D iary03−→ Diary04


 3月24日〜3月31日

『 ジュリアの法則』岸大武郎(秋田書店)

■□概要
 サスペリアミステリーコミックス。学園に毎回巻き起こる超常現象による数々の事件を超科学マニアの水島樹里亜が解決していくサイエンスミステリー。
 あ、飛鳥あきお先生!

■■□感想
 最近、歯医者に通っているんですが、歯医者ってなぜかDXマーガレットとか、なぜか少女マンガ雑誌が置いてあります。歯科医の子どもって女の子が多いんだろうか? そんなことはどうでもいいが、待合室でサスペリアを読んでいました。「三四郎の二乗」のきくち正太とか児島都なんかが読みきりを描いていて、けっこう読める雑誌だなぁ、と思っていたら連載陣のなかに岸大武郎の名前を発見しました。

 岸大武郎!!??

 この名前をご存知のかたはどれくらいいらっしゃるかわかりませんが、ぼくのなかではかなりのビッグネームです。マイ「昔好きだったけど消えてしまったマンガ家」ランキング1位に燦然と輝いています。
 ぼくと岸大武郎先生との出会いは、『21世紀の流れ星』で第26回手塚賞準入選、『水平線にとどくまで』で第29回手塚賞入選、と成合雄彦(現井上雄彦)ばりにビッグタイトルを連続して受賞して、ジャンプの増刊でデビューした時でした。同じくジャンプ増刊にて発表された『SOS!ムシムシ探偵団』をステップに本誌連載を勝ちとったときは、かなり期待された大型新人といった扱いだったように記憶しております(これらの3作は、集英社『21世紀の流れ星 岸大武郎短編集1』で読めます。もちろんただいま好評絶版中です。)。
 ところがその後、週刊ジャンプ連載作品『恐竜大紀行』、『てんぎゃん』を発表しましたが、なんというか、アンケート的には壮絶に失敗してしまって再起不能に近い状態でジャンプを去ってしまいます。その後はぼくも知りません。『恐竜大紀行』も『てんぎゃん』も、今もってコアなファンがついている良作なんですが。

 ずいぶん前置きが長くなりました。その岸大武郎がなんと、よりによってサスペリアに! もう、治療を忘れて家に帰ってさっそく検索したくなりました。とりあえず、治療を終えて、
検索しました。で、出てるんですね〜、単行本が。それもタイムリーにもこの間でたばっかりじゃないですか。気付かなかったなぁ。つーか、「昔ファンだった人は誰もコレが岸大武郎作品だ、ということに気がつかないだろう」と思います。なんせ絵が違いすぎる!
 よ〜くみると、確かになんとなく当時の面影があるような気がしないでもありませんが・・・。それにしても大分印象がちがう。この絵の変化に、この10年の間、岸先生にどんな葛藤があったのか想像できます。悲しいぜ。
 ストーリ自体は岸大武郎っぽく、かつてのコロコロっぽいというか、まぁ、なんとなくわかるんですわ。岸先生らしいなぁ、と。不思議大好き! みたいな。
 それに絵の変化にしても、さっきも書きましたが、人物の描きかたなんかをみると、そんなに急激に変化した、というわけではないんです。
 ちょっと古い感じの描きかたはあいかわらずですし、年月を経たゆえの変化である、と考えられるし、自然ではあります。
 ただ、絵の全体的な印象がぜんぜん違う。それって、なんでだろう?
 不思議に思って、短編集『21世紀の流れ星』を読みました。その結果、原因が判明しました。それは「動線の有無」です。

 岸大武郎は、デビュー時から徹底して、自らに以下に挙げる2つのルールを課していました。ものすごくストイックに。
    @フキダシ線を描くにあたって必然的にコマ枠線と隣接する場合、通常コマ枠線によって閉じられてしまうフキダシ線を閉じずに開放し、間白と地続きにする。

    A短編集『21世紀の流れ星』において、同短編集収録の『SOS!ムシムシ探偵団』を除く3作品すべて、動線を一切用いずに描かれている。
     また、余談ながら、『SOS!ムシムシ探偵団』では動線表現をペンによる線描きで表現されたシーンはほとんど見られない。スクリーントーンによる残像効果を抽象的に描いたものや、あるいは、単純な1本の線を数本重ねたものではなく、月状に形作る線による動線表現など、なんらかの工夫がなされている。

    Bコマ割りのこだわり。「奇抜なコマ構成に頼らないこと」。水平垂直に構成された実直なコマ割りで、悪く言うと古臭いコマ構成に徹している。
 とまぁ、こんな感じにかたくなにマイルールを遵守しているのですが、『ジュリアの法則』ではそれらのルールが一切無くなっていました。とくにAの動線表現について、岸大武郎は「ムシムシ」でかなり苦労しながら、単純な動線表現を避けながら、なんとか絵で表現しようと必死でした。またコマ構成も、かつての水平垂直で構成されたものではなく、なんというか、ありがちな、それなりに見栄えのするコマ構成になってます。
 ストーリだけ読めば、たしかに岸大武郎らしいなぁ、と思えるのですが、マンガ手法がかつてのものとは別モノになっており、そのため印象が全く違っているということです。
 え? 「ジュリア」はマンガ手法を変えたことによって、かつての岸作品にくらべておもしろくなっているかって? そういうことはけっして聞かないように。

 ところで、岸大武郎については、あとで「マンガ評」で画像をつけてとりあげようかと思います。んでは。


 3月16日〜3月23日

『 モンキーターン』河合克敏(小学館)

■□概要
 競艇職能マンガ。現在主人公の波多野憲二は若手の有力選手。競艇選手養成学校からプロへ、と一般にあまり知られていない競艇の世界を順番に解説しながら読める、といったところかな。

■■□感想
 とりあえず新刊16巻が出たので。
 上にも書いたけど、この作品は競艇の世界を順を追って説明してもらえてたのしい。いや、他の人はどういう読み方をしてるのかはわからんが、少なくともオレはそう。とくにストーリを気にしてはいない。つーか、競艇の世界観をわかりやすく説明しようとして組み立てていくと、それなりに物語ができてしまう、といった印象がある。そのため、前巻はどんなはなしだったのか、新刊が出るたびに忘れていることに気がつく。んで、新刊を読もうとするたびに、毎回前巻とあわせて2冊読む。
 とまぁ、こんなふうに書くとあんまり好きなマンガじゃないように思われるかもしれないけど、オレはこういうのが単に好きなだけかもしれないが、河合克敏の競艇観というのもそれなりにでているし、なにより丁寧でわかりやすい(読んでる間は)ので、それなりにおもしろいと思う。
 これはキャラ萌え〜ってわけでもないし、物語にも入り込まない読み方ではあるので、夢中になって読み込むってほどでもない。
 まぁ、ともかくオレの場合。熱心なファンの人がいたとするなら怒られるかもしれんね。

 でも、ケイコロさんはもっとひどい。
 いくらキャラ萌えでもなければ物語萌えでもない、とはいえ、オレはそれなりにストーリもちゃんと楽しんでいるし、キャラにしてもそこそこ好きだったりする。青島さんとか。ほかのキャラも名前くらい覚えている。
 ところが彼女はそうではない。
 前巻の粗筋を忘れるオレがいうのもなんだが、まぁ、とにかく忘れるのでケイコロさんに前巻の粗筋をたずねたりする。
    オレサマ「前巻、どんな話やったっケ?」
    ケイコロ「プロペラの話」
 それだけだった。そんなのはオレももちろん覚えてるわい。
    オレサマ「いや、どんな感じで終ったっケ? って聞いてるんやけど。。。」
    ケイコロ「ん? だからライバルの男の子が新しいプロペラ、つくってん。すごいやつ。」
 あげくに洞口雄大の名前すら覚えていない!
 あまりにあんまりなので、ここから急遽マンガクイズに突入した。
    @『あしたのジョー』 ジョーと力石。それ以外のキャラの名前を挙げよ。
     ケ「サンチョ・デ・パントス? そんな感じのラテン系。」

    A『うしおととら』 うしおの持ってる槍は?
     ケ「アホか。獣の槍に決まってるちゅーねん。」
     問「ではラスボスの名前は?」
     ケ「・・・上目遣いのヤツ。」

    B『夏子の酒』 夏子以外のキャラの名前を挙げよ
     ケ「にいさん。じっちゃん。」
     問「いや、名前。」
     ケ「・・・お父さん。お母さん。」
 さて、みなさんは上の難問にいくつ正解できますか?


 3月8日〜3月15日

『 サトラレ』佐藤マコト(講談社)
『HUNTER×HUNTER』冨樫義博(集英社)
『代紋 TAKE-2』木内一雅/渡辺潤(講談社)
『賭博破戒録カイジ』福本信之(講談社)
■□概要
『サトラレ』 サトリの反対。自分の考えが思念波となって他人にすべて伝わってしまう病気を「サトラレ」という。
参照

■■□感想
 『HUNTER×HUNTER』はマジでおもしろい。以前、おれはクラピカの絶対時間という設定に対して、以前不安視していたが、今、考えを改めました。どうもすみません。
 もともとこの人(冨樫ね。クラピカじゃなくって)は、『SLAM DUNK』や『キン肉マン』のように、戦い(試合)の内容自体を描写していくタイプの人じゃないんだから、絶対時間だろうがなんだろうが、関係なかったね。
 ちょっと「幽白」が頭をよぎったもんで。「面倒になってジャンプバトルでも始めるつもりか?」とか思ってしまいました。そうならなくてよかったです。いや、そう思ったオレがバカなんだけど。
 この人はとにかく設定としてルールをつくる。まず前提として読者に「こういうルールの世界なんだよ」と教える。この先は思考作業を繰り返していくわけだ。「このルール下では、こういう抜け道があって・・・」ってな感じで。「ハンター」には、その抜け道のおもしろさがある。
 ルール(規定)ってのは基本的に以下のような原則があると思う。
    ●守られるべき前提であること
    ●基本理念が明確(文章化などによって)に示されていること
    ●解釈の仕様によって幅が生ずる場合があること
 雑な考えかもしれんが、おれは勝手にこう考えている。付け加えると、構造上の必然的なルールではなく、世界観としてのルールに限っての話だ。
 なので、例えばマンガの場合なら「本になっているので、めくるという行為が必然的に行われる」といった類のものではない。
 んで、「ハンター」の場合、意識的にルールを構築し、そのルールに従った上で、いかに訪れたピンチを脱出するか、といった楽しさだ。ようは作者の「思想」ではなく、「思考」を楽しむ要素が大きいわけだ。

 また、その手の「ルールによって構築されていく世界観」のイメージとしてわかりやすいのは「カイジ」等の福本作品だ。『天』にしろ『アカギ』にしろ、麻雀をモチーフにしているが、実際の麻雀ではルールの盲点など、もはやありえず、すべては周知のものとなっている。よって、福本は必ず、オリジナルのルールを追加して、そのルールによって生み出されるひずみを、規制の抜け道として使用する。
 そのような方法論を突き詰めた作品が「カイジ」だった。たしかに福本説教もおもしろいけど、やっぱり「カイジ」のジャンケン勝負のような「ルールによって構築されていく世界観」を楽しむ度合いが大きいと思う。
 んで、『賭博破戒録カイジ』の2巻がやっとでたんだけど、ようやくジャンケン勝負のときのような、ルールの盲点系の話になってきた。まだ明かされていないけど、「それがある」ということが示された。楽しみだ〜。

 ところで、実は以外と『代紋 TAKE-2』の面白さも、「ルールによって構築されていく世界観」にあることが、最近わかった。
 「タイムスリップした主人公が、未来の知識を元にのし上がるカタルシスこそがおもしろい」んだとばかり思っていたが、それだけではない。少なくともおれの場合。
 だいたい、そのタイムスリップネタなんて、最初の10巻くらいで使い果たしているしね。
 それよりも、ルールだ。
 ヤクザ社会は、ともかく建前社会である、という風に「代紋」では描写されている。建前は規制でもある。民主主義的話し合いというのは、前提が明確でない状態において、はじめて有効にはたらく可能性が出てくる方法論であるが、「代紋」に描かれる建前社会は、その両方がうまくマッチしている。
 つまり、守るべきルールとして建前が前提として存在し、その上で、はじめて話し合いの余地が生まれるという世界観は、前述の2作の世界観に近い。建前というルールを利用して、主人公は知的ゲームを楽しむようにつぎつぎと難問を解いていく様を楽しんでいく読み方において、まったく同じだった。おれ的「代紋」の面白さはソレに認定。

 んで、最後になるけど『サトラレ』。ホントによくこんな設定考えたなぁ。サトリの反対ってことになると、思考がダダ漏れなわけで、そうするとあんなことやこんなことが全部みんなにばれてしまう。ギャース!! 恥ずかしすぎるぞ!  そこで、サトラレは自分がサトラレであることを知らないようにする、とか、そのため子どもの間はサトラレの街で徹底的に教育する、とか、いろいろと設定が決められてくる。
 また、サトラレが天才ってのも、なんか救いがある設定だと思うし。これで、サトラレがめちゃくちゃ極悪な性格傾向を示す、なんてことになったら、周りが耐えられんだろうし。
 とにかくよくできてるなぁ。想像力が刺激されます。いろいろと。


 3月1日〜3月7日

『 バリバリ伝説』しげの秀一(講談社)
■□概要
 高校生ライダー巨摩郡は、ライバルの聖秀吉と組んで鈴鹿の4耐に挑戦して勝ったマンガ。 なんじゃそりゃ(自虐ワラ
 こういう長期連載作品は、かいつまんで説明するのがむつかしいよ、まったく。全36巻ですわ。上の説明は10巻まで。

■■□感想
 これを読んでいたときは中学生だった(と思う)。今になって『イニシャルD』のヒットによって復刊されたので、なつかしいな〜と思って読みました。10数年ぶりに。  まぁ、それがおもしろいんだな。いわゆる「今読んでもおもしろい」というやつで。あ、「だから傑作」とか「だから名作」とかオッチョコチョイなことはいわないように。このテのマンガはそういうもんなんだから。『ハートカクテル』とは違うぞ。なんで『ハートカクテル』か、といえば、80年代つながりです。  「バリ伝」も80年代の作品なので、ネームとか絵の装飾なんかがちょっと今となってはサブいです。でも、気になるのはそのくらいで、基本的にはストーリーはオーソドックスなもんで、それなりにおもしろかった。

 えーと、峠でですね。二人は別格に速いライダーなんだけど、めちゃくちゃ仲が悪いんですよ。その仲の悪さを象徴的に見せるために、まずルックスが違う。郡は目が三角で、秀吉は四角。身長はノッポとチビで、郡は帰国子女で秀吉は関西人。郡は金持ち、秀吉は超びんぼう。ライディングも、郡は破天荒で、秀吉は精密機械。んで、おれはバイクのことはまったくわからないけど、郡がホンダで秀吉はカワサキ。これは相反するかなぁ? イマイチ自信はありませんが(笑) ともかく正反対の二人が、ある日四時間耐久レースに出られることになったわけ。その時点で読者(オレ)は萌え萌え。
 で、この時点では復刻版は10巻までしか出てませんでした。秀吉の最後が載ってない!! げ!一番読みたかった話がまだでてないのか。最悪だ。
 つーことで、とりあえず、28巻までヤフオクでゲット! 泣けるな〜。