**むくわれる日?


「ナールト
いつものようにナルト宅の窓から不法侵入したカカシ。
語尾にハートを思う存分飛ばして、床に座っているナルトの背中に抱きつく。

「はいはい。今忙しいから後にしてくれ」
はじめのうちはいちいちカカシに対して『窓からじゃなく玄関を使え!』と言い聞かせたり、窓から侵入しないように窓の外にトラップを大量に仕掛けてみたりしたことがあったが、どれも効果がなかったため諦めた。
『だって、一秒でも早く会いたいんだもーん』と言うのが決まり文句。
『もーん』ってお前は子供か!と突っ込んでやるのも毎回のことだったが、いい加減同じことを繰り返すのも飽きた。

第一、今はカカシと漫才をやるより、この巻物を読みたい。
昨日、任務の報酬のオマケとして火影から貰った貴重な巻物。
複雑な暗号が使われており、書いてある内容が気になるのはもちろん、暗号を解いていくのが楽しい。

「え!?後ならいいの!?うふふふふ…。……ナルト、今夜は眠らせないよ……
耳元で囁いた。
腰にくる低音の美声。
カカシは腐っても里一番と言われるエリート上忍。
ナルトにはひどい扱いを受けているが、はっきり言ってモテる。
コピー忍者とも言われ、忍の技に長けるカカシは、色事に関してもかなりの業師。

ただ、黙っていても女が引っ切り無しに近づいてくるので、自分から積極的に口説く必要はなく、さらに来る物拒まず、去る物追わずなため、ベッドに入る前までに必要な技術は人並み程度かそれ以下。
そのため、カカシが珍しく積極的に口説いているつもりのナルトは今だ堕ちていない。


巻物に夢中になっていたため、突然腰に来る低音にさらされたナルトはビクッと体を振るわせた。
声を吹き込まれた右耳を咄嗟に押さえる。

カカシはそろそろいつものようにナルトの反撃がくると身構えていたが、今日はそれがない。

「ナルト?どうしたの?」
カカシは少し心配そうにナルトの正面に回りこみ、ナルトに目線を合わせる。
すると、頬を軽く赤く染めて、恨めしそうな視線を送るナルトと目が合った。

ナルトに迫っても相手にされず、それどころか怒られたり殴られたりが当たり前になっていた。
そんなちょっと過激なじゃれ合いが実は楽しみになっていたカカシは、いつもとは違うナルトの反応に戸惑う。
すっかりカカシはヘタレ根性が身に染み付いていたのだった。

「…してやってもいい。」
「…!えっ!?ナルト、今なんて言った!?」
思いもよらぬナルトの反応に驚く。

「…/////だから!してやってもいいって…二度と言わねえからな」
「ナルト…!」
照れ隠しにわざと乱暴そうに言うナルトがすごく可愛い。
ゆ、夢じゃないよね!?と自分の頬をつねるカカシ。

……痛い!夢じゃない!!
くーーーーーーー!!今まで耐えて耐えて耐えて耐えて、諦めずに口説いてきた甲斐があったよ!
がんばったね、オレ!
ありがとう!神様!
今日ばっかりは信じるよ、神様!

肝心の神様がどこにいるのか知らないので、とりあえず上を向いておけば間違いないだろうと適当極まりないことを考えながら上を向き、手を組んで感謝の気持ちを送った。
上を見て見えたのは、いるのかいないのか分からない神様ではなく、ナルトの家の天井だけだったが。

じゃあ、気が変わらないうちにイタダキマスと思った矢先……
「ただし」
ナルトはそこで一端言葉を区切り、右の人差し指を1本立て、カカシの唇に軽く押し当てた。

「え?ただし?」

「オレが上ならな」

そう言ってナルトがにやりと笑った。

「…!えーーーーー!!!!」
ナルトの言葉に心底驚くカカシ。

「ナルト本気!?本当にナルトが上!?ナルトがオレを抱くの!?え!?ていうかナルトできんの!?」
そう言って、覗き込むようにナルトの股間をじーっと見つめる。

「このアホ!どこ見てやがる!」
膝を勢い良く曲げてカカシの顎を狙う。
カカシは咄嗟に身体を後方に反らし、膝蹴りを避けた。

「だってさ〜」

「…10年後ぐらいの姿に変化するから問題ない」

そう言ってナルトは変化の印を組む。
ボフンを煙が立ち、現れたのはナルトの面影が充分に残る青年。
はっきり言ってかなりいい男。
しばし、見とれるカカシ。

うわー。ナルトってこんなにキレイになるんだ〜。
今も充分カワイイけど、成長したのもなかなか。
何ていうの?大人の色気ってやつ?

「さあ、シようか…?」
蠱惑的な笑みを浮かべ、カカシに迫るナルト。

ナルトの言葉にハッと我に帰るカカシ。
「……ねえ、本当にナルトが上?オレが下?」

「ああ。じゃなければこの話はナシだ。さあ、どうする?」

ナルトとヤレるチャンスはそうそうない。…ていうか初めて。
でも、オレが下、オレが下、オレが下……(汗)
どうする、どうしよう、どうすれば……





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報われているようで報われていない(笑)。
さて、カカシはヤラれちゃったのか…?
個人的には、とりあえずは受身だけど、後から立場逆転なリバなストーリー展開が…もごもご。

この話は2月頃からノートにメモしてあったんですが、ついこの間やった「受け攻め度チェック」にシンクロしてて笑いました。
日記で書いたように、連載開始年から誕生年を計算するという適当なものですが、カカシは受でナルトが攻になったので。

ところで、ナルトは大人に変化してヤルというのはどうやら初めてではなさげですが、
相手は誰でしょうね…?

2004/5/3