2003ミステリ感想(1月・2月)
2月
「汚名」(多島斗志之)
お勧め!
今は亡き叔母の過去を調べていうちに明らかになっていく様々な事実と過去の大事件とのつながり。そして明らかになる意外な事実。
多島斗志之は寡作だけど、どの作品もお勧めマークがつきます。「わたし」が運命の糸に引きずられて過去を探っていき、たどりつく結末。絶対お勧めです。
「六月はイニシャルトークDE誘拐」(霧舎巧)図書館にあった霧舎学園の本。コピー機にひっかかっていた図面と落ちていた時間が書かれた紙。そして起こった誘拐事件…
今回はおまけなしかと思ったら…。「カレイドスコープ島」の月島が出てくるということは、このシリーズも「あかずの扉研究会」もつながっているということなのでしょうか。
「神田川見立て殺人」(鯨統一郎)難事件に間暮警部が登場して美声で歌謡曲を歌うと「これは見立て殺人です。犯人はこの中にいます」と断言する…
殺人を9つの歌謡曲に無理矢理見立てて解決してしまうバカミステリです。設定的に面白いけど、ワンパターンで、アリバイトリックも新しさがありません。「さよならをするために」は爆笑でした。
「殺人は広告する」(セイヤーズ)広告代理店で階段から落ちて死んだ男。その後任の文案家は事故死について捜査を始めるが…
設定的に面白いが、ミステリ的興味よりも広告代理店の様子をいきいき描くことに筆が費やされているようです。ウィムジィ卿のクリケットシーン等、作者が楽しんで書いているようですが…
1月
「フレームアウト」(生垣真太郎)紛れ込んでいた映画のフィルムは、本当の殺人を撮したスナッフ映画なのだろうか。「メフィウス史上最大の挑戦」である仕掛けが見破れるか…
読み終わってからなるほどと思いましたが、それほど衝撃的でもないような。文章がちょっと読みにくかったです。映画好きの人はいろいろな映画の蘊蓄も出てきて楽しめると思います。
「サイコロジカル下」(西尾維新)
お勧め!
ついに起こった殺人。いーちゃんは監禁された地下牢から出て謎を解こうとするが、限られた時間で謎は解けるのか。
読み終わったらもう一度読み直したくなります。すごいなあ。面白すぎます。いまだにいーちゃんと友の過去が不明なので次作が楽しみです。
「ゲームの名は誘拐」(東野圭吾)
お勧め!
「誘拐ゲームをしよう。」広告のチーフを降ろされた男が、偶然始めた大勝負。果たして誘拐劇は成功するのか。
伏線が張り巡らされていて、先が読めてしまうのですが、それでもさすが東野さんという新しい誘拐物の試みです。主人公が「嫌な奴」らしいのですが、それほどには思いませんでした。むしろ頭がいいと感心しました。

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