皇紀 2679年 蛍 の歌

   蛍 文部省唱歌

 ひょんなことからこの歌を思い出した。 
 ネコヤナギのことを調べていた中で、辿り着いたのです。

 ヤナギには二つの漢字がある。 柳と楊  
 前者は枝が、枝垂れる柳である。 むかしなつかし銀座の柳とか、幽霊が出る柳である。
 後者は猫楊の様に、直立、株立ち、ほふく、を示す楊である。 川縁に良く繁茂し、治水対策で用いられる楊である。

 そして唱歌の中のヤナギは、川端に繁茂するヤナギなので、原文では楊の字が使われていた。
 それ故に、ここに出てくる螢は、川沿いに育つゲンジボタルのようである。 オスは川端の茂みから、飛び出して高く飛ぶ。

  螢(ゲンジボタル) 文部省唱歌

ほたるのやどは かわばた楊、 楊おぼろに ゆうやみよせて、 

 かわのめだかが ゆめみるころは、 ほ、ほ、ほたるが ひをともす。

かわかぜそよぐ、楊もそよぐ、 そよぐやなぎに ほたるがゆれて、 

 やまのみかづき かくれるころは、 ほ、ほ、ほたるが とんででる。

かわらのおもは さつきのやみよ、 かなたこなたに ともよびつどい、

 むれてほたるの おおまりこまり、 ほ、ほ、ほたるが とんでいく。

もちろん五月(さつき)は陰暦五月であり、今の6月頃を示すのですね。 

 

 ヘイケボタルの場合は、沼地や田んぼに生息するので、こんな歌詞になるのかな。

 昼間は、稲の葉影やあぜの草葉の陰で過ごし、暗くなると、動き出すが、あまり高くは飛ばないし、あぜ道を歩き回るずぼらなオスもいるのである。

   ヘイケボタル 編 

ほたるのやどは たんぼのいねよ 、 いねのはかげに ゆうやみせまり、 

 たんぼのかえるが なきだすころに、 ほ、ほ、ほたるが ひをともす。

ゆうかぜそよぎて、いねのはゆれる、 ゆらぐはかげで ほたるもゆれる、 

 たにまにまんげつ のぼるころに、 ほ、ほ、ほたるも とんででる。

たんぼのあぜみち ホタルのすみか、 かなたこなたで ともよびつどい、 

 むれてほたるの ひかりのじゅうたん、 ほ、ほ、ほたるが むれひかる

                    

 来年、ヒメボタルの生息地が見つかれば、ヒメボタル編も考えてみたい。 

 一般に言われている習性から森の陸生ホタルであるが、自分の目で見てからにしたい。

                金沢ほたるの会員