『テーマ館』 第23回テーマ「ブロック」


 「他人の思考(スキャナーズとは無関係)」   by  しのす


      おっこの女なかなかいいな顔もスタイルも胸なんかもきっと彼氏がいて一体どんな・・・
      今晩の夕食はカレーねルーはまだあったし牛肉は冷凍のを使ってタマネギそうだタマネギがなかった・・・
      テスト悪かったなあ母さん怒るだろうな何よこの点数ってでもそういうあんたの子だからしかたない・・・
      上司だって単に何年か早く生まれただけなのにえばりやがって仕事もできないのに・・・

      「他人の考えが流れ込んでくるですか」
      きれいな顔してるのに残念だな頭がいかれているのだ他人の考えが流れ込んで来るってでは今の
      私の考えも読みとっているっていうことかまさか・・・
      「あ、おほん、そうですね、ブロックしなさい」
      まさかだよなでもこの女見透かしたような目で見てなかったかまさかまさかだよな
      とりあえず適当にあしらって追い払おう薬はたっぷりポイントをかせいでと・・・
      「ブロックですか?」
      「そう、ブロックしなさい。防壁を作るのです。他人の考えをシャットアウトしなさい」
      我ながらいいアドバイスだ当たり障りのないだめでもともと・・・
      「でもどうやって?」
      「他のことを考えるのです。とにかく自分の考えで頭をいっぱいにして他人の考えが入る余地を
      なくしなさい」

      医者にすれば適当なことを言って追い払ったつもりだったのかもしれない。
      しかし彼女は藁をもすがる気持ちで試してみることにした。
      またパリに行きたいなモンマルトルの丘の白い寺院サクレクール寺院だあそこからみるパリ全景は素晴らしかった
      (パリ全景のイメージ)でも絵を描かせてというしつこい男たち日本人目当てなんだ「エーカカセテ」って日本語

      そして中年サラリーマン風の男、買い物袋を抱えた主婦、暗い顔つきの中学生、会社員の声が消えた・・・
      確かに自分の考えで頭をいっぱいにして、さらにイメージを頭に浮かべるならば
      他人の考えが入ってくる余地がなくなったのだ。
      彼女は最近悩まされていた他人の思考から解放された安堵感を味わった
      タクシーをつかまえて乗り込む。
      「どちらまで」
      「○○大学までお願いします」
      彼女は○○大学で事務職をしている。仕事に自分の思考を集中させることにした。
      イメージを頭いっぱいに浮かべて、運転手、道行く人々の思考をブロックした

      いい女だこいつを今夜の犠牲者にしてやろう○○大学か丁度薮も近くにあるしそこへ連れ込んで・・・
      タクシーの運転手の思考は、他人の思考をブロックした彼女にはわからなかった

                                                                      
(投稿日:11月14日(土)22時25分50秒)