2018年読んだミステリベスト10
1『彼方のアストラ 1〜5』(篠原健太)
SF本格ミステリ漫画。何度かのどんでん返しにしびれた。伏線回収によるミステリ的解決も見事だった。

2『静かな炎天』(若竹七海)
次々事件が舞い込んできてはなんとなく解決していく、という表題作が短編のお手本のような作品だった。最後の作品はクリスマスにピッタリの笑話。

3『女郎蜘蛛』(パトリック・クェンティン)
ピーターが親切というか、持たざる者への同情心から窮地に陥る。張りめぐらされた蜘蛛の糸に絡められていき、絶体絶命。伏線も張られちゃんとミステリしている。クウェンティンのミステリ、自分と波長があって、大好き。パズルシリーズから順番に読むべし。

4『秘密 season0 7』(清水玲子)
宇宙開発に取り組む科学者集団と犯罪捜査をする第九の正義のぶつかり合い。重たいテーマをエンターテインメントにしているのがすごい。近未来ミステリ漫画。

5『元年春之祭』(陸秋槎)
中国文化+新本格! 2回の読者への挑戦状にミステリ愛を感じるし、消えた犯人トリックにはおおっと思った。キャラ立ちすぎ。

6『カササギ殺人事件』(アンソニー・ホロヴィッツ)
下巻読み始めてビックリ。前巻は…だったのか。小説と現実の二つの事件が上下巻でたっぷりと描かれとても贅沢なミステリ。意外な動機にミステリファンとして微妙な気持ちに。

7『ホワイトコテージの殺人』(マージェリー・アリンガム)
ホワイトコテージで殺されたのは最低な男で、誰もが疑わしい状況。主人公の恋愛要素もあるが、第20章は衝撃的だった。

8『探偵が早すぎる』(井上真偽)
事件後に解決するのではなく、事件前に解決する探偵。トリック返しがめちゃくちゃ面白かった。ラスボスも一筋縄ではいかず。ラスト、思わずうるっときた。

9『あやかしの裏通り』(ポール・アルテ)
裏通りに迷い込むと過去や未来が見え、そして裏通りは消えてしまう…。めちゃくちゃ不可能な状況。トリックがちょっとわかりにくいが、真相には満足。

10『探偵AIのリアル・ディープラーニング』(早坂吝)
AIが探偵をするだけでも面白いが、最初から完ぺきではなくて、「フレーム問題」や「不気味な谷」などを乗り越えて成長していくところが良かった。学校で不思議な事件が連続して起きる必然性が納得した。

番外『水滸伝 1〜6』(北方謙三)
中国を舞台にしたハードボイルド。途中のある死が衝撃的で、小説内の登場人物の死がこれほど衝撃的だったのは生まれて初めて。6巻以降も登場人物たちが死んでいく滅びの美なので、続きが読めなくなった。


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