「ナールトvv」

いつものようにナルト宅の窓から不法侵入してきたカカシが、いつになくご機嫌な声でナルトの名前を呼んだ。

「何?」

掃除機片手に後ろを振り向けば、何かの術の印を組み終えたカカシの姿があった。
瞬間眩しい閃光が走り、ナルトは咄嗟に目をかばった。
気が遠くなる。

幻術か…!?くそ、油断した。…掃除、途中…なの…に……

白濁していく意識の中、ナルトはカカシの「ごめーんね。ちょっとだけだからv」という声を聞いた。



ぱっと意識が回復した。
時計を確認すると、意識を失っていたのは10分程度。

あいつは何をやりたかったんだ?

頭をスッキリさせようと左右に振って、ナルトは違和感を感じた。

視界が狭い。
片目しか見えてない。
そして視点が暗部用に変化している時並に高い。
変化しているわけでもないのに。
そして、自分のチャクラの質。
このよく知っているチャクラは……。

嫌な予感を感じながらナルトは鏡へ向かった。

鏡に映った姿は……

カカシだった。

ああ、やっぱり。
考えたくないがカカシの身体の中に自分(ナルト)の精神が入っている状態らしい。
山中家に伝わる心転身の術と同系統の術だろうか。
そこまで考えてナルトははっとした。

オレの身体!

間違いなく、ナルトの身体にはカカシが入っていると考えてよいだろう。
「ちょっとだけ」と言っていたが、そのちょっとの時間で奴は何をするかわからない。

中身ナルト外側カカシは慌てて部屋を飛び出した。





くそっ!カカシのやつどこ行きやがった!

とりあえず、カカシの家に向かい何か手がかりになる物はないか探ってみようと考え、道を急ぐ。
だが、自宅を出てほどなくしてよく見知った人間の姿を見かけ、ナルトは足を止めた。
今は急いでいるので素通りしてもよかったのだが、どうも様子がおかしい。

ヒナタのやつ、どうしたんだ?
道の真ん中で固まって…。
…!何かあったのか?どこか身体の具合が悪いとか?

自分の身体も心配だが、ヒナタのことは放っておけない。
そう思い、ナルトはヒナタの元に近づき話しかけた。

「ヒナタ?どうした?具合でも……」

具合でも悪いのか?そう尋ねようとしてナルトの言葉が止まった。
ヒナタに異様な雰囲気を感じたからである。
というか、殺気?
なんでヒナタから殺気?
普段のヒナタをよく知るナルトは驚く。
ナルトにとってヒナタは殺気とか血生臭い世界とは無縁な存在だった。

カカシ…先…生……?

ゆらりと、下を向いていたヒナタの顔が上がり、視線がぶつかる。

白眼状態なんですけど…?

その視線にも声にもこれでもかと言うくらいの殺気がこもっていた。
思わずナルトの背中にゾクリとしたものが走った。

こ、恐…。

暗部任務でもめったなことでは恐怖心など感じないナルトだが、ただの下忍なはずのくの一の殺気で恐怖を感じていた。

「ちょっと待った、ヒナタ…!」
問答無用です。カカシ先生

ヒナタは静止を促すナルトの声を遮り、それと同時に点穴狙いの鋭い掌打を放った。
ヒナタに殺気を向けられる覚えもなければ、攻撃される理由も思い当たらないナルトは慌ててその掌打を受け止める。
当たったらただではすまないことは必至。
かなり真剣である。
だがすぐさまヒナタはもう一方の手で攻撃を仕掛けようとする。
その攻撃も受け流しながら、ナルトは半ば叫ぶように声を発した。

「ヒナタ!オレ、ナルトだってばよ…!カカシの術のせいで中身が入れ替わってるんだ!」

「え?」





落ち着いて話を聞くと、ヒナタは中身がカカシのナルトにあることないことをあれこれ吹き込まれてショックを受けていたらしい。

カカシの奴、覚えてろよ…。


「ヒナタ、カカシが言ったこと、気にすんなよ?オレが好きなのはさ…////」
「ナルト君…////。でも、できたらそれは元に戻ってから言って欲しいな…。だって、今、ナルト君はカカシ先生だし…。見た目も、チャクラの雰囲気も…」
「あ、そうだな///。じゃあ、サクッと元に戻ってくるから…!」





その後、間もなくしてカカシを発見したナルトは、無事自分の身体に戻ることができた。
もちろん元に戻った後、カカシにきつーいお仕置きをしたのは言うまでもない。





**おまけ**

「あいたたた…。ナルトのやつやりすぎでショ…。」
腰を擦りながらつぶやくカカシ。
全身のいたるところに打撲・擦り傷を負い、湿布、絆創膏、ガーゼ、包帯で痛々しい姿になっている。
ナルトにしてみれば、自業自得、当然の結果となるわけだが。

「ま、二重人格娘の魔の手からナルトを守ることはできなかったけど、コレは手に入れることができたんだし良しとするか」
ふっと満足そうに笑い、一枚の写真を大事そうに愛読書のページの間に挟んだ。

ほんとはいつでも見れるように飾っときたいところだけど、見つかったら即没収されちゃうしね。
やるときちょーっと気色悪かったけど、コレは良く写ってるよ。うんうん。

カカシが大事そうにしている写真に何が写っているかといえば、
『眠っているカカシにそっと口付けるナルトの姿』だった。





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呪様!37564(皆殺しv)hit申告&リクエスト、ありがとうございました!
本当に本当に遅くなって申し訳ありませんでしたっ!
もう本当、リクエストもらったのもいつの話やら…といった感じですね。
現在11万hit軽く超えてますし…あわわ。

UP前に先に読んでもらって面白かったとOKもらってることだけが救いです。

2004/10/4