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第146話 『星雲のスキャット!!』 ひとけのない川辺にたたずみ、水面を見つめているのは誰かと見れば、12人のなかでもいちばんスポーツが得意と評判の妹、衛ちゃんです。 いつもは活発で元気イッパイの彼女ですが、今日はちょっと様子が違うようですね。 衛 「あにぃ……」 「ボク、どうしたらいいのかな……」 ??『あれ、衛ちゃんやないの。こないなとこで何してるアル?』 衛 「……え?」 と衛ちゃんが振り向いてみますと、そこには見知った顔があります。 衛 「……鈴凛、ちゃん……?」 鈴凛『いややな〜〜、何、カツノリにホームラン食らったみたいな顔してるアル? ウチみたいな美少女がほかにおるわけあらへんアルよ〜〜』 そう、その少女は12人の妹のなかでももっとも金に汚いと評判の鈴凛ちゃんです。 衛 「ご、ごめんね……で、でも、なんだか……キャラが違うから……」 鈴凛『あはっ、コレ? あんなー、ウチ、イメチェンしよ思うねんアル』 衛 「……イメチェン?」 鈴凛『せやアル。知ってるやろけど、ウチ、ものごっつ人気ないねん。まあ、世間の連中がウチの魅力を理解でけへんだけやねんけどな……それはともかく、このままやとジリ貧やねん。けどな、ウチ発明ッ娘やさかい、銭勘定と知恵はわりとあるねん。で、考えたわけや』 『よー考えてみるとな、ウチら12人もおるさかい、けっこうキャラかぶってんねん。ウチとアンタも「ボーイッシュ」とか「ゴーグル(サングラス)ゆーととこでかぶってるやろアル?」』 衛 「……そ、それはそうだけど」 鈴凛『そやさかいな、ウチ、ほかのメンツにないアピールポイント狙っていこう思うてるねん。それがこの口調や。まず、ウチらのなかに方言キャラはおらへん(チェキだのデスノだの言うとるヤツはおるアルがな……)によって、差別化が計れるわけや。けど、それだけやと弱いアルから、ちょいチャイニーズも混ぜてるわけアル。ヨーロッパ帰りはいるけど、アジア系は死角やからな』 衛 「……」 鈴凛『この口調のえーとこはな、なんや知らんが『関西人』や『中国人』は銭勘定が達者、っちゅー通念が世間にはあると思うアルねん。多分に偏見やけどな。でもまあ、それのおかげで、ウチが金カネ言うても、まあしゃーないか、みたいに受け容れられやすい、ちゅーこっちゃアル。これまでのキャラ像を崩すことなく、なおかつアピール度がアップできるっちゅー寸法アル。どや、万全やろ?』 衛 「そ……そうだね。けっこう、いいかも」 鈴凛『いや〜、そう言うてもらえると嬉しいアル。……ところで衛ちゃんは、なんでたそがれてたのん?』 衛 「え……ううん、なんでもないよ……」 鈴凛『いややな〜、ウチら姉妹やで? 隠し事なんか水臭いアルよ。気軽に言うてーな』 衛 「うん……実は……」 「『あにぃ』のことなんだけど……」 鈴凛『ん? アニキがどないしたん……ああ、アニキのまわりをウロチョロしてる悪い虫のことアルか? 心配無用アル、近いうちにウチがみーんな片付けてあげるアルよ〜』 衛 「う、ううん、そうじゃなくて……」 「あの人は、ほんとうにボクたちの『あにぃ』なのかな、って……」 鈴凛『え…………?』 衛 「だって、あの人はボクたちのこと、全然知らないみたいだし……」 鈴凛『衛ちゃん……「彼女」のことばが。信じられないワケ?』 衛 「う、ううん……そうじゃないよ、そうじゃないんだけど……でも……」 鈴凛『……「ロードシスター」のことばを疑うのは、アニキに対する反逆行為……!! たとえ姉妹といえど、容赦はできないわねッ……』 衛 「……鈴凛ちゃんッ!」 と両者のあいだに緊迫が走った、と思いきや、とつぜん夕焼け空がかげり、夜のベールがおりてきます。 鈴凛『これは……!?』 衛 「……!!」 ??『………………………………………………………フフフ………………………………………………………姉妹ゲンカは………………………………………………………いけないな………………………………………………………』 ドス黒い瘴気とともに現われたのは、マンドラゴラ片手に微笑をうかべる少女! その妖しさは12の妹の中でも随一といわれる…… 天と地のはざまに輝きをほこる美の戦士! 外道妹(ゲスシス)の千影!! 千影『………………………………………………………衛ちゃん………………………………………………………キミは………………………………………………………『ロードシスター』が………………………………………………………信じられないのかい?』 衛 「そうじゃないよ……でも……あの人は、ボクたちのことを……」 千影『………………………………………………………ク………………………………………………………ククク………………………………………………………なぁ衛ちゃん………………………………………………………』 『………………………………………………………どうあれ………………………………………………………私たちには、『兄くん』が必要なのさ………………………………………………………違うかい、鈴凛ちゃん………………………………………………………?』 鈴凛『クックック……いい〜や、そのとおりアルよ、千影ちゃん……アニキがいてくれなきゃ、ウチらも商売あがったりアルからねェ〜〜〜』 千影『………………………………………………………フフフ………………………………………………………まあ………………………………………………………そういうことだ、衛ちゃん………………………………………………………フフ、フフフ………………………………………………………』 衛 「!? ま、まさか……ッ!!」 鈴凛『衛ちゃん……ヘタなこと考えたらアカンで。ロードシスターに逆らうのはアニキに逆らうも同じや……な〜んも考えんと……与えられた役目を果たしとけばええアルよ……』 衛 「〜〜〜〜!! やはり……あの人は……ボクの、あにぃじゃ……」 千影『………………………………………………………フフフ………………………………………………………やはり君は………………………………………………………危険だね………………………………………………………』 鈴凛『しゃあないアルね……出ろ、メカ鈴凛―――ッ!!』 ドッゴオオオンッ!! 轟音とともに地を割って出てきましたのは、鈴凛の愛機・メカ鈴凛(全高・約16m)。 しかし、ふだんとはちょっとフォルムが異なっております。 衛 「こ……このデザインは!?」 鈴凛『ククク……千影ちゃんから提供された魔道テクノロジーによって生まれ変わった、いわば『ネオメカ鈴凛』や! 衛ちゃん……悪いけど、あんじょうあの世に行ってもらうでぇ!!』 『積尸気クラスター、発射ッッ!!』 と鈴凛ちゃんがスイッチ押すや、この世とあの世をつなぐ扉が開き、衛ちゃんを引きずり込もうと意気軒昂。 衛 「……う、う……わあ……!!」 千影『………………………………………………………アリデヴェルチ(さよなら)………………………………………………………衛ちゃん………………………………………………………』 さて、衛ちゃんの運命はいったいどうなるのでしょうか? |