侵入者!?(余談) PHトーク2 「人を乱心させるぐらいの内容である一方爆笑できるって、どんな内容なんですか?」 女の子のサクラはやはり男性陣とは考え方が違うようで、興味深々といった表情だ。 「一応ポルノで成人向けだから詳しくは言わないぜ。 そうだなあ、イメージつかないだろうから、こっちの世界の人物で例えると…… カカシ先生とアスマ先生がカップルの話とか」 「げ!?熊とスルの!?嫌すぎる!」 いきなり自分を引き合いに出すルシファードに驚き、内容を聞いて鳥肌になるカカシ。 「話によって攻守が逆転したり、肉体労働系な身長二メートル近い男たちだからありえないのに、白磁の肌を持つ華奢な姿に表現されたりして面白いぜ」 「全然面白くないでショ!?それに攻とか受って何!?」 「パープル・ヘブンにおける専門用語。 攻が男役で、受が女役」 淡々と言うルシファードだったが、男性陣は、 ……嫌な専門用語だ……と嫌な汗を流した。 青ざめる男性陣を他所に、ルシファードの説明は続く。 元々は、俺んところの司令官殿(受)と副司令官殿(攻)の話なんだけど、と前振り、 「友情がいつの間にか恋に変わった関係だったが、それに疲れ果て、休暇をとったカカシ先生を追いかけるアスマ先生。 里を出奔したアスマ先生は、なぜかドシャ降りの雨の中、再会したカカシ先生にはかなげな微笑みを見せてひとこと言うわけだ。 ―――『来ちゃった……』」 「きゃははははは!」 爆笑したのは女の子のサクラ。 「お、面白すぎるわ!ルシファードさん! アスマ先生が……!はかなげな微笑み……!『来ちゃった……』!」 サクラの反応に、な、面白すぎるだろ?と嬉しそうなルシファード。 「……うーわー!!頭ン中で考えちゃったじゃん! 気持ち悪〜。ナルト〜」 カカシがどさくさに紛れてナルトに抱きつく。 「あー、オアシス。オレが男でヤリたいのはナルトだけだよー」 ルシファードの話に気分を悪くしていたサスケだったが、カカシの行動を見て我に返った。 「この変態上忍!ドサクサに紛れて何してやがる!? しかも、平気な顔して問題発言しやがって!」 「あーもう!2人ともうるさいってば! カカシ先生も邪魔!」 (うざいんだよ!カカシ!離せっての、変態!) 「ナルトってばテレちゃってvカーワイイv」 そういって、カカシがナルトの頬に口付けようとする。 (げ!!) 慌てて真剣にカカシの腕の中からナルトは脱出しようとする。 サスケもナルトの危機に、ナルトの腕を引っ張り、脱出させた。 「サスケ、助かった」 心底ホッとして、ナルトはサスケに笑いかけた。 それを見て赤面するサスケ。 ナルトを背にかばいながらサスケはカカシと対峙した。 「腐ってんのか、その目は!?嫌がってただろ!!」 そして、ナルトの方を向き、安心させるようにめったに見せない優しい笑みを浮かべて言う。 「安心しろ、ナルト。 お前はオレが守ってやる」 ルシファードはその様子を見て、天然のPHの世界を見ているような感覚を覚えた。 うわー、ホモの三角関係……。 「ルシファードさんはその雑誌に出たことあるんですか?」 暴走しそうなルシファードの思考を止めたのはサクラの質問だった。 サクラの目が好奇心でキラキラしている。 どうやらサクラにはサスケの笑顔は見えなかったらしい。 「とりあえず攻キャラで出るみたい。 タイトルは『星の数だけ抱きしめて』だ。 これだけで笑える。絶対その回数を抱きしめる前に寿命が尽きる。 んで、俺は『瑠璃色の小鳥のように傷つきやすい繊細な心を暗いスクリーングラスの奥に隠し』ちゃってるキャラだぞ。 あはははは!スゲー珍妙で勘違いな表現が楽しくて仕方がない!」 「ぎゃははは!確かに面白そうだってばよ!」 「確かに。本気で取るから気色悪ぃーんだ。 そういう見方をすれば笑えるかもな」 「私たち、見れなくて残念だわ」 「まあ、どんなに笑えてもかなり過激な表現も多い成人向けだからなあ」 あと、8年待たなきゃな。 「あんたは男役だからそんなに笑ってられるんじゃないの?」 ルシファードの話で例えに使われたりして、散々色々なものを頭の中で考えてしまい、すっかりボロボロになっているカカシが言った。 サスケの妨害とナルトの抵抗により精神的な回復はできなかったのだ。 「いや、高確率で近いうちに俺が受の話も雑誌に載る。 それはそれで、どんなありえねー話が出来上がるのかスゲー楽しみ」 ニコニコと嬉しそうに話すルシファードに唖然とするが、さらに続いた言葉に目を見開いた。 「そういえばさ、前に相手の男をリクエストしたことがあるんだけど、どうなるのかなあ」 「リクエストしたの!?」 心底驚くカカシ。 「ありえねえ」 「絶対おかしいってばよ」 サスケとナルトも驚きを隠せない。 「え!?相手はどんな人なんですか?」 嬉しそうなのはやっぱりサクラ。 「就任早々、とあることであわや決闘騒ぎになるまでもめた中年のオヤジ」 「よりにもよって……」 先ほどのルシファードの説明では笑えても、やはり想像すると気色悪い。 「えー、そんなのつまんないですよ。どうしてその人なんですか?」 「現実世界での確執を排除するために、ちょっと深い仲になって、溝を埋めてみるのもいいかと思ってv」 にっこりと言うルシファード。 「よけい溝が深まるって!」 「捨て身の嫌がらせだな」 呆れるナルトとサスケに対してルシファードは 「面白そうじゃない?」 と答えた。 7班の面々は静かに首を振った。 「そもそも、決闘騒ぎになりかけるほどもめた原因はなんなんだ?」 サスケが聞く。 「ん?俺には潤沢にあって、彼には遺伝的な関係で年々後退していっている人体の一部に対する意見の相違」 ルシファードの遠まわしな表現にしばらくきょとんとした表情の面々だったが、納得がいくと吹き出した。 「その人、ハゲだったんだ!」 「ああ、ナルト君、俺がわざとその言葉を言わないようにしたのに…!」 「面白いけど、それだけの話なの?」 「ふん。いい大人が。くだらないな」 サクラとサスケは呆れ気味である。 「まあ、そうだけど、結構重大な問題だよね」 先天的な皮膚障害に悩む中年男性を弁護するカカシ。 「……いやにかばうな」とサスケ。 「もしかして、カカシ先生……」とサクラ。 「それ、ヅラだってば!?」とナルト。 「!? オレは違うよ!これは自前です!」 慌てて、カカシが言った。 このように、ルシファードとカカシ第7班の面々はお茶を飲みながら楽しい時間(?)を過ごしたのだった。 その後、 里に『車輪眼のカカシはカツラだった!?』の噂が流れたり、 カカシがアスマを見かけると青ざめて逃げ出すという珍妙な行動が見られたり、 カカシ第7班の下忍たちがアスマと会うと、急に笑い出すという行動が見られたり、 そんなカカシや子供たちに困惑するアスマ第10班の面々がいたり、 サクラとその親友のいのを中心に『コノハ・ヘブン』が発行され、一大センセーションを巻き起こすということがあったが、 またそれは別の話である。 |