それは現在(いま)という名の世界・・・プレゼンティア


 ある空間でのこと。
 その空間は、私達のそれとよく似ていたが、ひとつ決定的な違いがあった。それは、第五の力「魔法力」が存在することである。
 「魔法力」の源は、生きる者の精神(こころ)であり、その潜在力が大きい者ほど、より大きな「魔法力」を発揮し得る。
 その空間で、生命をはぐくむ星が現れた。それまでは物理的な乱雑さに埋没していた「魔法力」が、知性のある生命体に知られ、利用され始めた。「魔法」が誕生したのである。
 人間も、そうした生命体の一種であった。応用に巧みな彼らは、その世界でも有力な存在となった。しかしながら、人間は決して強くはなかった。他の生命体には、人間より強いものが少なくなかったのである。人間とそうした者達との鬩ぎ合いは果てなく続いていた。
 ある頃、人間達の一部は、「魔法」を体系的に進化させ、その恩恵により成る国家を創り上げた。この国は「魔法」の恐ろしさをよく理解していたため、非攻の哲学を掲げることとし、建国時に「自分たちの理想が永遠に続くこと」を願った。この魔法帝国「エターナリア」は、一万にも及ぶ時を越えるうちに、傘下に諸勢力を集めて広大かつ、強大な国家として世界の指導的な立場にいた。
 とはいうものの、世界は渾然として定まらず、数節の後のことを知る者はない。人間は未だ、この世界に確固たる地位を築いてはいない。
 「エターナリアは永遠か、それとも一瞬の煌きか」
 と言った皇帝もいた。
 「プレゼンティア」、それは現在(いま)と言う名の世界。プレゼンティアを生きるためには、精神(こころ)の強さを求められる。すなわち、信じた道を往くことができることである。信じた道を強い精神(こころ)で往くことができた者こそ、素晴らしいものを得ることだろう。



作者の語りでございます。
プレゼンティアは単純に理解するならば、マジカルファンタジーの世界です。魔法ありの地球のような世界です。
私が今から動かそうとしている世界は、エターナリアという大帝国が齢一万年を迎えようとする頃です。
他の項目でこの世界を語るに当たって、最低限度の情報をまず明らかにしようと思います。

世界は、地球と比較するのであれば、中世かそれ以前に当たります。
ただし、魔法の存在と進展によって、一部の分野では近代に当たるほどの進展がある場合もあります。
例えば、銃器などは一応存在します。魔法帝国では、魔法が非常に便利に用いられるので、銃器は使われませんが、技術の進んだ別の国では、それなりに地位を確立していたりします。

現在は、魔法帝国エターナリアが、世界に多大な影響力をもっています。イメージするならば、全盛期のローマがそれに当たるでしょうか。ひとつの大陸とその周辺に力を及ぼしています。
しかし、この国は「非攻」の哲学を持ち、攻められない限り他国に干渉することはありません。このため、エターナリア周辺は、情勢が非常に安定した地域になっています。故に、世界の多くの人達は、エターナリアの永遠性を信じている傾向があります。
ところが、必ずしもそうではないのです(ここを語るとつまらないので秘密)。



さて、次は「オリジニア」について触れたいと思います。

ベル達が冒険している舞台、オリジニアは比較的温暖で人間が住み良い地方です。簡単にイメージを作りたければ、ヨーロッパがそれに当たるでしょう。
人間の割合が大きく、モンスターや他種族はあまり見かけません(当然ながら、いないわけでもありませんし、危険も十分にあるのですが、他地域と比較して、の意)。
そのためか、ベル達もあまり野生のモンスターに遭遇する場面がありません。
シナリオ的なことから言えば、各人の設定がそういった方向だったからでもあります。

文明の進展度は、上の下というところでしょうか。エターナリアには及ぶべくもありませんが、かなり上位にあると考えていただければいいでしょう。
未開地がほとんどない(ワンダーウッズが例外的)ことは、特筆すべきこの地域の特色でしょう。これは前段落の内容にもリンクします。
魔法に関しても同様の位置にあると言えます。

生活ですが、農業生産に向いた土地柄であるため、他地域と比較して富裕であると言えます。
現状では「輸出」の明確な概念はありませんが、この地域は他の地域へ食料を「輸出」している状態にあります。
ただ、人口が多い地方でもあるので、飢饉が起きやすい(食料供給のバランスの変化に弱い)という危険性はあります。
ただし、その引き金となる要因のうち、気候に関しては恵まれているのでそれほど深刻ではありません。

この地域に属している国家は比較的小さな規模ですが、人口は多くて国力も他地域のそれより高いです。
政治体制は君主制であることが多く、貴族・諸侯が土地を支配している構図が多いです。現在、ヴァイゼスハイムは例外的に緩やかな共和制で国王を置いていません。また、サクレ・アンピール(神聖帝国)は教皇が国家元首という体制を取っています。この他は(元首の権力の程度に差はあるものの)国王がいる国です。国王と言っても、称号は異なる場合もあります(例えばストールワート公国は「公」或いは「公王」と呼んでいます)。



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