横断歩道で信号が青に変わるのを待っている時、君と出逢った。 横断歩道の向こう側にいる君は、輝いていた。 髪はショートカット、濡れた大きな瞳、微笑を浮かべた唇。 男性の目を釘づけにする大胆な胸元、きゅっと締まったウエスト、 ミニスカートからすらりと伸びた足。 僕は見た瞬間、君の虜になった。 こんな気持ちは生まれて初めてだった。 君こそ僕のための女性、これこそ運命の出会いだった。 信号が青に変わる。 人々が一斉に動き出し、君と僕が近づいていく。 何か声をかけなければ。この出逢いを永遠の愛にしなければ。 勇気を出して−−。 「ばば、ぶー」 「まあ、かわいい赤ちゃんね」 横断歩道上で、赤ん坊から声をかけられて、ショートカットの濡れ た大きな瞳の女性は、乳母車の赤ん坊に笑いかけた。