ThinkCntre A50pを使う


あまりThinkCentreの記事を日本語のWebで見かけないので、レベルが低い内容ですが書いてみます。
ThinkCentre A50pはIBM(Lenovo)のデスクトップとして最後のAGP使用の世代のパソコンです。
製品の仕様は(細かいところは検索していただきまして)、

CPU:Pentium4 3.2CGhz
メモリ:PC2700 DDR SDRAM 1GB  →  2GB
チップセット:Intel 865G
ビデオ:Intel 82865G  →  Sapphire Radeon X1600 PRO 256MB
PCI1:Plexter PX-C200P Transrater
PCI2:Intel PRO 1000MT Desktop Adapter
PCI3:I-O DATA GV-BCTV9
電源:280W  →  280W+300W(外付)
USB:8ポート(2.0)  →  8ポート+切り替え機+HUBで4ポートほか
LAN:Intel PRO 100/VE
I/Oデバイス:シリアル・パラレル・VGA・音声入出力3つ、モデム
HDD1:6Y080L0
HDD2:  →  6Y120L0
HDD3:  →  6Y080M0
DVD:HL-DT-ST GSA-4040B

外付1:HDH-120U
外付2:DVR-UEM16G(SW-9587)
外付けはほかにいくらか・・・

という感じ(太字が現在の仕様)です。
Northwoodコアの最後の方で、かなり評価がよい方のCPUだったと思います。ゲーマーには程遠いので、クロックが高くないビデオカードを更にATI Toolsというソフトでクロックを落として常用してます。それでもCPUより微妙に高い発熱がモニタされます。RadeonはX系からそういうカードが多いようです。
こてこてと取り付けていますが、このPCはミニタワーで決して筐体は大きくなく、電源も小さいです。電源は上の通り増設しており、マザーボード以外は外付電源がカバーしています。

・ネットワーク周り
標準は100で、1000を増設しています。両ポートとも同一サブネットにあり、100の方はMS共有を切ってあります(後述するDebianについては、1000だけロードしています)。じゃ、100の使い途はというと、ローカルサーバーの受信と、1000側のハブの電源は入・切しているので、切のときのインターネット接続用です。これは優先度を変えて実現しています(細かく設定する場合はメトリックを設定しますが、そこまでは必要ないです)。
このギガビットイーサ、FTPなどで見ると最大900Mbpsを超えてくる(複数接続時)のですが、MS共有では300Mbpsまでも到底いきません。こういう仕様らしいので、Windowsオンリーの場合はわざわざIntelアダプタでなくてもことは足りそうです。安定性は問題ないですし発熱も気にならないというのは利点だと思いますが。オンボードもIntelなので、欠点は無いです。

・ビデオ周り
ThinkCentre(或いは一般消費者向けPC)の弱点に電源を挙げる事ができると思います。自作では大変容量が大きいものを選ぶことも可能で、ハイエンドを狙うとそうなると思います。300Wに満たないA50pの場合、CPUだけで110W(実際にはそれ以上?)持っていかれる可能性があるわけで、あまり高性能なカードは載せられないと考えられます。上を見ると、自作をしている人なら標準電源では難しい構成と思われると思います。実際、外付電源がなければHDDとPCIカードの載せすぎで持たない気がします。Radeon X1600も載せるのがかなり厳しい(標準仕様では載せられないかも・・・うちではなんとか動くっぽいですが)カードになっていそうです。つまり、どうしてもハイエンドなカードを載せたいなら、電源を強化するか、増やすかするのがよい解決法だと提案しておきます。外付電源は見栄えが悪いですが、とても動作は安定しています。
ひとつ前にファンレスのRadeon9600(128MB)を載せていましたが、これだとちょうどよさそうです。デフォルトでビデオカードが載っているモデルはRadeon9600ですしね。

・ビデオキャプチャ関係
使っているカードは、詳しい人だとそこそこ評価をくれるものらしいですが、もったいないことにAVIキャプチャなどせずにMPEG2でとっています。今ならハードウェアエンコードのものにしたでしょうが、当時は丁度よい仕様だったので。
性能そのものはよいのですが、A50pで使う場合の問題は「ハイパースレッディング(マルチスレッド?)未対応」だということです。不具合としてHTT有効だと音が取れない場合があります。もしかするとサウンドカードでも付けるとよいのかも知れないですが、HTT無効で使用するべきでしょう。チューナーを経由しないと回避できるとかも聞きますが・・・。
PX-C200Pはエンコード時の発熱回避のために付けてあります。このことからもハードウェアエンコードモデルであれば済んでいましたね。このカード自体は優秀(エンコード中にブラウジングしても、HDDへのアクセスが分けてあれば引っかかりなし)なので、MPEG2へのエンコードをある程度する人にはお奨め。まさにそれだけしかできないですけど。ペラペラなカードではみ出しが無いので、密集地帯に放り込めそうなのもよいかと。

・BIOS周りや拡張
IDEが2本とSATAが2本。標準でPrimary-MasterにHDD、Secondary-MasterにDVDという構成です。SATAを使うモデルもあったと思います。転送力はIDE同チャンネルでも45MB/sを超えられるので、悪くはないでしょう。SATAとIDEでは50MB/sを超せます。
SATAを殺してあればWindows98が動きます。SATAが有効だとセーフモードのみ動作します。メモリは1GBでもOKでしたが、2GBではWindows98を起動させることはできません。
I/Oとしてはシリアル・パラレルがともにあり、Wake on LAN他、企業向けメインな機能(セキュリティなど)で多彩です。自作向けな機能(温度監視とかオーバークロックとか)は付いてないです。
起動順位は大変に自由で、USBからもOK(FDD・HDDのみならず、対応するCD/DVDドライブやUSBメモリでも)になっています。お手軽マルチブートにはもってこいのBIOSです。

・マルチブートとOS関係
標準はWindowsXPですが、サポートは98と2000も含まれています。Meがないのは企業向けではないということでしょう。実際、Meは(導入支援は無理かもしれないですが)入れられるようなハードウェア構成です(クセがない、尖ったところが無いとも言う)。HDDさえ増設すれば標準環境を壊さずマルチOSにできます。
非Windowsですが、標準のハードウェアはLANを除いてDebian Woody(3.0)でもすべて認識・動作させられます。LANはe100ドライバをロードする必要があります。今(2006)の2.6系カーネルのLinuxは入れるだけで動きます。KNOPPIXは3.2辺り以降で十分動いていました。

・サポート関連
修理は未経験ですが、ソフトウェアサポートはそこそこ。以前は更新プログラムがあってもわかりませんでしたが、ThinkPadで使われていた「ソフトウェア導入支援」がThinkCentreで使えるようになり、BIOSの更新がしやすくなって、向上していると思います(ThinkPadほど提供されているソフトが多くないので実感少ないですけど)。更新自体はThinkPad同様手厚いです。

・不具合やよろしくない仕様
完璧な機械など作れないわけで、使い方が想定外などと言うこともあるのでしょう、不具合らしいものもあります。
一番手痛いものだったのは、落ちること。もちろん、通常使用中で落ちるような信頼性が低い機械だということではありません。
冬場、帰ってきて暖房を入れ、PCを付けるとしばらくしてPCが停止します。こうなるとしばらくうんともすんともいいません。1時間くらい経つと起動できるようになり、以後は正しく動作します。このとき、BIOSが初期化されることが多かったです。さてこれ、当初は電源容量不足を疑ったのですが、増設後も発生。ちなみに連続稼動(機械的に、再起動などは挟んでもOK)すると全く問題なく、夏場も問題なし。ということで「結露」なのではないかと思っています。冷えたPCが起動すると、熱風が発生し、それがまだ温まっていない部位に当たって結露し、短絡を招いたのではないかと。オフィスユースが想定されているはずなので、寒い空間での起動はよくテストされなかったのかも。そこで今冬はローカルサーバーとして「連続稼動」させて対処しています。
あとドライブベイに軽く傾斜が付いています。正しく回転すれば傾斜は問題ではないですが、何かあったときにはちょっと不気味。
筐体が小さいためにやむを得ないのでしょうが、IDE・SATA・電源・メモリあたりへのボード上でのアクセスがやや大変です。省スペースよりましですが、いじりたい人には腹立たしいかも。
結構重要そうなこととして、CPU温度が条件によって取得できません。どういうことかというと、BIOSが設定に従ってCPU温度の下限を固定化し、それを超えた段階でファンの回転数やCPU周波数を変更するという仕様らしいです。つまり、下限値以下の温度は下限値としてしか見られないので、冷え具合は全く不明。設定温度以下なら大丈夫なんだという自信の表れでしょうか。ちなみに上はちゃんと表示しますし、温度によって設定されている動作を細かく行っているようですから、心配の必要は確かに無いかもしれません。またCPUはこういう仕様ですがGPUを増設したりしたときは、ちゃんとステータスを取得できますので。
温度に絡んで、気になる人は気になることとして、内部温度は自作機と比較してかなり高めになります。吸気・排気が確保しにくいケースなので、そのままだと結構高くなります。外気に対して10℃以上高くなることも普通にあります。加工して通気性を上げたほうがよいと思います(私はまだ保証とかあるのでさわるつもりはないです)。

もう少ししたら中古とかでお目にかかるのではないかと思いますが、まずまずの機械ではないかと思います。心配なら電源を変えて(やや小さく形状も少し普通と違うので、多少の加工か妥協は要るかも)使うとお勧めの品です。最近は品質を落としたと言われているようですが、A50pは作りもしっかりしていて(高級感はないでしょうが)よいと思います。(2006/4/18)


その後、ThinkCentre S50(Ultra Smallのやつ)を捨て値で拾ってきたので、キャプチャーをそちらへ切り離しました。結果、

CPU:Pentium4 3.2CGhz
メモリ:PC2700 DDR SDRAM 2GB
チップセット:Intel 865G
ビデオ:Sapphire Radeon X1600 PRO 256MB
PCI1:NO-PCI
PCI2:Intel PRO 1000MT Desktop Adapter
PCI3:Plexter PX-C200P Transrater
電源:280W+300W(外付)
USB:8ポート+切り替え機+HUBで4ポートほか
LAN:Intel PRO 100/VE
I/Oデバイス:シリアル・パラレル・VGA・音声入出力3つ、モデム
HDD1:6Y080L0
HDD2:6Y120L0
HDD3:6Y080M0
DVD:HL-DT-ST GSA-4040B

という構成になり、HTTもONで使用することに。S50でキャプチャーした画像は外付けUSB(MS共有済み)に保存するようにし、編集が必要な場合はA50pからアクセスしてネットワーク経由でエンコードなどするという形にしました。Gigabit Ethernetなので、ほとんどストレスなくエンコード・転送できます(約15〜25MB/s)。
HTTがONということで、引っかかりはほとんどなくなりましたが、ベンチマークとかで値が下がったものが出ました。ゲームにはHTTはOFFというやつですね。
ネットワークもGigabitEtherに統一(ポートが足りなくなった・・・)し、PC切り替え機でオンボードとX1600の両方に接続して、物理メモリ制限設定を加えてWindows98を起動可能に。残念ながらX1600では標準ドライバでしか動かせなかったので、BIOSでVGAを切り替えることに。まぁ、SATA無効にしないとまともに動きませんし、丁度よいでしょう。Windows98は物理メモリを768MBに制限して起動可能にしています。(2006/6/26)


X1600PROが案外と中途半端なカードだったので、思い切ってX1950PROへとアップグレード。Vistaも見据えてHDDも変更して・・・

CPU:Pentium4 3.2CGhz
メモリ:PC2700 DDR SDRAM 2GB
チップセット:Intel 865G
ビデオ:Sapphire Radeon X1950 PRO 512MB
PCI1:PCIファン
PCI2:Intel PRO 1000MT Desktop Adapter
PCI3:Plexter PX-C200P Transrater
電源:280W+300W(外付)
USB:8ポート+切り替え機+HUBで4ポートほか
LAN:Intel PRO 100/VE
I/Oデバイス:シリアル・パラレル・VGA・音声入出力3つ、モデム
HDD1:6Y080L0
HDD2:6Y120L0
HDD3:6V250F0
HDD4:6Y080M0
DVD:HL-DT-ST GSA-4040B

HDDはひとつ立てて置く作戦。壊れてもいいように一時ファイル用の置き場所に。
WindowsVistaのエクスペリエンスインデックスは
CPU:4.3
メモリ:4.7
エアロパフォーマンス:5.9
ゲーム用グラフィックス:5.8
HDD:5.5
というスコア。基本的に上二つは増やせないので、文句ない数値に。これでVistaもPremium Ready相当かと。
X1950PROの実力ですが、3DMark06で3600。FFBench3はCPUをGPUドライバに余計に食われているようで若干減少。つまりCPUが足を引っ張っています。本来であれば、NorthwoodのCPUにX1950PROは効果があるといえるものの、もったいないことは否めないところです。
A50pの小さな筐体にこれだけ詰め込んで冷却をどうするかというと、電源の排気口に9cmファンを増やして直列連装にし上部に熱がこもらないように。ケースファンのしたのスペースに6cmファンを追加。5インチベイに4cmファン2基、AGP・PCIへ9cmファンでゆっくり風を送り、チップセットのヒートシンクに横から4cmファンで送風。側面の穴が開いている部分に6cmファン2基をくっつけて強制的に内部へ送風。とにかく、減圧になりがちなので強く内部へ送風することが冷却の鍵になります。現状は内部の温度が外部の+9〜+12℃くらい、チップセットのヒートシンクが内部温度+15℃。ただしこれはノーマル設定なので、BIOSをファン高速で設定するともっと冷やせると思います。エアフローはかなり考えないと(特にGPUロード時)厳しい可能性があります。
性能についてはこれで文句なしかなと思います。ここまでくると余りお奨めできない増強ですが、こんなこともできますよということで。(2007/1/3)



館主の戯言に戻る
トップに戻る