2008ミステリ感想(5.6月)


6月
『Re-born』あらたな「はじまりの一歩」を若手作家達が書いたアンソロジー。
「よろこびの歌」はありえないと思いながらもちょっとホロっときて、「あの日の二十メートル」はなかなかいい話を読ませてもらったという感じでした。瀬尾まいこは『戸村飯店』の話だったのでがっかりでした。やっぱり巻末の伊坂幸太郎、離婚して一家バラバラになる時に父の携帯に届いたナンパのメール。「家族一緒でいいなら」と返事を出すと…。面白すぎでした。
『虚夢』(薬丸岳)通り魔殺人をしたが心神喪失で罪にとらわれなかった犯人とその被害者家族が交錯すると…。
ちゃんとした本格ミステリですが、さすがに三作目ともなると結末が読めてしまいました。しかし刑法第39条について考えさせる作品に仕上がっていて、薬丸岳は「新社会派本格ミステリ派」とでも言えそうです。
5月
『賢者の贈り物』(石持浅海)妻からのカメラのフィルムのプレゼントの意味は、鍋パーティの後靴を忘れていった女性のは誰か、10の日常の謎をとことん推理する。
日常の不思議な出来事をいろんな視点で推理していくのが面白いです。特に妻からのフィルムのプレゼントの意味を考える表題作が気持ちのよい作品になっています。ただ「玉手箱」は消化不良な感じで残念でした。
『チルドレン』(伊坂幸太郎)「俺たちは奇跡を起こすんだ」家庭調査官の陣内は居酒屋で言い切った。5つの奇跡のような物語。
「短編小説のふりをした長編小説」です。奇妙な銀行強盗の話、時間の止まった場所などミステリ要素も高いです。「チルドレン2」がとてもカッコイイです。

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