2004ミステリ感想(5月・6月)
6月
「覆面作家は二人いる」(北村薫)自分の邸では借りてきた猫、それが一歩外に出るとサーベルタイガーになる二重人格の新進小説家新妻千秋。彼女は神のごとき名探偵だった。
私と円紫さんシリーズよりも軽くて少女漫画っぽい設定で読みやすい感じです。殺人や誘拐はあるけれど軽いです。
「夜の蝉」(再読)(北村薫)
お勧め!
消えたチェスの駒と卵の問題とは。推理作家協会賞を受けた「私」と円紫さんシリーズの続編。
ミステリだけど「私」と姉の関係が感動的に描かれています。私の成長の物語として続けて読む必要があります。「六月の花嫁」が好きです。
「空飛ぶ馬」(再読)(北村薫)
お勧め!
喫茶店でなぜ女子高生たちは紅茶に砂糖を何杯も入れるのか?など、女子大生の「私」と円紫師匠が日常の謎を解く連作。「日常の謎」派を生んだ古典的名作。
ほのぼのとした殺人のないミステリと思っていて再読したら、ピノキオさんや「赤頭巾」の悪意にぞっとしました。ラストが感動的な話だから印象がいいんでしょうね。
「誰も私を倒せない」(伯方雪日)
お勧め!
殺されていたのは覆面レスラーだった。プロレスと格闘技の狭間で、最強を求めて事件は起こる。格闘技本格ミステリ。
創元お得意の連作長編です。格闘技もプロレスも素人ですが、楽しく読めました。格闘技と本格の両方への愛情が一杯です。第三話が強烈です。
「はじまりは青い月」(新庄節美)盗まれた宝石を取り返すために二代目紅蝙蝠が参上。彼女は女子高生だった。
ジュブナイルとして安心して読めます。怪盗の孫と名探偵の孫の対決というのも楽しいです。
「パンチとジュディ」(カー)結婚式の前日HMからの電報の指示で主人公は事件に巻き込まれていく。ドタバタ劇の末に殺人事件にまで巻き込まれて。
ファースあふれる作品で、一体何が起こっているのか分からないまま最後の意外な結末まで進んでいきます。笑えます。
5月
「さよなら妖精」(米澤穂信)雨に濡れて出会ったユーゴから来た少女。様々な日常の謎の末にわかった事実とは。
いわゆる日常の謎派なんでしょうが、高校生の日常がよく描かれていて楽しいです。が日常とは別のところに真実があったりして、一読の価値はあります。
「各務原氏の逆説」(氷川透)高校の校内で死体が発見される。ピアノを踏み台にして自殺したのだろうか。
各務原氏が思ったほど活躍しないのと、逆説が今いちなのが残念でした。叙述トリック?が今いちピントこなくて。ところで「生まれ変わり」って?
「白昼蟲」(黒田研二)望遠鏡で目撃した殺人。その後死体は教会で発見された。いじめが事件に暗い影響を及ぼしていた。
ハーフリース保育園の二作目で期待して読みましたが、いじめという重いテーマを扱っていて話もごたごたしていました。次郎丸の過去がわかって良かったです。
「禁じられた楽園」(恩田陸)熊野の大自然の中に作られた巨大な野外美術館。そこに招待された者は恐怖の体験をする。
ホラー映画のようです。野外美術館が異様で怖いです。自分の嫌な思い出をつかれると怖いですね。ラストは某アニメを思い出しました。
「ハッとしてトリック」(鯨統一郎)W杯日本代表候補のサッカー選手が銅像にまたがって爆死した。その後もサッカー選手の奇怪な死が続く
ちょっと叙述が入っているかも。飛び降りのトリックはダメではないかと。あっさりと読めましたが。

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