侵入者!?(余談) PHトーク ルシファードは里を歩いていて、ある看板が目に留まった。 『ついに映画化!イチャチャパラダイス(R指定)』 …スゲー題名…。どんな内容だよ? と思っていると、任務帰りの下忍7班と会った。 「あ!ルシファードさーん!」 ナルトがルシファードに気づき、走って駆け寄った。 ついで、サクラ、サスケ、カカシも駆け寄る。 「任務終わったのか。皆、お疲れ様」 笑顔でナルト達を迎え、ねぎらうルシファード。 「ルシファードさん、この間はありがとうございました! あの後家でも作ってみたんですけど、両親にも大好評でしたv」 サクラは任務後や休暇など、時間があるときにルシファードから料理を習っているのだ。 最終目標はサスケに食べてもらうこと。 (サスケ「…美味しい。サクラ、料理上手いんだな」 サクラ「ありがとう、嬉しい、サスケくんv …サスケくんのためにがんばったの」 サスケ「サクラ…。オレのために…。 サクラ、結婚しよう。お前の作った料理を一生食べたい。 サクラ、愛してる……」 なーんて!キャーーー!!! しゃーんなろー!がんばるわー!←内なるサクラ) 「そうか、よかったよ。またいつでもどうぞ。 思う存分腕を振るえるから俺も楽しくてさ」 笑顔で言うルシファードに赤面しながら、サクラはまたお願いしますと頼んだ。 「立ち話もなんですから、そこの店に入りませんか?」 とカカシが提案すると、 「珍しいな、カカシがそんな気の利いたことをいうなんて」 「ヤッター!カカシ先生のおごりだってばよ!」 「サスケ君!早く行きましょう!」 「ああ」 とんとん拍子に話が進んだ。 「え!?オレがオゴることになってるの!?」 子供たちの会話の内容に驚くカカシ。 「当たり前でしょう!? カカシ先生から言い出したんだし、上忍で高給取りなんだから!」 にっこりと、はっきり言うサクラ。 「ええ〜。でもオレ下忍担当になってから給料下がった…って、聞いてないし!」 子供たちはすでに店ののれんをくぐっていた。 「カカシ先生遅いってばよ!ルシファードさんも!」 のれんから首をだしてナルトが呼ぶ。 「半分持ちますよ、カカシ先生。俺もちゃんと給料もらってるから。 さ、早く行きましょう。ナルト君たちが待ってる」 そう言って、ルシファードはカカシの肩を押し、促した。 「ルシファードさん、いい人だね、あんた。 助かったよ。実は今日は財布の中、あんまり余裕ないんですよ。 これもそれも、アスマの熊が…って、それはこっちの話で…さ、行きましょう!」 それぞれ思い思いの物を注文した後。 「そういえばルシファードさん、さっき何見てたんだってば?」 「ああ、『ついに映画化!イチャイチャパラダイス(R指定)』っていう看板。 なんか、スゲー題名だなと思ってさ」 苦笑してルシファードが答える。 「オレ達、その本知ってる! ろくでもねー本だってばよ!」 「ろくでもないって、あのね、オレの愛読書にケチつけないでくれる?」 いくらナルトでも……お仕置きしちゃうよ? そう言うカカシの顔がいろんな意味で危険だったため、サスケが間に入る。 「マトモな本じゃねーのは確かだろう。 あんなに大きく裏表紙に『18禁』って書かれてるんだ」 (お仕置きって何する気なんだよ!この変態!) 「あの本を読んでるときのカカシ先生、怪しすぎるもの。 第一、18禁本を任務中に読むのはどうかと思います」 (カカシ先生の目をナルトから逸らしてナルトを守らなきゃ) サスケとサクラはそれぞれ思惑を秘めながら非難する。 「お前たちはお子様だからあの本のすばらしさがわかんないの!」 「わかるわけねーってばよ!オレ達18歳になってねーもの!」 ごもっとも。 「ははは、ナルト君の言うとおりだ。もっとな意見だな」 ナルトの言葉が気に入ったのか、ルシファードが同意する。 「あの本はな、恋、愛、失恋…大人になって忘れてしまった大切な何かが蘇ってくる、そんなすごい本なんだぞ!」 カカシは散々な言われような愛読書を弁護する。 「…うそ臭いってば」 不審気な視線をおくるナルト。 「てめーが汚れた大人だってことはわかった」 にやりと笑うサスケ。 「カカシ先生、そんな大切なものをどこかに捨ててきちゃったから、そんなに変態なんですね」 同情の目で見つめるサクラ。 「ひどい!ルシファードさんはわかってくれますよね!同世代だし!」 身を乗り出してルシファードに迫るカカシ。 目が怖い。 ちなみにカカシは26歳。ルシファードは27歳。 「うーん、どうかな。読んだことないし」 ルシファードは苦笑して答えた。 「じゃあ、読んでください」 ウエストポーチからカカシは1冊の本を取り出した。 …持ち歩いてるのか? 半ば呆れながらルシファードは『イチャイチャパラダイス(上)』を受け取った。 「ルシファードさん、そんなものを読むとカカシみたいに頭が腐るんじゃないか?」 心配そうに言うサスケの言葉にカカシが絡む。 「さっきから本当に失礼な奴だね、サスケ!映画化されるぐらいのベストセラーなんだぞ!」 「ああ、そうだった。すまない。 頭が腐ってるのは本のせいじゃなく、元々だったな。 責任を本に押し付けて悪かったな」 サスケとカカシの間に火花が散る。 その間にルシファードは渡された『イチャイチャ〜(上)』をパラパラと読んでいた。 「ぷっ。あはははは……!」 突然笑い出したルシファードに驚く一同。 「る、ルシファードさん?」 (どうしよう、本のせいで本当におかしくなっちゃったのかしら?) 心配するサクラ。 「……爆笑するような話でした?」 ルシファードの予想外の反応に困惑するカカシ。 「いや、このベッタベタな展開でオレが知ってる別の本を思い出しちゃって」 笑い発作が治まったルシファードが言った。 「どんな本なんだってば?」 「パープル・ヘブンっていう基地内で女性仕官たちが発行しているホモ・ポルノ・ゴシップ雑誌。女性たちからは絶大な支持を受け、男性陣からは非難の嵐」 パープル・ヘブン。略してPHとも呼ばれる。 ルシファードの言葉にナルト、サスケ、カカシは嫌そうな顔をする。 なんていってもホモ・ポルノ。 絶対に見たくない。 「どうして男性からそんなに非難を受けるんですか? 嫌なら見たり関わったりしなければいいのに」 サクラが不思議そうに聞く。 「その雑誌に何本も載ってるホモエロ小説に登場する人物が、全員基地内にいる実在の人物なんだ。 それに自分がネタにされてる小説を読んで錯乱した末、銃の乱射未遂事件を起こしたという奴がいたり、ショックのあまり、一晩中ベッドにもぐってシクシク泣いちゃうぐらい屈辱だったって言う奴がいたりする。 俺は女の性的妄想大爆発で、ありえなさすぎる話の展開でスゲー面白いんだけどなあ。もう、笑いすぎて死にそうになったくらいだし」 ルシファードは嬉々として語ったが、それを聞いた男性陣の顔は青ざめていた。 どんな恐ろしい内容が書かれているんだ……。 とりあえず言えることは、 ルシファードさんの感覚は絶対ズレている。 |