「落書き」 by しのす
あれは、小学生の時のことだった。
家の前のブロック塀に黒い字で落書きがしてあった。
カラースプレーで書かれた文字は、「ヌード」だった。
小学生だった僕は、父親に半べそをかきながら消すように訴えた。
父親は、困ったような顔をして、それでも雑巾とシンナーを持って消そうとしてくれた。
しかし「ヌード」という字は、少しだけ薄くなりはしたが、消えることはなかった。
僕はとても恥ずかしかった。どうしたらいいか真剣に悩み、遂にあるアイディアを思いついた。
すなわち、「最後にルという文字を書く」という事を。
ヌードルならば、恥ずかしくない。頭にカップをつければ、日清の宣伝になる。
もしかしたら宣伝料も取れるかもしれない。
僕はそれをすごい解決法だと思った。そして得意満面にそのアイディアを家族に提案した。
しかし、家族の誰も取り合ってはくれなかった。
僕は、とても悲しかった・・・
(これはノンフィクションです)
(投稿日:11月02日(月)21時30分28秒)