ThinkPad A31pを使う


ThinkPad A31p(2653-H5J)を現在(2003/4)メインで使っています。
ThinkPadはIBMのノートパソコンのブランドで、そこそこパソコンを知っていればご存知と思います。
以前はノートの代名詞的な存在でしたが、一般ユーザーがノートを手にするようになって地位は低下しました。

ノート選びについてですが、目的意識がなくてノートを買うなら、ソニーや東芝あたりをお勧めします。
それぞれノートにも個性があって、一般ユーザーの視点で見るならこの2社は長所が多いです。
ソニーのVAIOは総合性能が高いですし、メディアに強い構成になっています。東芝のDynabookはどのモデルも液晶がきれいです。
そこで何故ThinkPadかというと、

1:フラッグシップ級では各社の性能差が小さい
2:デザインがよい
3:キータッチの評判がよい
4:タッチパッドがない
5:ドライバ関係が使いやすく、フォローもよい
6:Club IBMの会員だった
7:Flexview Displayを評価した

というところでした。

先回りしておくと、A31pはフラッグシップ級という扱いで、「デスクトップ・リプレース」と銘打たれています。
省電力(つまりバッテリーのもち具合)はそっちのけで、実際2時間弱しかバッテリー駆動ができません。
基本的に据え置きで、必要時のみ移動というのがコンセプトらしいです。
デスクトップの代替という事で、並みのデスクトップでは比較にならないくらいの高性能です。
ノートである必要がなければ、勿体無いくらい高いですけど。

選定した要素についてですが、

1については、USB2.0がない点で劣りましたが、どうせそこにはマウスくらいしか挿さないですから問題なし。
むしろ赤外線あり、無線とBluetoothあり、UXGAの15インチ液晶と欠ける点がないのが良かったです。
買ってから思ったことですが、ビデオ入力ありだったのはお得でした。

2と6はなんとなくですが、3、4あたりは重要です。キータッチは実際問題として会社のノートより良かったです。
外付けマウス使用なので、タッチパッドは極めて邪魔です。当然トラックポイントも使っていません。
ただ、緊急回避的にポインティング・デバイスは使うので、トラックポイント不要とまでは思っていません。

5は消極的にでしたが、実際に使っていると更新頻度は高く、修正・追加は細かい点にまで及んでいます。
OSの載せ替えやLinuxへのフォローもあるので、長く使うにはよさそうです。

7は期待以上でした。CRTと何ら変わらない使い勝手で、UXGAであることも合わせて不満なしです。
視野角が広いため(170度らしい)、見る角度による色調などの変化はほとんどなしです。
IBMの液晶は評判が悪いですが、このモデルはさすがと言える優秀さです。
ドット抜けや常時点灯はありませんでしたし、現在も発生していません。画素数から考えて運が良かったと思っています。

無論難点もあるわけで、前出のUSBやIBMと言えばの「値段」とかになります。
ただ、このクラスになると「値段」は明示的な差になりません。他社のものも高かったです。
まぁ、もし誰かにノートを勧めるなら、カタログスペック上のコストパフォーマンスを考えて前出の2社を推しますけどね。


このA31pですが、HDBENCH(サイトはこちら)はパフォーマンス重視の設定で24000程度です。HDDが流体軸受けで静かな反面、4200rpm(だったと思う・・・)と遅いのが主因です。
同社のT40(一世代あとのモデル)と比較する(ThinkPadで有名な某所に結果が出ていました)と、CPUがやや劣りますが、それほどの差ではありません(Pentium Mは省電力が主眼だからでしょう)。
メモリ性能はA31pの方が引き出せています。
ビデオはFireGL7800対Radeon9000ですが、テキストでは負けていますが描画は勝っていました。ビデオメモリが大きい(A31pは64M、T40の92Jは32M)ためと思われ、T40pには多少及ばないと想像できます。
HDDは惨敗です。こればかりは仕方がないです。ノートン常駐環境というのも数値を下げているでしょう。
総合的には24000対28000。HDDなしでほぼ互角。1年以上古いことを考えれば優秀でしょうか。

今度はFFXIのベンチ(サイトはここ)。
スコアは3050です。T40で4000以上という話を聞いたことがあります。
Direct3Dを画質優先設定にすると2700程度になります。
一応Radeon9000からカバーされているので、T40なら無理なくできるのでしょう。
自分的にはA31pでも十分できるだろうと思っています。


さて、(デスクトップの代わりとはいえ)いかれた(?)ノートを使っているわけですが、こんな風にしたいと思うこともあるわけです。
不満ではないですが、CPUを機会があれば換装したいところ。1.7GHzですが、保守マニュアルによれば2.0は無理なく付けられるようです。
ボード的には2.4とかも付くはずなので、遠い将来には性能を上げたいかも。
あと、キーボードカバーが欲しいです。会社では不要ですが、家ではホコリが溜まります。
今はラップと薄手のテーブルシートを使って保護しています。
安いものなら定期的にバラせばいいのですけど。

こいつの用途はもともと家に置く「デスクトップ代替」だったのですが、会社でパソコンを使う必要が生じたために「トランスポータブル」(モバイルとはちょっと違う)にしています。車で会社に通っているので、乗っけて運んでいます。
これを持っていく最大の理由は、会社のパソコンが全て「9x系」ということに起因します。
言うまでもないですが、リソースを何とかしてください(お願いしてどうする)。
動作時間が長くなると(作業量が蓄積すると)動作効率と安定性が低下しますから、再起動が要ります。
2000かXPを導入しないかなぁ・・・。というか、会社のゲートウェイに当たるPCくらい、NT系にしましょうよ・・・(愚痴)。


ここからはThinkPadユーザーのみ知るような話を。
FireGLの描画、意外にもたつくときがあります。「閉じる」とかのポップアップが消えにくかったりします。
これはP4mがもたついているのか、それともFireGLがとろいのでしょうか?
まぁ、インターネットには家でしか繋げないので「キャッシュ」を大きくしてあったり、NSW2003が常駐していたりしますからそのせいかも知れないです。(2003/4/20)


このノートですが、ポートの類がたくさんあります。さすがにシリアルは1つですが、欠けているのはメモリカードスロットくらいでしょうか。
(そりゃ、SCSIやDVI端子はないですが・・・PS/2もないか)
SCSIカードとUSB2.0カードはあるので、ほぼ全ての周辺機器を接続できます。
デスクトップでは大したことではないですが、ノートとしては(特にレガシーフリーなどと言い出した後)異例なことかと思います。
使ったことがない機能は、赤外線とS端子出力、IEEE1394(ケーブルはあるけど繋げる相手がいない)、ウルトラポート(IBMの独自ポート、USBの一種らしい)、モデムで半分くらいです。なかなか企業ユーザーでないと全て活用するのは難しいですね。
これにベイ2つ、PCカードスロット2つが付いているので、速度の問題を無視すれば当分役立たずにはならなさそうです。
A31pの本来の売りはここにあるような気がします。(2003/10/1)


キャプチャーに関する機能を使ってみました。
S端子入力を持っているので、動画のキャプチャーをすることができます。S出力はかなり当たり前のようですが、入力があるノートはほんの一部ですね。ノートでキャプチャーする場合はUSB2.0経由の外付けの物を使うのが一般的です。A31pの場合はIEEE1394もあるので、大抵のものは取り込めるわけです。初期にはオーサリングソフトとしてMGI Video Waveがバンドルされています。そこでこいつを使って動画のキャプチャーを実施。
テレビのビデオ出力(コンポジット)をS端子に変換して入力。いくつかフォーマットを試したのですが、mpeg-1、avi(無圧縮)はうまくいったのですが、mpeg-2にすると1時間くらいから音がずれてきます。CPUの力不足なのでしょうか。
そこで、以前から欲しかった外付けDVD焼きドライブ(I-O DATAのマルチプラス)を入手したときに付いてきた、Uleadのソフトウェア(Ulead VideoStudio 7 SE)をインストール。こいつにキャプチャーさせてみました。CPUの要求が推奨で1.7GHzになっているので、いけるだろうかなと思って。
結果、見事に成功。つまりキャプチャー時のハードではなくソフトの部分が重かったようです。HDDがノートということで遅いため、これがまずいのかとも思っていたのですけど。キャプチャー先は40GのNTFSでデータ専用のため断片化が少なく、推奨(7200rpmのHDDでATA-133以上)を満たしていなくても大丈夫だった様です。ただ、キャプチャー後に終了まで長々と書き込みを続けますけど。S出力もそこそこの画像で出ましたし、DVD-Rへの書き込み(先のマルチプラス外付け)もOK。
これでA31pの芸がひとつ増えたでしょうか。IEEE1394経由でDVDも(遅めながらも)全てカバーしたので、できないことはメモリーカードの使用とTVチューナーくらいですね。MOもないけど、身近にMO環境が全くないので気にならない(というか、気にできない)です。(2003/12/19)


Tips的なことを追記ということで。
ベイ2つのA31pはかなり拡張性が高いわけですが、それぞれがどのチャンネルで認識されるかを知っていると扱いやすいです。SATAはサポートしていない時期のノートなので、すべてATAなわけですが、
内蔵:プライマリ・マスター
左ベイ:プライマリ・スレーブ
右ベイ:セカンダリ・マスター
ドック:ターシャリ・マスター
となっています。普通はチャンネル2つですが、ドックは3つ目扱いでマスターです。
セカンダリ・スレーブやターシャリ・スレーブはないので、光学ドライブは右ベイかドックのベイがよいです。左ベイに入れた場合、プライマリがいずれも光学ドライブの動作モード(例えばATA-33)に合わされてしまったりします。プライマリのHDDが遅くなる可能性があるので、要注意ですね。FDDはATAの動作モードと関係がないので、左ベイで問題ないです。ウルトラベイ2000バッテリーパックは左ベイにしか入りません。
ちなみにLinuxでいくと順にhda、hdb、hdc、hdeという認識になります。

これらベイ2つ(ドックなし)にHDDを入れた状態にすると、標準バッテリーだけでは動作できなくなる場合があります。恐らく想定外なのだと思います。ACで使う分には問題ないです。バッテリー動作を使う場合は、HDDは2つ以下にした方がよいと思います。

これらのことはA3xシリーズ(ベイ2つのモデル)には共通だと思います。最後のバッテリーは消費電力の話なので、A30系で軽い実装のモデルには発生しない可能性はあると思います。(2005/5/30)



館主の戯言に戻る
トップに戻る