2004ミステリ感想(9月・10月)
10月
「太陽と戦慄」(烏飼否宇)「導師」に導かれロックバンドを結成したストリートチャイルド。10年後、メンバーは次々と殺されていく。現場には不思議な物が置かれていた。
特殊な設定できちんとミステリしているのはすごいです。見立てがなかなか複雑でした。ただ教祖の死の真相は今一つかも。ラスト、某映画を思い出しました。
「パズラー」(西澤保彦)謎と論理のエンターティンメント。6つの論理のアクロバットに驚かされる。
トリッキーな「チープトリック」や、あやふやな過去を解きほぐしていく「蓮華の花」「時計じかけの小鳥」等、どれも満足させられる短編集です。論理的に解き明かしていくのは西澤さんの真骨頂ですね。
「赤い霧」(アルテ)10年前に不可解な状況で殺された男。その謎を再調査しようとすると再び起こる殺人事件…
2部構成だけど、第1部で解決されてしまっているので、第2部があまりぴんと来ませんでした。ホー○ズまで登場するのは笑ったれど。
「龍臥亭幻想上下」(島田荘司)再び龍臥亭に戻った石岡と里美。雪に覆われた中、伝説の魔人が蘇り、連続殺人が始まる。
巫女の死のトリックはわかったけれど、森魔人は最後までわからず、面白かったです。ただ御手洗と吉敷のクロスというのが期待ほどではなく、吉敷も不可思議な事件を解決せずに去るのがどうしてと思いました。
「幻影のペルセポネ」(黒田研二)殺された先輩の死の謎を解くためにバーチャルワールドに侵入した。そこで死体と遭遇。仮想と現実とで殺人の謎を解かなければならなくなる。
オンラインゲームの世界での殺人と現実世界での殺人を上手にくっつけてあって、力作だと思います。ただ複雑な小細工がされすぎかも。
「生首に聞いてみろ」(法月綸太郎)彫刻家が死に、その娘をモデルにした像の首がなくなっていた。これは殺人予告なのか…
期待ほどではなかったけれど、浮かび上がってくる真相に驚かされました。悲劇でした。ただ題名がいまいちです。
「夏の名残の薔薇」(恩田陸)山奥のホテルで開かれるパーティ。 三人の姉妹がしきるホテルで殺人が。
クローズドサークル物だけど、一筋なわにはいかない展開で驚かされました。本格かというと?だけど眩暈がしそうな構造が楽しめました。
「殺人者と恐喝者」(ディクスン)晩餐の余興で催眠術をかけられた妻が夫を刺し殺してしまう。しかしそのナイフはゴムのナイフのはずだった…
賛否両論というトリックは、余裕でアウトだと思いました。それはないよ、カーさんと言いたいです。
9月
「蛍」(麻耶雄嵩)
お勧め!
サークルで「ファイアフライ館」で肝試しすることになった大学生のサークル。そこは過去に惨殺事件の起きた場所だった。そして…
クローズドサークルの大傑作。さすが。使い古されたと思われる叙述トリックが目新しい驚きを与えてくれます。最後の生存者は一体誰なんでしょうか。
「逆さにさいた薔薇」(氷川透)小説が事件を予言していた。女性連続殺人事件の犯人は?名探偵祐天寺美帆再登場!?
ダメでした。「最後から二番目の真実」の彼女が探偵役だが、もっとストレートに探偵させてほしかったです。氷川作品は登場人物たちが微妙に絡み合って氷川ワールドを作っていますね。
「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」(ローリング)
お勧め!
不死鳥騎士団が結成される。ハリーは夢を見る。扉の向こうには何が…
ハリーが怒ってばかりなのは反抗期のせい?前作のラストを受けているので話が暗くなっています。スネイルがハリーにつらくあたる理由もわかりました。あと2巻、どうなるのでしょうか。
「ハリーポッターと炎のゴブレット」(ローリング)
お勧め!
三大魔法学校対抗試合でもりあがるホグワーツ。しかしその陰で…。ハリー最大のピンチ。
ご都合主義だと思われたところがそうではなくて驚きました。前作の教師たちがまた上手くミスディレクションになっています。彼が死ぬのはちょっと残酷に思えましたが。魔法合戦でどたばたしているのに最後に…で意外でした。

戻る