お正月の故郷で、三十数年ぶりに餅搗きをしました。正確にいつまで搗いていたか記憶がないのですが、

 大学へ行く頃までは搗いて居たはずなので、私には38年ぶりではないかと思います。

 暮れにある山里で見かけた餅搗き風景を見て、昔の餅搗きを思い出したのでした。

記憶が次第に曖昧になっていく母を見ていて、まだ元気な内に昔の楽しかったことを思い出してくれたらと思い、

 行き当たりばったりの準備をしたのでした。母に話したら、臼をちゃんとひやかしておかんと駄目だと。

 ひやかすとは、臼に水を張っておき、一晩水を吸わせておくことである。

 31日に抜かりなく、その準備はしておいたので、母に叱られることなく、無事に準備が出来ました。

しかし、餅米を蒸す段階で、困った。蒸し器を借りてきたのだが、使い方がよく分からない。

 結局、蒸し器の持ち主の姉が来るまで、待つことにした。

 近所の方が母を訪ねてきており、記憶が薄れていく母とのとんちんかんなそれで居て楽しい会話が続き、

 あっと言う間にお昼となり、姉が来て、問題は簡単に解決し、お米は20分ほどで蒸し上がりました。    

 2升の餅米を3回に分けて蒸し、昨年納屋の掃除で見つけた臼で、ペッタンペッタンと搗くことが出来ました。

92歳の母にこの姿を見せることが出来ました。

 目が白内障にかかっている母には、きっと良く見えなかったと思いますが、その代わりに良く聞こえるようにと、

 杵を大きく上げて大きな搗き音が出るようにしました。

 昔から、数回に1回、姉とのあうんの呼吸で、この音が出るように叩きつけるように打ち下ろすタイミングがあるのです。

 姉は本当に久しぶりでしたが、素早く手返しし、替わりばんこで搗き上げました。

 餅は昔のように搗きたてを小分けして、醤油を少し付けていただきました。懐かしい味でした。

こうして一時だけ我が家には、祖父、祖母、父、兄、を含めた昔の家族全員が揃うことが出来ました。

 新しい家族も加わり、今年の7月には新しい一族が増えることも分かり、楽しいお正月を終えることが出来ました。

 遠く、アメリカやドイツに行っているものや、いろんな事情で集まれない者も居ますが、

 兄以外の子供4人が元気に集まれたことは、何よりの親孝行だったと思います。

 

母は、またしばらく施設に預かっていただくことになりますが、今度は春 花見の頃に集まりたいと思います。