出血することもありますし,

癌が発生する可能性もありますから切除することになりました.エルクにTEM(経肛門的内視鏡下

マイクロサージェリー:2002年2月,12月,2003年1月の症例参照)の適応ではないだろうかと紹介

がありました.たしかにこのケースでは腫瘍は肛門から約20センチのところにありましたので普通

ならTEMの手術器具がぎりぎり届く範囲です.しかし,今回は直腸の屈曲が強く,内視鏡でも直腸の

直線化が困難でしたのでTEMでは不可能と判断しました.そこで我々は次善の策をとることにしまし

た.その方法とは,腹腔鏡を使って直腸を切り離し,4センチのキズから病変部を含む腸を体外に出

して切り取るというやり方です.直腸は体の深いところにありますので,体の外に出して縫うことがで

きません.このような場合,自動縫合器を使ってダブル・ステープリング・テクニックで腸をつなぎます.

         

<術前の腸検査:黒三角で囲まれた球状の部分が病変.>   <2種類の自動縫合器でダブルス・テープリング・テクニックにより腸をつなぎ合わせる>

 <実際の手術:自動縫合器@で直腸を切離>       <自動縫合器Aで直腸とS字状結腸を吻合する> <切り取った直腸.直径5センチの大きな絨毛腫瘍>

 

切り取った直腸を開いてみると,腸の中が充満するほどの大きな球状の腫瘍が見られました.完全に病変は切り取られていました.患者様の術後経過

もすこぶる順調でした.きずが小さいこともあり痛みも軽微でしたので,翌日にはもう歩行を開始されていました.腸の動きの回復も早かったので,早期に

食事を再開することができました.今回のような手術を腹腔鏡補助下前方切除術(ふくくうきょう ほじょか ぜんぽうせつじょじゅつ)と呼びます.

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