お墓の文字のいわれ
石川県は真宗王国と言われ、
浄土真宗の方々が大変多い土地柄です。
そのためにお墓に書かれてある文字も特長があります。
他の地域ではお墓の正面に○○家先祖代々之墓などと
書かれていることが多いのですが、
真宗のお墓にはほとんど「南無阿弥陀仏」や「倶会一処」と刻まれています。
「倶会一処」とはひとところ(浄土)でともに会うという意味です。
親鸞聖人は「一切の有情(うじょう:生きとし生けるもの)
は世々生々(せぜしょうじょう)の父母(ぶも)兄弟なり。
いずれもいずれも、
この順次生(じゅんししょう)に仏になりて、
たすけそうろうべきなり」と仰ったそうです。
つまり、大昔からのいのちの流れの中で、
すべて生きとし生けるものといのちを通い合わせているのが、
わたしの身の事実であるということを言い当ててくださった言葉です。
ですから祖父母とか父母は過去、現在、未来の
大きないのちの流れのほんの一部分にすぎません。
真宗のお墓の正面に○○家先祖代々之墓と刻まれていないのは、
わたしたちはそんな先祖だけに限定された小さないのちを
生きているのではないということです。
世間では「いのちを大切に」とか申しますが、
交通事故に気をつけましょうという意味だけではないはずです。
仏教では数限りないいのちの世界にあって、
人間として生まれ出てくるのは非常に難しいことだと説かれています。
人間として生まれ出てきたならば、
それは特に教えを聞くいのちとして大切にしたいものです。
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