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(C)2003
Somekawa & vafirs

『旅の断片』

白いカラス

2004年 8月

福島 会津若松から宮城 仙台の道中。
気風のいいキャンプ場のおばさんに見送られ出発。
猪苗代湖をぐるりと回りのんびりした後、磐梯山ゴールドライン・西吾妻スカイバレーと駆け抜け、途中で最短距離を狙い三桁国道(酷道?)をひた走る。
しかし道を間違えたか?
雨が降り出し視界の悪い中どんどんと山のなかに。先の見えないヘアピン、高度が上がれば上がるほど視界を阻む霧。車一台通れるかどうかの細い道をうっそうと生い茂る木々の枝や葉っぱに身体を叩かれながらも走り続ける。
やがて じょじょに高度を下がり辿り着いたのが開けた田舎の一本道。
ガスが残り少なくなったところでようやっと農協のガソリンスタンドでガス補給。ハイオクは無かったがとりあえずレギュラーを入れる。
ホッと一息ついて仙台の従兄弟の家を目指す。
次第に夕暮れ。
辺りが雨のせいなのか、淡い藍色のフィルターがかかったような景色。ぼんやりとオレンジに瞬く外灯、田畑の途中にある民家の暖かそうな明かり。なんだかホッとしながらも、ひた走る。
数時間後、何とか従兄弟宅に到着。
合羽を脱ぎ、一苦労しながらブーツを脱ぎ、グズグズの自分の姿を従兄弟の奥様に恐縮しつつも、従兄弟の顔を見て思わず
「いよぉぉ〜〜うっ!」

2008年 9月

岡山 西大寺
知人の墓参りをし、知人が愛した町を何とはなしに散策した後、その日のキャンプ地に向かう。地元の方に伺いながらも無事夕方には小高い丘にある寺院の敷地内にあるキャンプ場に到着。
受付で、デッカイ黒い犬2匹に出迎え(強襲?)られた。
晩飯をこさえているとシトシトと雨が降り出し、テントの軒先にアマガエルが一匹雨宿り。
小さなお客さまにちょっかいを出しつつテネシーウィスキーの入ったスキットルを咥えていると、聞いたことも無い雄叫び?!
よおく聞くと、お寺の夜のお勤めのほら貝だった・・・!
翌朝、犬二匹においたてられながら、出発。
途中、備前日本刀の博物館に寄り道。実習で売店の手伝いをしている女子高生の素朴さにほっとしつつも、単車の調子が芳しくないため予定を切り上げ帰ることにする。
淡々と高速をひた走る。自分の影を見ながら走っていると自然とザ・バンドの「ウェイト」が頭のなかでリピートしていた。

2012年 9月

岩手 花巻
バイク仲間の顔を見に、そして2004年に廻った東北の地の「現在(いま)」を確認したくて。
ガス欠をかましながらも何とか夕暮れ前に目的地に辿り着く。
排ガスで薄汚れた自分を懐かしい顔が力強くハグしてくれた。
「太平洋側は見ておいて欲しい。人生観が変わるから」
酒を酌み交わしながら、彼は諭すようにそう言った。
覚悟はしていた。
もう一年以上経っている。
前回同様、三桁酷道を使いのほほんと走る自分に、現実は冷酷だった。
太平洋側にでたとたん、心臓がバクバク言い出した。
軽いパニックだったのだろう。
全てが更地。
瓦礫の山。
基礎しか残ってない住宅。
無残に捻じ曲げられた外灯・ガードレール。
低階がこそぎ落とされたような団地。
打ち上げられた船。
「なんだ?なんなんだいったいっ・・・!」
振るえが止まらず、涙も止まらない。
辛くなって、過去に廻ったところに行けなかった。
写真もやっと一枚だけ撮った。
そんな時、浄土ヶ浜で一人の青年に声を掛けられた。
「石川県からっすね!」
彼は250で石川からズゥ〜ッと下道で青森まで行き、今からまた下道で帰るとこだと!
大人の分別か「無理すんなよ!」なぁんて偉そうなことを言いつつも彼の元気に少し勇気を貰う。いや、多いにか。そして自分を省みる・・・。
その日は碁石海岸にキャンプした。
日も暮れてからの到着。他にはテントが一張り。まだテントの主は戻ってないようだった。
辺りには外灯も少なく工事中の道路が多いため夜食の買出しを断念。非常用に持っていたインスタント・パスタとトリスのポケット瓶で侘びしく晩飯を頂く。
何とも寝苦しい夜だった。
翌朝。キャンプ場に居ついた?猫に起こされ、偶然もう一張りのテントの方とお話できた。
60代のボランティアの方だった。
「初霜が降りる位までは居ようと思います。」
頭が下がる想いだった。

また、旅に出たい。

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