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文箱
〜雅な歌の記録〜


むらさきでにほへるいもと肉焚けばひとづまゆゑにわれほめらるるかも
(さくら)

煮立てずに昆布取り出すとき待てば熱もかなひぬ今はかつお入れな
(瑠璃)


◆上記二首について
これらの歌はわたくし瑠璃と朋友さくらが某掲示板にて詠み合った(?)歌です。
さくらの歌の方は大海人皇子がかつての妻でありながら今は兄であり当時の最高権力者中大兄皇子のものとなってしまった 額田王に対して詠んだ歌※1が(668年)が背景にあり、私の方は白村江の戦いに遠征する途中、四国の熟田津で額田王が詠んだ歌※2(661年)が背景になっている。
時代も背景も詠み人も違う歌ではあるが、万葉を代表する歌人「額田王」に関する歌ということでは共通性を持たせ、主婦ならではの歌を詠んでみたというわけである。

意味は…上の方が「醤油(むらさき)で匂いのいい芋を焚けば、人妻である私は誉められるだろう」
下の方は「煮立てないで昆布を取り出すタイミングを待っていたが、温度もちょうどよくなったので、今かつおぶしを入れよう」という一番だしの取り方が説明(?)されている。

◆このページでは

このように本格的でない(いや、もちろん本格的なものでもいいんですが(^^;)ちょっとお遊び的な歌を載せていこうと思います。
「私の歌も是非載せて欲しい!」という方は廂の間あるいは華の宴で詠んでいってくださるかをお願いしますね〜♪

櫻瑠璃の箱
海雪の箱
霧海雪の箱





櫻瑠璃の箱


瑠璃の懐妊が顕れし時にさくらの詠める歌
君がため春を言祝ぐ櫻花黄金の心の値思へば

瑠璃の返し
くれなゐにもゆる炎をしずめしは薄くれなゐの清廉(きよ)き秋櫻

さくらの返し
さりとても今は静けきくれないの炎灯りしかの黄金に

瑠璃の返し
いにしへの黄金の炎のもえ跡ゆさだめの清き水ぞ流るる

さくらの返し二首
来し方に君が定めし色なればそもまたゆかし黄金の水
袖濡らし黄金を惜しむか櫻花君なればこそ恨みざらまし

瑠璃の返し
花見れば千々にものこそをかしけれ我が身ひとつの黄金にはあらねど

さくらの返し
瑠璃と黄金そのめでたさに浮かれ咲き君を言祝ぐ櫻花かな

瑠璃の返し二首
常ならば須臾の間の命なり具に記せば永遠の花なり
金瑠璃は永遠の花の下に居て君を賛える飾りにすぎず

さくらの返し二首
永遠の花そがかほりさへいとけなき幼子の手に適わずと知る
このたびはあまた侍ろふつわものの祝ふ声こそ目出度かるべし

瑠璃の返し二首
つわものの数多集ふは馥郁のかほりゆたかな君が徳ゆゑ
このたびは北の都の金の城 霊(ちから)沢山永遠の花


海雪箱


※1
むらさきの匂へる妹を憎くあらば人妻ゆゑに我恋ひめやも (大海人皇子:万葉集巻一21)

紫に美しく輝くあなたをいやなわけがあれば、愛してはならない人妻のあなたになぜこんなにも恋焦がれようか

※2
熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬいまは漕ぎいでな (額田王:万葉集巻一8)
熟田津で船出の時を待っていたが、潮の流れがちょうどよくなったから、さあ、今こそ漕ぎだそう