Windows Vistaを使ってみる


別ページにて書いているThinkCentreにWindows Vista Ultimate(32bitバージョン)をインストールして使用したインプレッションを書き留めるページ。β、RCから試しています。
使用するマシンのスペックは・・・

CPU:Pentium4 3.2CGhz
メモリ:PC2700 DDR SDRAM 2GB
チップセット:Intel 865G
ビデオ:Sapphire Radeon X1950 PRO 512MB
PCI1:PCIファン
PCI2:Intel PRO 1000MT Desktop Adapter
PCI3:Plexter PX-C200P Transrater
電源:280W+300W(外付)
USB:8ポート+切り替え機+HUBで4ポートほか
LAN:Intel PRO 100/VE
I/Oデバイス:シリアル・パラレル・VGA・音声入出力3つ、モデム
HDD1:6Y080L0
HDD2:6Y120L0
HDD3:6V250F0
HDD4:6Y080M0
DVD:HL-DT-ST GSA-4040B
USB:CUFD-H4G(USBメモリ)は常時使用でReadyBoost有効

VistaはHDD3のSATAドライブに単独でインストール、WindowsXP、98SE、Debian Stableとの切替はHDD2のMBRにあるGRUBによって行います。通常はXPとのデュアルブートというとVistaの切替シーケンスが使われている(記事が多い)ようですが、このやり方にするとVistaはXPの存在に影響されない構成にできます。
SATAはXPとの互換性を考えて、IDE互換モードを使用しており、本来の機能のいくつかは使えない状態で使用しています。転送力自体は十分にあるので(評価値は5.5、実測は60〜65MB/s程度)、無理にネイティヴである必要は(このマシンでは)ないでしょう。

このマシンではβ2→pre-RC→RC1(Build5600)→RC2(Build5744)と試用してきました(途中までビデオカードはX1600PRO)が、インストールから起動まで、致命的な問題はなく全て成功でした。重大な問題としてATIのドライバを使用しない場合にドライバを入れるまで解像度や機能が制限されたこと(標準ドライバが適切に動作しなかった)、PX-C200Pのドライバが(世の中に)ないこと(Plexterはサポートしないそうで、XP用のドライバを使うことで動作させることはできますが、認証のないドライバの使用は将来のHD-DVD、Blue-rayの利用に致命的な影響があるらしいのでお奨めしません)くらいでした。ほとんどのデバイスは標準ドライバで動作します。
RC2以前の使用感ですが、RC1以降は大変軽く、使い込んだXPよりはよほどいい感じです。明らかにビデオカードが頑張っており、筐体の温度は平均的に1〜2℃高めです。Aeroはドライバを適用した後は常に有効で、X1600PROでも引っかかりなどは全くありませんでした。解像度が1024×768だという辺りが無理がない環境になったのではないかと思います。
エクスペリエンスインデックスは4.3(RC2)、新しいリリースになるほど高い評価点が出ました。基準は不変でOSのパフォーマンスが向上したからではないかと思います。
付属アプリの使用感ですが、よく使う「リモートデスクトップ」「インターネット・インフォメーション・サービス」、使いたいと思っていた「メディアセンター」は大体(特に前者2つは完全といえるほど)動作しました。MPEG-2の扱いに問題があるようで(でもプレスのDVDは問題ない)、メディアセンター、メディアプレイヤーのいずれでも再生できませんでした。Media Player Classicを使えば再生できますし(Vistaでの動作は問題なし)、WinDVDを管理者権限で強引にインストールし、Directshow Filter Tool(というフリーソフト)を(これまた管理者権限で)使ってMS謹製ではないデコーダにすれば完全に動作します。まぁ、MSとしてはDVDに焼くとき以外はWMVフォーマットを使って欲しいはずなので、MPEG-2が使えないのは仕様かもしれませんが。
ネットワーク関係ではIPv6が標準サポート(というかメイン)になり、放って置くとこれで接続を開始します。ローカルエリア内でも同様で、うちはルータが古いのでIPv6非対応であり、ルータが落ちてしまいます。うちでの回避策はIPv4のアドレスを決めうちにすることでした(まぁ、ルータをいちいち再起動してもよいのですが)。DHCPではどうしてもうまくいかなかったからで、これはルータ個別の事情だと思います。IPv6はポリシーで使わないように設定することはできるそうです(削除はダメらしい)。
総合的にRC2を評価すると、製品には無理があるものの、Linuxを一から導入して使うことと比べたらより扱いやすいくらいのレベルだと思いました。これからRC1を使うorギリギリまで使い続ける人もいるでしょうが、工夫すればという前提つきで結構いけるように思います。

(ここまで、製品版前までの評価。以下は追記しながら続けます)

リリース候補版などを使った結果、Ultimateを購入することになりました。まぁ、人柱用のおもちゃです。
エディションがアルティメイトなのは、リモートデスクトップとメディアセンターが同居するのが他にないから。IIS7もできれば欲しいので、他に選択肢はないですね。
購入の際、別にこだわりはなかったのですがα(自作向けの特別仕様の限定パッケージ)を入手できたので、DSP版を選択することになりました。後で移動する可能性はあるので、リテール通常版と迷ったのですが、仮想PCにはインストールしないだろう&移動するとき64bitに変えることはないだろう、で決定。多分ですが、64bitにはVistaの次のOSで移行することになると思います(そのとき、この32bitのVistaをデュアルブートのために移動すればOKかな、と)。αにはUSBメモリがおまけに付きますが、Vistaのロゴ入りなんですね。実用的には512MBということで「?」ですが、記念品にはなります。

製品版のインストールですが、RC1やRC2と変わりなしでした。十分にスピードも出ていましたし、変える必要はなかったのでしょう。製品版がインストールできるかどうかはRC1で評価しても大体わかるのではないかと思います。
ThinkCentre A50pへVistaをインストールするに当たって、最初の問題はAHCIをどうするかです。せっかくSATAがあり、OSも標準でサポートするのですからNativeにするべきでしょうが、XPとのマルチブートにする関係でIDE互換モードから変更できないのでそのままにしました。RAIDが関係ないならこれでもよいかと。
マザーボード上のものは、何もしなくても全部認識します。PCIのデバイスのうち、前述のPX-C200Pを除くとIntel PRO 1000MTはそのまま認識・動作しました。Sapphire X1950PRO AGPは標準ドライバでは挙動が怪しく、ATIのCatalyst 7.1(Vista用)で通常の挙動を示しました。他にハードウェアではUSBデバイスが変な相性もなく全部動作しました。

*個別機能・アプリケーション

(Aero・エアロ)
一番視覚に訴えるのがこれです。視覚効果というものはCPU資源の無駄遣いという発想がこれまで通用したのですが、これは余っているであろうGPU資源を通常使用時に活用しようというものらしいです。PCの資源の有効活用を目指したものだとは言えると思います(が、環境資源にはやさしくないかもしれない)。効果のほどは重たいアプリをいくつか動かしながらウィンドウをいじくればクラシック表示と比較して優れているとわかります。エアロはこのほか「フリップ3D」などの機能の総称だそうで、Vista用のWDDMというものに準拠したドライバを使うことで使用できます。同時にハードウェア要件をクリアすることも求められます。ThinkCentre A50pにはRadeon9600搭載モデルがありますが、これでもクリアはできるので、極端に高い要件ではないと言ってよいでしょう。

(Superfetch・スーパーフェッチ)
これもXPでは無駄にしていたメモリの空き容量の有効活用という方向です。空いているメモリによく使うプログラムをロードしておき、使うときには読み込まれている状態にするもので、何か他のことにメモリが必要になると、その分を直ちに捨てて普通に動作することでこれまでと同じ状態は維持しつつ、特定の操作を高速化することができます。しかしながら、高速化の対象はOSが稼働状況から判断するので、ユーザーは介入できません。ユーザーがある程度対象を決められたら、なおよいと思ったりしましたが。
この機能があるため、起動するとVistaはユーザー環境が立ち上がった後も延々とメモリへデータを読み込み続けます。ハードディスクが早く壊れそうで何か微妙・・・。

(Readyboost・レディブースト)
Superfetchの拡張という感じらしく、メモリにキャッシュする分+ReadyBoostにキャッシュする分がSuperfetchとして効いてくるようです。従って、キャッシュよりも読み込みが早いと無意味になります。HDDからプログラムを読み込む速さと、USBメモリ(など)にキャッシュされたデータを読み込む速さでは、(特にプログラム起動時に多い)ランダムアクセス性能の比較でUSBメモリなどの非回転デバイスが高速であり、キャッシュからの読み込みでプログラムの起動が速くなります。キャッシュは読み取り専用で使われ、実体は常にHDD上に実在するので消滅の危険は皆無ですし、キャッシュは圧縮・暗号化されていて持ち出されても安全ということらしいです。通常でもスワップするような環境で使うとどうなるのかな? スワップしつつキャッシュにも入るような運用になってくるのか、Superfetchとして機能して、スワップは別枠になるのか・・・。ReadyBoostに関しては条件分けをして検証された内容が少なく(USBメモリの量を変える検証はたくさんありますが、スワップアウトが多い時と少ない時の動作に関する検証は見たことがないです、2007/2/20現在)、どの程度メモリの代わりをするのか未知数です。リードオンリーキャッシュであることは不変のはずなので、スワップする環境でもSuperfetchのキャッシュとしてのみ動作するという解釈が単純。スワップが発生するとスワップと同時にUSBにキャッシュするという考えもありますが、こちらだと体感速度は向上しますがかなりもったいないメモリの使い方ですね。Superfetchが利かなくなるわけなので(もちろんスワップが速い方がSupperfetchなしで動作に良い影響が出るならそれでよいわけで。キャッシュはヒットしないと無意味ですし)、微妙なところです。後者の方が正しいように読める情報はいくつかあるので、そうかなとも思います。(2007/5/6)



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