今のぷよ譜が出来るまで
今のぷよ譜が出来るまで
 私はぷよ譜というものに対して、1997年の3月まで深く考えはしませんでした。
 関西のぷよらー神南辺一実(以下、かずみ)さんが発行していた『N&T第n回ぷよ大会レポート』を何となく眺めているだけで、自分では『○×△□』を色ぷよとして『お』をおじゃまぷよとしてルーズリーフ等に簡単にぷよ図を記述していたぐらいでした。

 1997年3月には、石川で初めての公認大会がIPSの手で開かれました。
 N&Tの公認権を借りての開催だったので、大会後に「やっぱりN&Tみたいに大会レポートを作成した方がいいかなぁ」という考えと、自分でも大会レポートというものを作成してみたいという気持ちがあったので、N&Tのレポートを参考に自分なりのレポートを作ってみることにしました。

 文章やイラスト等は何とかなるとしても、一番問題であり自分が考え込んだのは決勝戦の試合をどう表現するか…でした。
 ぷよの表現については『○△□☆(色ぷよ)』『×(おじゃまぷよ)』とすぐに決まりましたが、ぷよ図はちょっと、ぷよ譜に至ってはかなり困りました。


 かずみさんの考案したぷよ譜形式(以下、かずみ式)でも良かったんですが、ぷよ図が分かりやすい反面、ぷよ譜は「少しデータ的すぎて見にくいかなぁ」と思いました。
 「もっと見やすくできるのでは!?」と私の中で何かの考えが浮かびはじめ、かずみ式からAJPA会報のなぞぷよ回答方法(以下、AJPA式)までいくつかのぷよ譜記述方式をあさってみました。
 でも、その中で一番対戦を記述するのにいいと感じたのは、かずみ式でした。
 AJPA式はどの段に置いたかも記述しなければならないので、浮いているぷよを使用する場合は正確に記述できる形式かもしれませんが対戦を記述するには余分な情報が多すぎます。

 かずみ式は『▽1▽1,◇2◇2,…』といった感じで記述されていました。組ぷよの一つ一つが置かれた列を記述してあり、途中1P2Pでぷよの順番が入れ替わっているところもありました。
 「あれ? 配ぷよが同じなのにどうしてぷよの順番が違うんだろう…」と疑問に思ったんですがすぐに納得、『▽1◇1』と『◇1▽1』は違いますね。
 そこで、配ぷよの微妙な曖昧さに気付きました。軸ぷよも回転ぷよも同じぷよとして記述してあることを発見して、新しい形式のカギを見つけたのかもしれません。

 かずみ式の組ぷよを置く列数を見ていて、また一つ見つけたものがありました。
 「列数の差が1より開くことはない…」って、軸ぷよと回転ぷよを同じ列か隣り合った列にしか置くことが出来ないなんて当然のことですよね。何を当たり前な事を再発見しているんだって気もしますけれど、その時は画期的な発見だったんです。
 「これが、何かの解決策につながるかも」って思いました。

 軸ぷよと回転ぷよ、この違いも見捨てることはできませんでした。
 紙にいくつもの記述方法の案を書いていき最終的に行き着いた所が、「軸ぷよを置く列数を記述して、回転ぷよを軸ぷよのどの方向に置いたかを記述すればいいんじゃないか」という案です。
 そして、その方向を示すものは『↑↓←→』で決定でした。(実は『上下左右』という考えもあったが、分かりにくいので止めた)
 この記述だと、縦である組ぷよを横に倒しても軸・回転ぷよの関係が保てているのに加えて、本来の配ぷよを簡単に理解することができるのでそれはもう考えついた時には感動でした。

 そして『○△1↑』のように記述することに決まりました。この場合は、「○を1列目に置いて、その○の上に△を置いた」というような感じで理解してくれればいいのですが…。
 ビデオを見ながら1Pのぷよ譜をノートに記述していてあることに困りました。軸ぷよと回転ぷよの位置です。
 一度ビデオを見ながら書いて見るとわかるのですが、組ぷよというのは軸ぷよが下で回転ぷよが上なんですよね。それを記述しようとすると、下の軸ぷよを最初に書かないとダメなんです。
 迷った末に「軸ぷよが主だから先に持ってくるべきだよな」と考えた私は、このままの記述方法でいくことに決めました。

 2Pのぷよ譜を記述し終えた時点で、「そういえば、配ぷよって1Pと2P…全く一緒なんだよな…」ということをノートを見て思いました。
 そういえば…と思って見直したかずみさんの冊子『t1996』には、1Pと2Pの両方の配ぷよが記述されていました。置く列によってぷよの順番が替わっていたので両方を記述する必要があったんですね。
 また、片方のプレイヤーの譜面だけを記述してあるものもありました。
 ここで、かずみ式に感じていた見にくさの一つを見つけることが出来ました。
 「1Pと2Pのぷよ譜が分かれすぎているんだ」、『プレイヤーの同期』がぷよ図を通してじゃないと少し分かり難かったんです。
 設置の記述の途中でおじゃまぷよ等の降下の記述もあったので、ぷよ譜の長さが同手数でも違っているのもその原因だと思いました。
 「そこを何とかできないか…」と考えた結果、『○△1↑』の、組ぷよの部分『○△』と設置方法の部分『1↑』を切り離して記述することにしました。これなら一つの組ぷよに対して1Pの2Pの設置方法が記述でき、コンパクトになります。

 設置記述が決まり、後はおじゃまぷよ記述と勝敗記述などです。
 どこに記述するかという問題には「設置記述の後ろ、もしくは配ぷよをずらして記述できるスペースを確保すればいい」という結論がすぐに出ました。
 おじゃまぷよ記述については、かずみ式をそのまま採用しました。それが一番いいと感じたからです。
 『全消し』という記述は止めて、代わりに『連鎖数』という記述をしてみることにしました。それについては○の中に数字がある文字があるので、1〜19連鎖までを表現できました(一部表示できないものがありましたが…)。
 次に勝敗記述ですが、これは勝ち側が操作中の組ぷよの所に、負け側は次に落ちてくるハズだったの組ぷよの所に表記することにし、これは『<W><D><L>』で示すことに決めました。
 あとは、参照図…ぷよ図を参照する場合には、1Pと2Pのぷよ譜内にA〜Zのアルファベットを配置することにしました。

 これでぷよ譜のフォーマットは完成、次はぷよ図をどうするか決めなくてはならなかったのですがこちらは簡単に仕様が決まりました。
 ぷよを示す記号以外は殆どかずみ式と同じです。ただ、追加として『消えているぷよ』についても黒塗りをしてみました。これだったらどこが消えているのかが分かりやすいと思ったんです。
 操作中なら黒塗りは2個だけ、消えている時は黒塗りが4個以上あるので、両者が混ざることは1〜2個消し以外はまずありえません。


 こうして、1997年5月3日に新しいぷよ譜形式(自称SRM形式)を大会レポートと共に発表しました。
 出した当初は「こんなぷよ譜で、誰か理解してくれるんかな…」って不安でした。
 でも、CSA石川地区の天光飛鳥さんが大会レポートの決勝の試合模様を、すぐに自らのホームページに掲載してくれていました。
 また、その一月ほど後には4研DDTさんが『ぷよぷよシミュレータ』というぷよ譜を記録するツールを開発し、その際私の発行した大会レポートを参考にしてくれたそうです。


 それから約1年経って、ぷよ譜の記録に困っていた「4色のぷよをどのような記号に割り当てるか」という問題を解決することにしました。
 今までは『○△□☆』の4つの記号で色ぷよを表現していました。SRM形式を作るうえでの考えが「ぷよ通対戦を記録する為のぷよ譜形式を作る」だったので、4つの記号で充分だと考えていました。
 でも、それだと記録する際に少し戸惑うのと、後から「これ何色だったっけ」と思い返すことが出来ない為、5つ目の記号を探しだし色を割り当てることに決めました。

 まずは5つ目の記号です。
これは「描きやすく、打ち出しやすい」また「他の4つの記号と混ざっても分かりやすくなければいけない」「黒塗りができる」という条件付きで記号表から探し出して…どう考えても『』しかありませんでした。
△□◇』の3つが混ざると少し見にくいですが、これは仕方ないですね。

 次は色の割り当てです。
 最初に決まったのが『』で黄色です。イメージ的にも合っていますね。
 それから『』の紫です。見た目が「紫」っていう気がしたのと、あとは他の『○△□』が光の三原色…「赤青緑」の一式にしたかったんです。そういう意味では『』は仲間外れなのかもしれませんが、『○△□』というのは昔から馴染みのある三大基本図形ですから。歌にもありましたよね。(笑)

 さて、『○△□』をどう色分けしましょうか。
 自分の希望としては普通のぷよは「緑」色だという感があるので『』にしたいのですが…。
 色々な人に聞いてみましたが、決定的な意見がありません。散々悩んでいた時、インターネット上で答えを見つけました。
 画像の読み込みの際に出る画像…『』が緑、『』が青、『』が赤になっていました! これはもう、それで決定するしかっ! と思いました。


 ここまでが私の考えてきたぷよ譜・ぷよ図の形式なのですが、これらは全てかずみさんが考案したぷよ譜形式があったからこそ出来た形式です。
 ぷよ通対戦記録に於いてはかなり分かりやすく記述できるようになったと思いますが、他のものにおいては記述できなかったり機能が劣ったりするのも事実です。また、かずみさんが言っていた「プレイヤーの同期」という事に関してもまだまだ改善の余地があります。
 まだまだぷよ譜は完全じゃないのかもしれません。これから、もっと全国にぷよを普及させていきたいと私は思っているので、初心者にも分かりやすくて簡単に記述できるぷよ譜形式が出来てくればいいなと考えています。

※余談ですが、もしも私が「軸ぷよが主だから…」とか思っていなかったら、ビデオから紙へとぷよ譜を記述することがもっと簡単になっていたのかもしれませんね。+と−…電子みたいな感じで、もう決めてしまったものだし諦めるしかないんでしょうか。(自分自身が「もう、面倒だけどこっちに慣れたしコレでいいや」とか思っているんですけどね)

白い悪魔
1999/04/16