Swimming


ぱしゃ。
水が、はねる。
「うーん、気持ちいいーっ」
幸せそうに目を細めてただ浮かんでいた。
ただそれもつかの間。
ばしゃんっ!
「うぁぁっ!?」
突然かかってきた水に驚き、目を見開いた。
「何すんだよっ!」
「いいだろ、別にっ」
そう笑っているのは水をかけた張本人のナタクで。
現在はプールの時間だったりする。
けれど、体育の時間ではない。
HRの時間。
ただ何もすることがなく、自習も面倒だったので勝手に好きなこと決めろ、と言ったのが先週のこと。
それで決まったのが、暑いし、夏も終わりだし、で決まったプールだった。
…ったく、もっと面倒になってどうすんだよ。
そう思うのは数学教師の三蔵。
担任なのだから仕方ない。
さすがにスーツはダメなので、一応水着ではある。
ただし、上にパーカーもちゃんと羽織ってはいたが。
ちらと楽しそうに話す悟空を見る。
見慣れてるはずの裸ではあるが…これはこれで面白い。
ただ気に入らないのが他の連中も同じように見ていること。
…もしかしたら生徒たちはこれが目的だったのかもしれない。
そんな軽い殺意まで覚えたほどだ。
けれど今そんなこと思ったって意味などない。
何よりプールの授業は体育であるわけなのだから。
それに…室内で温水プールなのだからいつだって入れるのだ。
広さだってかなりある。
さすがあの理事長の学園だと言うべきだろうか。
そういうわけなので、あんまり素肌を見せるのは…などと考えていても仕方がないのだ。
そして当の悟空は…と言えば。
何やら大人数で話している。
何かゲームでもするのかもしれない。
それを見ていたら悟空が泳いできた。
「なぁ、三蔵は泳がねぇの?」
「…誰が泳ぐか」
やっぱりな。
心の中で悟空がつぶやく。
そうは思っていたから別に驚くわけでもない。
…なら次。
水から出て、プールサイドに座る三蔵の横に同じように座った。
「…何だ」
「休憩」
…こいつが休憩…?
怪しい。
とは思うが横に座ってるので生徒を監視をしなければならない三蔵としては見ているわけにもいかない。
仕方なさそうに生徒たちに目を向けた。
そっちでは「早く来いよ」などの声が悟空に向けられていて。
隣では「うんっ!」と答えている。
ぎゅ。
突然腕をつかまれた。
「……っ!?」
気づいたときにはすでに遅かった。
ばしゃん、と悟空に引っ張られて水の中。
水の中から顔を出すと悟空が見ていた。
「…てめっ」
そう言いかけてふと悟空の後ろも目に入った。
何やら喜んでいる。
…どうやらさっきの相談はこれの計画だったようだ。
「どういうつもりだ?」
一応傍らの悟空に聞いてみる。
「だって…三蔵と一緒に泳ぎたいなーって思って……」
少しばかり怯えたように答える悟空。
なるほど、と納得しかけた。
…けどそれとはまた話は別。
「そうなら最初から言え」
「…言ったら…入ってくれた?」
「いいや」
…じゃあ意味ないじゃん。
言おうと思ったが…怖い。
「…とにかく、おまえたちで勝手に遊べ。
俺は上がるからな」
ざば、と水から上がり、濡れて張り付くパーカーを脱ぐ。
「……っ」
突然のことに偶然にも見ていた人たちが固まる。
そしてちら、と三蔵が悟空を見る。
その視線に悟空が気づき…冷や汗が流れた。
…お…怒ってる……。
このままだとどんなお仕置きされるのかわかったものじゃない。
別の意味で固まる悟空。

こうして、生徒たちは残りの時間をぎこちなく過ごしたとか…。


…今回のアップが遅かったのはすべて私のせいですっ。
とっとと書け。
うあぁぁん、ごめんなさぁいっ!
ついでにこんなヘボで。
…怒られるよな。確実に。
ついでに、三蔵さまひん剥いちゃってください、って言われてたのに。
出来なくてごめんね、麻優ちゃん…この程度で。
せっかく水泳で、って言われたのにぃっ。
…後悔だらけだなぁ、今回。

Novel   パラレルトップ   Angel Tears