お彼岸のいわれ
「暑さ寒さも彼岸まで」とか申しますが、
確かに気候の節目をうまく昔の人は言い当てたようです。
近年その彼岸の日にお墓参りをされる方が多くなったように思います。

お彼岸といいますと、
一般の人はお墓にお参りする日だと思っているかもしれませんが、
彼岸の意味は、あの世、つまり浄土の世界を指し示す言葉です。
仏教では煩悩(ぼんのう)で汚れた此岸(この世)を娑婆世界といい、
それに対して清らかな世界を彼岸、
つまり浄土の世界といっています。

このお彼岸の習慣の起源は平安時代までさかのぼるそうです。
仏教伝来以来、次から次へと起こる戦乱の世に、
平安時代にはいると、
仏法が滅して救いがたい世が到来したという末法思想におびえ、
民衆は極楽浄土に強いあこがれの気持ちを抱くようになったようです。
その極楽浄土が西方十万億仏土にあるということから、
ちょうど太陽が真西に沈む春分の日と秋分の日を中心として、
その前後三日ずつを加えた計七日間を「お彼岸の日」として、
日本人の生活の中に浄土をしのぶ日として定着していったようです。

ですから、お彼岸にお墓参りをするというのは、
そういう浄土へ往生された御先祖をしのぶという意味でなされるのが、
本来の意味ではないでしょうか。
そして残された人々も浄土へ往生すべく、
聞法(もんぼう)に励む機縁の日となってもらえればと願う次第です。
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