アスマの言葉にナルト達もカカシに注目した。 ついさっきまでサスケを巡る女の戦いに油を注いでみたりして遊んでいたカカシだったが、今は青ざめ、冷や汗をダラダラと流している。 客観的に見てまともな状態じゃない。 が、 「い、いや、なんでもない。じゃ、俺報告しに行ってくるから。解散!明日もいつもの場所に定刻に来ること!」 アスマと目が合った瞬間にビクっと体を震わせた後、早口で必要なことをいうと、カカシの姿はもう見えなかった。 瞬身の術で移動したのだ。 「なんだあ、あいつ?」 不思議そうなアスマ。 「ぷっ。あははははは!」 一瞬間を置いて笑い出したのはナルトとサクラ。 サスケさえも、爆笑こそしないものの笑っている。 というか、爆笑したいのを必死でこらえているが、こらえきれていないといった状態のようだ。 突然の7班の面々の奇行に驚いたのは10班。 「おい、ナルト。何なんだ?一体?」 「あはは…!な、何でもないってばよ…!くっ、はは…!」 「おい、サクラ」 「はは…ふふふ…何でも…ないですから…!というか、アスマ先生は知らない方が幸せだと思います…。あーお腹痛い…」 「はあ?」 ますます不審そうなアスマ。 (ナルト?何なんだ?めんどくせーな) (くっ…ははっ…!後で話す…!マジ腹痛い!) 「くっ!お、俺は…帰る。…じゃあな」 「あ、待て、サスケ!……ちっ」 続いてサスケに尋ねようとしたら、先手を打たれて帰られたのでアスマは舌打ちする。 仕方ない。後でカカシを捕まえて吐かせよう。とアスマは決意した。 思い立ったら即日。 今なら受付に行けばカカシを捕まえられるだろう。 「じゃあな。」 憮然とした表情でアスマは受付の方角へ猛スピードで戻って行った。 「もー何なのよー!気になるじゃない!」 「本当、何なんだろうね?でも、あんまりお腹膨れそうな感じじゃないし、僕はいいや」 「あんた、ホント食べることにしか興味ないのねー」 「うん。じゃあ、僕、お腹すいたからもう帰る。」 今までずっとお菓子食べてたくせに…!と呆れたがコレもいつものこと。 そんなことより、今は…… 「ちょっとサクラー?さっきから何なのよー?吐くまで絶対帰さないんだからねー?」 「ははっ…!わ、わかった。言うから。そこのお店入らない?ケーキ、美味しいらしいわよ。しかもローカロリー」 「いいじゃない!」 「はあ。ホント女ってわけわかんねー。ついさっきまでケンカしてたくせに、仲良くケーキかよ」 「まあ、いいじゃん。オレらも行こうぜ、シカマル。アスマたちとかち合わないようにゆっくり、さ。」 ナルトとサクラはそれぞれ友人に何があったのかを話した。 ナルトはその後、その話題から離れ、ルシファードを交えてシカマルと共に暗号を解いて、作って、という遊びに没頭した。 しかし、サクラといのの会話はその話題から、後に木の葉の多くの女性を虜にするプロジェクトに発展していったのだった。 思わぬ助っ人を交えて。 ローカロリーで美味しいと評判のケーキと紅茶に舌鼓を打ちながら、楽しく会話するサクラトいの。 「へえーそんなことがあったんだー!すっごい面白いじゃなーい!」 「でしょ!?」 「この、馬鹿サクラ。こんな面白い話なんで今まで黙ってたのよー!」 「ごめん、ごめん。だって、いのに全然会わなかったし。」 「まーそうなんだけど…。にしてもカカシ先生とあのアスマがねえ……。……くくく。あははははははは!!!!」 バンバンと机を叩きながら爆笑するいの。 「あはは…い、いの、笑いすぎ…!」 いのは、ごほんと咳払いを一つして真面目な表情を作る。 目はいいことを思いついた!とキラキラと輝いていたが。 サクラにグッと顔を寄せ、自分の思いつきを提案する。 「ねえ、サクラ。私たちで作らない?その『パープル・ヘブン』っていう本の木の葉版!」 さすが、いの。 馬鹿ウケしただけあって本の名前は一度でしっかり記憶している。 「……いいじゃない。」 いのの提案に一瞬目を見開いた後、サクラは笑顔で同意した。 2人がこの思いつきに目を輝かせていると…… 「面白そうな話をしているわね。私も参加させてもらっていいかしら?」 「「紅先生!?」」 さすがは上忍!気配に全然気づかなかったわ! 2人は感心した。 「もちろん、いいですよ。ねえ、いの?」 「もちろん。強力な助っ人は大歓迎です。」 同じ志(?)を持つ同士。 目の輝きが違う。 「私は役に立つわよ。中忍時代には木の葉の広報誌を発行していたから、出版関係にはかなり知識も伝手もある。」 キラリと妖しく目が光る。 その瞬間、3人はガシっときつく腕を組み、 「『コノハ・ヘブン』プロジェクト始動!」 |