しかし・・・ 「えー、んん、皆様、本日はお忙しい中、ご臨席を賜りまして誠にありがとう ございます。 ただいまご紹介にあずかりました通り、私はこの度「大貫友男」君と「早瀬雪枝」 さんの晴れのご婚儀に媒酌人という大役を仰せつかりました「高野良郎」でござ います。 まずは、先程当ホテルの挙式場におきまして、滞り無く夫婦のちぎりを結ばれ ましたことを皆様方にご報告申し上げます。 それでは、お二人の簡単なプロフィールをご紹介させていただきます。新郎 「友男」君は、昭和48年1月1日に「大貫貴志」様のご長男としてお生まれに なりました。中学高校とたいへん優秀な成績でご卒業され、W大学を卒業と同時 に当社高木物産に入社、現在私がおります営業部に勤務され、後輩からの信頼の 厚い優秀な営業マンとして活躍しております。 新婦の雪枝さんは、あっ」高野は、紙を落とした。 一瞬の静寂、それを破ったのは、新郎大貫友男の一言だった。 「ねぇ、ボクチン、新郎?それとも新婦だっけ?」 と友男は鼻をほじくりながら、新婦に聞いた。 (01月31日(土)01時15分14秒)