第12話 一方その頃例の血で書かれた現場で今度は犬の惨殺死体が発見されていた。
発見までの経過は近所の子どもが不思議なサンタを見つけたといって裏路地に入りそこで見
つけたらしいのだ。この子にいうには(まだ幼稚園児だったので正確なことは言えないが)どう
も、サンタというよりピエロのような格好をしていて手にはたくさんの風船が握られておりそ
れが異常に目を引いたらしいのだ。
発見されたとき犬の頚動脈からまだ鮮血が勢い良く吹き出て辺りをさらに赤く染め上げ、あ
の赤文字おも消し去っていた。
そして、次なるメッセージ・・・「復讐」壁に浮き上がっていた。
もちろん、少年探偵団はこの事を知らない。(June 20 jna with penny)
第13話 健太郎君は今まであったことを一生懸命に話しました。
サンタのこと、袋が動いたこと、サンタが入った家には何もなくて壁に「今宵恐怖のベルが
鳴るMerry Christmas」と書かれていたこと(お兄さんは健太郎君が書いた文字を見て、「こよ
いきょうふのべるがなる」と読みました)、そして「ノベルがなる」という本を買ったこと、
大人の人に読んでもらうことにしたこと、そしてお兄さんを選んだことを話しました。
お兄さんは話を聞き終わると「ヤア素敵素敵」と笑いました。「ところでその家がどこにあ
るのか、わからないのかい?」
健太郎君はこれで何度目かになりますが、サンタが入った家の場所を思い出そうとしました。
しかし駄目でした。怖くて走って逃げた後すっかりと忘れてしまったのでした。
「うむ。」とお兄さんは頭を傾げると「ノベルがなる」を取り上げてぱらぱらとめくりまし
た。「単に漢字を飛ばして読んだだけなのだから、この本には関係ないはずだが・・・」
「でも」と健太郎君が反論しました。「壁の字がダイニングメッセージなら関係あるかもし
れないです」
お兄さんは本から視線を健太郎君に向けました。健太郎君は恥かしくなりました。
「ふむ、ダイニングメッセージね。」お兄さんは本を閉じました。その大きな音に香ちゃん
は飛び上がりました。「あ、ごめんよ、驚かして。でもね、被害者がダイニングメッセージを
書いたにしては長すぎるメッセージだし、無意味じゃないかな。ところで死体は見たの?」
「し、死体・・・」健太郎君は現場を思い浮かべて、大きく頭をふりました。
(July 31 しのす)
第15話 「死体ねぇー。」
祐介が腕を組んであたまをかしげる。その様子はまるで本物の探偵のようだ。
「絶対にないよ。見えなかった、そ、そう、僕たちは見なかった!」
健太郎は手を震わせか細い声で言う。
「おい、おい、お前、恐いのか?」祐介が指をつついていった。
「・・・こ、恐く・・・!何だよ、お、おまえこそ恐いんじゃないのか?」
お兄さんと香ちゃんはいつのまにか奥へ行って、お茶を入れている。
「ねぇ、ほんとに死体なんかあるのかな?」
「ははは。いってみただけサー、ははははははは。」
そういへば、
祐介と健太郎は居間で取っ組み合いを始めた。
それを二人は、お茶を入れながら見ていた。
(Dec. 2 jna with penny)
第14話 取っ組み合いはつづき,10分後にやっと収まりました。
「あ,あの…」
という,またかぼそい,女の子の声がしました。
「やあ,聖名子ちゃん」
お兄さんは手でおいでおいでをして,聖名子ちゃんを呼び寄せました。
「聖名子ちゃんはね,近所の小学5年生なんだよ。君らのパートナーにこの子を
入れてあげてくれないかな」
聖名子ちゃんは,よく整った可愛らしい顔立ちをした,おとなしそうな子でした。
お兄さんは,この聖名子ちゃんに,すべてを話しました。だんだん聖名子ちゃんの目に,
怪しくも不敵な光が広がってきました。
話し終わったとき,聖名子ちゃんの顔はすっかりといつもの落ち着きを無くして,
興奮と嬉しさの入り交じった真っ赤な顔をしていました。
聖名子ちゃんは,みんなを呼び寄せました。
「なるほどね。さっき、あたしあるところへいってきたの。それがたぶんあなたたちの
いったところだと思うわ。」
みんなはごくりとつばを飲み込み,聖名子ちゃんの話に聞き入りました。犬の惨殺事件,
「復讐」の文字のこと…そして聖名子ちゃんは自分自身の推測をもはなしました。
その内容は,実に驚くべきものでした… (Dec. 19 やすい)
第16話 「まず,あなたたち,「ダイニング・メッセージ」じゃなくて
「ダイイング・メッセージ」よ。そこんとこ頭に止めといてね。
犯人(多分そうだと思うわ。もちろんサンタのことよ)は,まず誘拐を企てたんだと思うわ。
だってそうでしょ?季節に合った服装で,しかも大きい袋を持つ。サンタしかいないじゃないのさ。
これはひょっとすると,どえらい事件になってるのかもしれない。あたしたちだけじゃ手におえない
と思うわ。でもね,ある程度の推測ならついてるのよ。それはね…」 (Dec. 19 りょう)
第17話 聖名子ちゃんはゆっくりとみんなの顔を見回して、もったいつけてから言いました。
「……犯人が誘拐しようとしているのは子供よ」
「そんなこと僕にだって分かるよ! あの袋に大人を入れて運ぶのはいくらサンタだって……。
君の推理はそんなものかい?」
ひょうしぬけした健太郎君が早口でまくしたてるのを、聖名子ちゃんはニヤニヤしながら聞いて
いました。もうさっきまでのおとなしそうな表情はかけらもありません。
「待ってよ。ちゃんと続きがあるのよ。あわてんぼうさんね」
健太郎君は聖名子ちゃんに子供あつかいされてムッとしながら聞き返しました。
「何だよ。続きって」
「それはね……」
聖名子ちゃんは急にまじめな顔になると言いました。
「犯人が誘拐しようとしている子供はこの中にいるのよ」(Jan. 16 玉生洋一)
第18話 「えー!」
みんなはいっせいにブーイング。
「『犯人はこの中にいる!』」って言うなら判るけど、誘拐しようとしてる子がいるって、どういうことだよ。」
祐介君は少し怒って言いました。
「これだから素人さんは駄目なのよねー。」
聖名子ちゃんは自慢げにフフンと鼻を鳴らして言いました。聖名子ちゃんのお姉さんぶった態度にムッとした健太郎君は、もう話すのがいやになって、プイと横を向いてしまいました。でも、本当はそれが誰なのか知りたくてウズウズしていました。
「一体それは誰なの?」
かわりに香ちゃんが聞いてくれてほっとしたのもつかの間。聖名子ちゃんが言いました。
「それはね。」(Nov. 30 ユゴリ)
第19話 「わ・た・し☆」
「はあ!?」
またもブーイングである。
「何考えてるんだお前?」
「これだから女は・・・」(Mar.15 るむるむ)
第20話 「ここに、私がきたのもなにかあるかもしれないじゃない!!」
聖名子ちゃんは、自信満々に、いいました。
「だけどなぁ-。」
「お兄さん?どうしたの?」
「それが・・・・」
プルルルルル・・・・・・・・・・
「電話だ!!」(Sep.10,00 かりん)