金平内視鏡外科研究所<エルク>は,小さなきずで手術することにこだわる外科医達のネットワークです.

 

最近の手術症例 No.16 2003年5月                                               <ほかの症例を見る>

大腸がんと胃がんの同時手術も小さなキズで

今回の症例は55歳の男性です.なにも自覚症状がなかった方ですが,会社の人間ドックで病院を訪れ

ました.胃カメラを受けると,食道から胃に入ってすぐのところに異常がみつかりました.ぱっと見たら,

見落としそうな病変ですが,平らで少しくぼんでいて,色がやや赤みを帯びています.大きさは2センチ

弱です.細胞をつまんで顕微鏡の検査に出したら,小さいけれど「胃がん」という返事でした.しかし細胞

のタイプがおとなしく(高分化型),粘膜の中に限られた範囲のがんが疑われたため,ここだけうまくくり

抜けば十分な治療になると予測しました.まず,内視鏡でくりぬくことを考えましたが,病変の場所が,

難しいところにあるため,がんが取り残される危険があり,この方法を断念し,胃内手術でとることにしまし

た.胃内手術に関してはすでに説明しました.ところが入院して検査を進めるうちに,大腸がんも見つかって

<手術後のおなか.小さなきず5か所です>   しまいました.大腸内視鏡検査をしたところS字状結腸というところに大きさ4cmほどの腫瘍が見つかった

のです.負けてはおられません.わたしたちは,いままでの

経験を生かして両方とも小さなきずで切り取ることにしました.

胃内手術では4ヶ所のきず,そしてS字状結腸切除でも4ヶ所

のきずが必要ですが,両方に兼用のきずになるようにうまく

場所を考えて,5ヶ所のきずだけでふたつの別々の手術を行う

ことに成功したのです.患者様の経過はすばらしく順調で,手

術の翌日から歩行ができました.痛みも少なく,おどろくほど

短期間でお元気になられ,退院しました.胃内手術では胃も

<胃内視鏡.2cm弱のくぼんだ早期胃がん>    <大腸内視鏡.4cmの大腸がん>     ちゃんと残りますので,食生活も素晴らしく,大変満足されて

いるとのことです.この手術は石川県小松市のやわたメディカルセンターで川西外科医長,浅海外科医師と共同で行いました.

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