麗らか&うだるような陽気。


普段は微笑ましくも今は煩いだけの人の声



そして


気怠い自分の体。






「大変そーだな。未来の火影様?」

「人生色々」でぐったりとした様子で机に突っ伏しているナルトを揶揄するようにシカマルは喋っていた。


***新たなる幕開け


「もー・・・マジ大変。里の上層部だけじゃなくて大名達も納得させないといけないから任務の数滅茶苦茶増えたし、仕事覚える為にバアちゃんの手伝いやらされるし、葛葉ねぇの気紛れ修行は厳しいし・・・・」

その葛葉も三日程前から趣味の旅行に出ている。

僅かばかりの休息だ。

自分で言ってて落ち込んできたのか。さらにどよ〜んと暗い雰囲気になる。

「まあ頑張れ〜」

「・・・・それは俺が作ったもんバクバク喰っといて言うセリフなんかな?」

顔を上げた彼の笑顔に青筋が上塗りされているのは決して気のせいではないだろう。


!!!Σ( ̄□ ̄;)

びくびく



怖い

かなりコワい。

背中に冷や汗が伝う。


「あら二人とも。何食べてるのよ〜」

天の助けか。

匂いに釣られたのか(笑)彼が作る料理のファンの一人でもある「幻惑の華」が待機所の中に入ってきた。

以下、いの、ヒナタ、ネジ、シノ、サスケ、がぞろぞろと入ってくる。

「スイートポテト?私も貰っていい?」

「どうぞ〜」

恋愛感情は無くなったとはいえ、いまだに頭の上がらない彼女を前に怒りを引っ込めたらしい。

再びグテーっとした状態に戻っている。

ほっ

他の連中は何も言わないのに勝手に取って食べている。

「あ、おいし・・・」

「コレって昨日の焼き芋の残り?」

「そう〜」

ヒナタの問に彼はどこまでもでろ〜んとした状態で答える。

た○ぱんだみたいだ。

まあそんなとろけたチーズもどきのような状態になっていても、ナルトの作る物は評判が良い。

現に今も皆美味しそうに食べている。

キュイイイイイン・・・

「?」

ジェット機が頭上を掠めるような意図が周囲に響き渡ってきた。(この時代にジェット機があるかどうかは不明)

皆も怪訝な顔をしている。









ドッゴオオオオン!


「うにゃあああああああああ!?」

「たっだいま〜♪」


窓を木っ端微塵に破壊し、彼らが寄り掛けていたテーブルを壁にめり込むまで吹っ飛ばし、それでもスイートポテトだけは安全地帯に非難させた葛葉は室内のパニックもよそに呑気な挨拶をかました。

考えてもみて欲しい。

体長は2m近く、小馬並みの生物が轟音を立てて決して広いとは言えない物がゴチャゴチャと置いてある室内に突っ込んできたのだ。

その破壊力は如何ほどの物か。

「あらナル、そんな所で何引っ繰り返ってるの?」

「葛葉ねぇ・・・・ドアから入ってきてよ・・・・ドアから・・・・・(涙)」

「つーか事故防止用の結界で入れねぇ筈なんすけど・・・・・」

ものの見事に吹っ飛ばされた野郎共(口悪い)は恨みがましそうな眼で彼女を見上げるが、本人はしれっとしたものだ。

「ああ、何かラップに顔突っ込んだよーな感触がしたんだけど結界だったのね〜」

微妙な表現だ。

結界を張った人間が聞いたら泣いて怒るか己の無力さを嘆くか。

「今度はどこ行ってたの?」

「波の国よ〜♪あ、それとこれは土産っ!」

スイートポテトをも口に押し込みながら葛葉は尻尾の一本に括り付けられていた袋をテーブルの上に置いた。

「・・・・・・魚?」

魚だ。

「新鮮な内にって思ったら焦っちゃってね〜」

それだけのために大量の公共物破壊を犯しつつ、数多の忍達を吹っ飛ばしてきたのか。

迷惑な話だ。

待機所にいるその他諸々の忍達は未だにビビって固まってしまっているというのに。

「新鮮な内にって・・・・まだ生きて・・・・イテッ!☆

葛葉の苦労が実ったのかビチビチとまだ元気に跳ねている鱈を持ち上げたサスケの額はそれの華麗な尻尾キックの餌食となった。

つくづく彼はこの作品の中では三枚目役らしい(いや五枚目か?)


「皆新鮮な海魚なんて滅多に食べないでしょ?」

確かに。

木の葉は見ての通り、周りが森だらけの奥地。

流通手段が整っていない訳ではないが、それでも天候の崩れや盗賊の出現など些細(?)な事で台無しになってしまう場合が多い。

よって彼らにとっての新鮮な魚とは専ら川魚が殆どなのだ。

「舟盛りにして食べようか?」

「鱈は断然鍋ね♪」

「シカマル〜?その鯖どーすんの?」

「お袋に味噌煮にしてもらう」

もう既に食べる事に頭が移行しているらしい。

皆しばしの歓談に耽っていた。

「そーいえばナルト、あんた雪の里って知ってる?」

「雪の里?え〜〜〜と(汗)」

「(焦ってやがるなコイツ)雪の里っていや退魔の術で有名な里じゃねーか」

「そうそう!ソレソレ!」

「ってアンタ知らなかったでしょ?」


どうやらシカマルのフォローも徒労に終わったらしい。


「さあ!!細かい事は気にしちゃ駄目だってばよ」

呆れた表情でツッっこんでくる葛葉にナルトは明後日の方向を向いてヘンなポーズをとった。

だが、頬に伝う一筋の汗がその心情を物語っている。

「・・・・まあいいけど」

いいんすかい


雪の里。

シカマルは有名だと言ったが。

その実、あまり詳しい事はよく知られていない。

ハッキリと分かっている事といえば霊峰と呼ばれるほど高い山にあるということぐらいだ。

一度だけ行った事のある自来也に一言言わせれば「めちゃめちゃ寒いのぉ」だそうだ。

ただ、地脈の影響で周囲に妖怪が集まりやすい土地柄の為か、退魔、封魔の術に非常に長けた忍達が大勢いるのだという。



噂では、オーソドックスな妖魔には対戦した時と、交渉する時の為のマニュアルは殆ど揃っているという事だ。

もし、かの九尾事件の折、この里と同盟関係が結ばれていればそうでなくても、協力を依頼し、連携が取れてさえいれば・・・・


あそこまで被害は酷くならずに済んだかもしれないとさえいわれている。


閑話休題

葛葉は木の葉に戻る途中、雪の近くに住み着いている友人の妖怪を訪ねていったのだが、


「いつの間にか引っ越していたと」

「そう、それだけじゃなくて他の妖魔達も根こそぎいなくなっていたのよ」


ふう、とため息をついてお茶を啜った。

「それなら妖怪達の方に問題が発生したってことじゃあ・・・・」

「ンにゃ、里の方を調べてみたら僅かだけど地脈の乱れの痕跡があったわ。多分ここ最近にあっちで何か起こったのね。その影響で大移動しちゃったのよ」


そこで一息つくと、葛葉はヒナタにお茶のおかわりを要求した。

「アタシが調べても良かったんだけれど、あそこの結界、対妖魔専用に近いし。敗れない事もないだろうけど、下手すると余計に地脈に影響与えかねないから」

「ふーん・・・でも、気になるな」


「婆ちゃんに報告しておく?」


「そうしよう」






「ふ〜ん、そんな事が・・・・」

ナルト達から報告を受けた綱手は顔の前で両手を組んで考え込む。

「本当に妖怪達に問題が起こったとは思えないんだな?」

「ん、全然。凶暴化した痕跡も無かったし。探し回ってようやく小さいの何匹か見つけたんだけど怯えまくってて話しにならなかったわ」


「成る程・・・・・」


暫し黙考した後、綱手は勢い良く椅子から立ち上がった。

「他里に不審な動きがあった以上、調べない訳にはいくまい。急な話だが、調査隊を編成する!シズネは上忍、中忍の中からメンバーに使えそうな奴をピックアップ。それとネジ、お前には隊長を任命する。」

「御意」

「俺は?」

「お前は別仕事だ!」

そう言ってドサリ、とナルトの両手に書類の束を乗せた。

「うえ、こんなに?」


「当然だ!次期火影なんだからな!!」

げんなりした表情のナルトに何故か嬉しそうに彼女は告げ、大きい胸を反らした。










「ヴ〜」

そのまま書類を睨みつけながら唸っているナルトを無視して話は進んでいく

「じゃ、頼んだぞ、ネジ」

「はい」





これが・・・・・・・



ネジの運命を大きく変える事になろうとは・・・・


この厄介ごとを持ってきた葛葉すら予測していなかった。




*****おまけSS

鈴鹿「はたけ上忍、一つお聞きしたい事があるのですが」

カカシ「ん〜?何?」

鈴鹿「はたけ上忍の唯一のオリジナル技、『雷切』。あれは昔雷を手で切ったことから名づけられたんですよね。・・・・」

カカシ「まぁね(自慢)」

鈴鹿「何故ですか?」

カカシ「え!?何でって・・・・」

鈴鹿「雷放電における大電流からは広帯域(数百Hz 〜数十MHz) で大振幅の電磁波パルス(空電) が放射され、一般的な雷放電の比較的近距離(数百km) の伝搬特性を波形に基づいて解析が進められており、fullwave計算により伝搬波形には電離層−大地間の多重反射によるパルスの繰り返しなどの特徴的な構造が顕著に現れることを見つけられ接地抵抗が0.1オームでも10キロアンペアで1キロボルトの電圧が発生することになり構成周波数成分の多さは落雷時の音、光、ラジオテレビへの雑音からも実感でき現象としては帯電した雲の移動とその電荷に対応した地上電荷の間の絶縁が破壊された時に落雷という形で電流の流れが起こり平原に立てられた避雷針と雷雲との間であればそれで完了することになりますが人家周辺であれば配電線、電話線、テレビアンテナ、など影響を受ける電気設備が多数あるため影響は多岐にわたり尚且つ人体には極めて有害であり・・・・・・・・・・(以下長くなり過ぎた為省略)

カカシ「????????????????(話が難しくなってきて混乱中)」

鈴鹿「以上のことから人が雷に触れるのはありえません。っていうか触った時点で問答無用で死にます。それ以前に近づいたら切る云々以前に額宛の金属に誘伝導されて直撃します・・・」

カカシ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

鈴鹿「あ!もしかしてはたけ上忍は額宛がプラスチックか何かなんですか?駄目じゃないですか、たかがつまんないパフォーマンスの為に大事な頭を守る防具を無碍にしちゃ」

カカシ「うわーん!!(滝涙)」


シカマル「あ、逃げた」

キバ「ていうか、泣いてたよな・・・思いっきり」

ネジ「ビンゴブックに乗る忍すら赤子同然か・・・・凄まじいな」


ナルト「駄目じゃねーか鈴鹿・・・カカシ先生泣かせちゃ・・・」

鈴鹿を諫める様子のナルト。その師弟愛に感動するその場に(たまたま)いた中忍達。

ナルト「使える奴は生かさず殺さずが基本だって死んだじいちゃんが言ってたってばよ」


「「「「「「「(三代目ぇ〜アンタ一体何教えてるんだ〜!?)」」」」」」」」


鈴鹿「・・・使えるんですか?」


「「「「「「「(突っ込む所はそこかよ!?)」」」」」」」」

ナルト「まああれでも上忍だし。」

鈴鹿「わかりました〜」



はたけカカシ
昔無碍にした生徒に逆に今無碍にされている悲惨な教師





***あとがき
今回のおまけSSネタは前から疑問に思っていた事です。
普通人間は電気に触れんって・・・・

サスケを黒こげにするよりカカシを泣かせた方が楽しいと気づいてしまった・・・・

どうしましょう!?(どうもせんでいいワイ)

今度サスケを泣かせてみようかな・・・・・・(ヤメレ)

今回の新里「雪」は完全オリジナルです。

映画の雪の国とは何ら関係ないですからね!!





後編第1話へ

KUROKUさんからいただきました!

後編序章。
ネジが活躍するということで、またまた先が楽しみでなりません!

私の感想を端的に……
・スイートポテト食べたい。<真っ先にそれか!?
・忍者の結界も葛葉ねえにしたらラップ程度の強度か…(苦笑)。
・雪の国での出会い、エピソードに期待vv
・やっぱりカカシいじめはツボです(笑)。
・サスケが泣かされる話もすごく気になりますv


最後に……
このお話KUROKUさんから貰ったのはけっこう前です。
UPしたつもりでしてなかったという大ボケかましてました(爆)
KUROKUさん、更新を楽しみにしてた方々、ごめんなさい!

2004/12/20