唯我独走の品ゾロエと陳列ぶり、芸達者な書評っぷりで、知る人ぞ知るネット古本屋Honey Bee Brand。この“みつばち印”の店主、「本」にもまさって、ひたすら「食」に執着する「食魂」持ち。昼はアレ食ってニンマリ、夜はコレ食ってプチギレ。もう、「愛」と「憎」が入り乱れる「食魂」炸裂エッセイですから。
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全日本白飯推進委員会 通称「とりあえずゴハン」

○主張 1、ライスの注文を受けたら5分以内に出せ!
    2、飯は固く炊け!

 私は酒が飲めない。従って、酒飲みの気持ちはまったく分からないわけだが、同じく、酒飲みにもゴハン党の気持ちはまったく分からないらしい。
 居酒屋や焼き鳥屋は基本的に飲める人が経営しているようで、その無理解がいつも私を苛立たせる。
 「ライス」の注文を受けたら、5分以内に出してほしい。飯はよそって出すだけだろうが、こらぁ!(やや巻き舌) 1分以内に出せとは言わない。が、5分以内は妥協点だと思う。何も難しいことは言っていない。「飯をよそって5分以内に出してください。頼みますから」。プリーズ、プリーズ。たいていの店は、その後2、3品を運んでからやんわり飯を持ってくる。そのテンションの低さに苛立つ。試しにビールを頼んでみてほしい。1分以内に威勢良く運ばれてくるはずだ。だから、それと同じテンションで飯を持って来いよ、頼むから〜。「えっと…ライスですよね?」と、おずおず出すな! さっきからそれを待っとるっちゅーねん。頼むよ、ほんと…。
 あまりに何度もそんなシチュエーションに遭遇するので、最近ではその気配を感じただけで腹が立ってくる。あ、なんかこのバイト君、私の特殊ライスオーダー(「ごはん早めで」)をちゃんと聞いてない(と言うか、意味が分かっていない)。この時点で苛々する。遅い、飯が遅い。遅い遅い。遅いんじゃないかと思ったけどやっぱり遅い。もうこの美味しいノドグロのお刺身が終わっちゃう。これでゴハンを食べようと思ったのに終わっちゃう。だから早めって言ったろうが、こらぁ!(すごく巻き舌)
 ゴハン党がどの位切ない思いで飯を待っているか。恐らくは夏の肉体労働の後、水も飲まずに、乾杯のビールを待っている人と同等だろうと思う。せっかく美味しく肉が焼けているのに、飯がない。飯がないのに、この肉を食べるのはあまりに勿体ない。肉が焼ける前にライスを出してくれて結構なのだ。付出しの段階で白飯が出てるのはオッケーなのだ。それを分かってほしい。
 酒に合うものは、飯に合う。これを理解してほしい。焼き鳥。刺身。烏賊黒作り。ふぐ糠漬け。おでん。焼肉。豚キムチ。ひとくち食べて、「ご、ご、ごはんごはんごはん」と思うその瞬間に、ゴハンのない不幸。なぜ、ビール(友人用)と飯(私用)を同時に頼んでいるのに、ビールだけ先に出すのか。
 なぜ「ごはんを早めに出してください」と頼んでいるのに、意味が分からないという顔をされるのか。私は問いたい。なぜ? 早めと言ったら早めだ。肉の焼ける前。付出しと同時。付出しがゴハンに合うことも多いからね。つまりアレだ、
今すぐなんだよ!! うぉ〜(暴れている)。

 そして飯は固めに炊いて欲しい。待たされた挙句、出てきたゴハンがへなへなの時、また、昨日炊いたのかと疑いたくなるような茶色いゴハンの時、軽く気が遠くなる。怒りで。因みにウチでは、5合炊くときは、4.5合の目盛りで炊く(単に炊飯ジャーが古いだけとも言える)。
 柔らかい飯、柔らかいおにぎり、これほど私をがっかりさせる食べ物は他にない。

(2006年2月1日)

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