架空の庭 [2003.01.19]  
日記 セレクション

太陽とに背いて』 感想文

『太陽と月に背いて』をレンタルビデオで観る。

この映画を観る前は、ロミオとジュリエットの宣伝でしか、レオナルド・デュカプリオを知らなくて、その時は、可愛い男の子だ、としか思わなかった。
そして、この『太陽と月に背いて』の宣伝を観た時は、彼の笑顔とか仕種で「きゃっ♪」と思って、久久に、いいなあと思う俳優だったのだけど、この映画を全部観た今となっては、もう、彼を観て「きゃっ♪」と思うことはできない。
というか、私の中で、彼は、ランボーになってしまったので、そして、ランボーとヴェルレーヌの姿を見てしまったので、もう、だめだ。最後のシーン観たら、泣けた。

ランボーの台詞は、時々、とても鋭い。鋭すぎて、社会と相容れることはできない。
何故なら、社会は、社会に属して生きている人間すべてで共有しなくてはならない幻想なのに、ランボーの言葉はその事実を暴いてしまう。暴くだけでなく、その幻想を壊してしまうのだ。
そんな言葉をはくような人物には、多分普通に生きていくことなんてできないだろう。
そんなことを、社会に属する人間が許すはずがない。

最後の台詞がいい。

ランボー「見つけたよ」
ポール「何を?」
ランボー「永遠さ。海に太陽が融けるところだよ」

永遠とは、一瞬のことなのだ。

[1997.12.02 Yoshimoto]
 
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