ヨウ素125密封小線源療法について
 
 
2010
5月より、市立砺波総合病院では早期前立腺癌に対する『ヨウ素125密封小線源療法』を開始しました。
20098月末の時点で、全国では、大都市を中心に100施設で実施されていましたが、いよいよ富山県でも実施できるようになりました。

『ヨウ素125密封小線源療法』とは
『本療法の対象となる方』
『治療成績』
『本療法希望の方へ』

『ヨウ素125密封小線源療法』とは

 本療法は、早期前立腺癌に対する放射線療法の一つです。
放射線療法は、体外から放射線をあてる外照射療法と、放射線を発する非常に小さな線源(線源のことをシードと呼びます:下図↓)を前立腺内に数十個埋め込む内照射療法に大別されます。



体内にシードを埋め込むことにより、前立腺だけに強い放射線をあてて治療効果を高め、前立腺以外の隣接臓器(膀胱や直腸)にあたる放射線を最小限にして副作用(頻尿、血尿、血便など)を少なくすることができます。
肛門から挿入した超音波装置で前立腺を確認しながら、会陰から刺した針を通してシードを前立腺内に留置します(下図↓)。



シードは、副作用を最小限にして効果が最大限に高まるよう、あらかじめコンピューターで計算された部位に正確に留置します(レントゲンで見ると前立腺内に万遍なくシードが留置されている事が分かります:下図↓)。




『本療法の対象となる方』

 早期前立腺癌と診断された方の多くが適応となりますが、以下のような場合には、通常適応とはなりません。
前立腺が正常(体積
20cc程度)の3倍を超えて大きく腫大している場合、過去に前立腺肥大症などのために内視鏡手術(経尿道的前立腺切除術)を受けている場合、前立腺内に石灰化が多く超音波で前立腺が見えにくい場合、PSA値が20を超えている場合や生検組織の悪性度が高い場合などです。
このような場合では、手術療法、外照射療法、薬物療法、あるいはそれらの組み合わせがより適している可能性があります。
対象となるかどうかは、担当医に良く相談して判断してもらう必要があります。


『治療成績』

 米国では1990年頃から行なわれるようになり、早期前立腺癌に限っては、10年の治療成績が手術とかわらないことが分かっています。
日本では、本療法が始まって
6年のため長期成績は分かりませんが、欧米とほぼ同等と考えられています。
このため実施施設が増加し、現在では、人口
100万人に一施設程度になっています。

『本療法希望の方へ』

 本療法を希望される方/前立腺癌の検査を希望される方は、当科外来(本ホームページの診療案内を参照してください)を受診してください。
すでに他院で前立腺癌の診断がなされている方は、担当医に相談され、紹介状を書いてもらって下さい(紹介状がない場合でも、相談のための受診は可能です)。
通常
34日の入院で治療できますが、まずは外来にて、本療法の詳細や、適応の有無、治療前後の注意事項など詳しく説明いたします。
説明をお聞きになり、十分に理解された上で、治療を受けるかどうか決めてください。