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(C)2003
Somekawa & vafirs

バーボン・ロブロイ・そしてブルース

山 和史

初めてロブロイへの階段を上ったのは、今から20年ほど前になろうか。
ある夏の日の夜の出来事であった。

その頃はバーボンを売り物にしている店が金沢では未だ少なく、当時、仕事でアメリカに何度か行っているうちにバーボンの虜になっていた僕は、何の事前情報も持たぬまま、「Bourbon&Scotch BAR ROBROY」の看板に引き寄せられるように店に入っていった。

狭くて急な階段を上り、恐る恐るドアを開けるとそこには、大きなL字型のカウンターがその存在感を誇示し、その後ろには、見たことも無いようなボトルの数々が、所狭く、しかしながら整然と並べられていた。

 「いらっしゃい」とマスターの声。
 第一印象は...よく覚えていない。帰り際に勘定を見て、悪い人ではなさそうだと思ったのは覚えているが...。

その日はたまたまマスター一人であったが、当時はもう一人たかちゃんという女性が店に出ておられた。このタカちゃんは富山弁を操る万葉集から抜け出してきたような美人で、時々、昔習ったらしい横笛を吹いて聞かせくれた。

楽器については、横笛の他にも狭い店の一角に、ギターと譜面台、マイクにリズムボックスがあり、興が乗ってくると、マスターが弾き語りを聞かせてくれた。

マスターも僕も、今では、ブルースとか何とか言っているが、当時はマスターが岡林で僕がボブディランである。それに時々タカちゃんが横笛で合わせてくれる。
今でもそうだが、大体このような状態になると明け方まで帰らせて貰えなくなり、次の日は酷い目にあうことになる。

マスターと二人でバンドみたいなことを演りだしたのは、その数年後で、最初はマスターがギター、僕がベースとボーカル、これにリズムボックスを伴い、この編成でのデビューは確か竪町にあったライブハウスでの合同ライブで、演じた曲はMuddy WatersのManish Boy 1曲のみ、使ったコードはEのワンコードのみ
なので、殆ど弦を押さえる必要のない省エネライブであった。

この後、レパートリーは飛躍的に増えていき、加賀中央公園でのイベントや、山中温泉の秋祭り、福井大野のライブハウスなど精力的にライブ活動を行った。この頃になると使えるコードも3倍のスリーコードとなっていた。

金沢のOtis Rushこと蔵さんと出会ったのはその後である。
当時蔵さんは、昼間は幼稚園の先生だが、夜は金髪にガードル姿のマドンナと変化するゼルダという女性ボーカルのバックバンドをやっていた。
 (一度、能登島のペンションでバンドメンバーが家族連れで集まり、合同ライブを遣った時に、子供の前でゼルダさんがガードル姿になり、慌てた事も懐かしい思い出である。)
これに金沢のSonny Boyことハープの谷さん、ドラムの高木さんも加わり、金沢最強ブルースバンドBlues Rob Bandの結成である。この編成では、もっきり屋、Big Pink等々で演らせて頂いた。

この時期には、金沢に潜んでいた隠れブルースマンとの出会いも多かった。
幻の金大ブルースバンド「イモタ堂」元所属のロバート木越ジョンソン、今じゃアメリカに移住してしまったラスベガス菅井さん、久しぶりの再会、幼馴染の闇夜のカラスことワッチャン、アメリカンロックの教祖、佐津川さん、今はジャズに転向されたモージョ小田さんや千晶ちゃん、ブラスの本間ちゃん、etc・・・。

この後、僕はアメリカに長期出稼ぎ(駐在とも言う)に転じ、Blues Rob Bandとは暫しお別れ。出発前にマスターに主催して頂いた「山ちゃん、お別れパーティ」に感謝!

因みにこのロブロイ日曜演奏会はその後恒例となり、年に1,2回のペースで今も続いている。この会でも、ヒルビリー熊谷さんや、バンクマン舗さん、ダウンホーム端野、等々の出会いがあった。ロブロイなしでは有り得ない出会いである。再び、感謝感謝!

今ではブルース熱も小康状態となり、ギターやマイクも酔客に何か演ってくれ、と言われるのが嫌で隠してしまったロブロイであるが、偶然に古い仲間がロブロイのMojo Hand(魔法の手)に引き寄せられるように集まった折には、久しぶりに触るギターに恐る恐る手を伸ばして、しかしながら年輪(自然発生的に身についたのだが…)を感じさせるブルースが奏でられる。

この前のマスターのお言葉
 「40,50はまだまだブルースマンとしては子供。60歳超えてからが勝負」

あと十数年あるが、その時には、未成年(60歳以下)入場禁止の演奏会をロブロイで開いて欲しいものである。
しかし、そのときにあの急な階段を無事上って来れる人が何人いるのだろうか?
帰りの階段もかなり危険を伴う。エレベータは無理でも、せめて手摺をつけるくらいの配慮が必要に思える。

それでは、その時に皆さんと乾杯できることを楽しみにして、お互い、階段を上れるくらいの体力は残しておきましょう!

 バーボン、ロブロイ、そしてブルースに 乾杯!

<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。