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(C)2003
Somekawa & vafirs

さすらいダー

中川 光

私は自分の事を「さすらいダー」と称する。

日本全国をバイクでさすらうライダーだから。 日本国内47都道府県全てをバイクで走った事が有る。 現在分割日本二周目。 先月広島・山口県とGWの休みで走って来たので、それも残すところ後青森・岩手・秋田・沖縄の4県となった。

バイク乗りになって早22年。 乗り出してから直ぐにさすらいダーになった訳では無い。 日本を周り出したのは30歳の時。 失恋による傷心旅行で北海道を旅したのがキッカケである。 それも、その時は車旅だった。 バイクでのツーリングは乗り出して以来ずっと好きなのだが、小心者の私はそれまで泊まり掛けで出掛けた事は一度だけ。 バイク仲間と鎌倉へ1泊2日で行ったのが唯一で、後は日帰りツーリングのみ。
ソロでの初めての旅行が傷心旅行の北海道だったという訳。 その時はただ単に気分を癒すと言うか現実逃避するに当たり、なんとなくそんな時は北へ行くかな?なんて思い、ついでにそれまで公私共に千葉より北に行った事が無く、北海道は一生の中に一度くらいは行きたいな、くらいで思って居たので、それならばこの機会にと行った訳。 これがとても楽しかった。

一人旅と言うのは誰彼に気を使う事無く、自分の行きたい様に、したい様に出来る。 そしてそれは私に物凄い開放感をもたらしてくれた。 お陰で傷心もそれから暫くは吹き飛んで。 翌年の夏休み、また北海道に出掛けてみた。

初めての一人旅の時は取り敢えず行く前に宿の手配はして行ったのだが、宿を予め手配するという事は必ずその夜にはそこへ行かなければならない、という「縛り」を作る。 完全に気ままな旅という訳では無い。 そこで二度目の北海道は事前に宿を手配せず、夕方前に公衆電話の有る所に寄り、そこに有るイエローページで近所の旅館を捜して飛び込み、宿泊をする遣り方にしてみた。 すると行く先を決めなければならないという縛りが消えて、更に旅が楽しくなった。 しかし・・・車は確かに天候に左右されず安心感も有るのだが、立ち寄る先に駐車場が無かったり、高い駐車代を取られたり、ちょっとここで止まりたいと思っても停められなかったりと、また不自由感を残す結果となった。

三年目の夏、今度はバイクで北海道へ出掛けてみた。

細い裏路地にも入って行き易く、宿も駐車場が無い様な安宿にも泊まれる。 また、フェリー代、高速代、ガソリン代などの経費が、トータルで車を使う時と比べて半分以下で済む事が分かった。 特に北海道ではライダーハウスと言うバイク乗り向けの超安宿が有り、千円前後で泊まる(素泊まりだが)事が出来るので、後で懐に優しいのだ。 またバイクであるから故、肌で空気を、風を、匂いを感じながら走る開放感は車での旅と比べると絶大だった。 そこから私のさすらいダー人生が始まる。

三度の北海道で味を占めた私は、今まで行った事の無い場所に無性に行きたくなって来た。 見た事、味わった事、感じた事の無い、自分にとって未知の世界を体験したいという衝動に駆られる。 知的好奇心を満たし、尚且つ非日常での開放感を味わう為にバイクでの泊まり掛けツーリングを各地に向けて敢行する様になったのである。 バイク旅に出る様になり、次第に慣れて来ると現地調達する宿を取るのも面倒になり、ならばテントを持って行って野宿すればイイじゃないか、となった。

初期投資は要ったが、これで更に旅の費用も安く上がった。 北海道の様なライダーハウスの無い地域では、安宿と言っても3〜5千円は掛かるもの。 それがタダになったのだから。 旅費が安く上がるというのは何度も旅をする上では大きな枷を取り払った。

キャンプ場など有料の場所なんか勿体無い! 遣ってみて思うのだが、道の駅や人気の無い郊外の公園で充分。 雨で大変な目に遭う事も有るが、旅を終わってみれば苦労した事もまたいい思い出として残るのは嬉しい誤算。 平穏無事でただ見て周るよりも何か有った方がそれはそれで「後で楽しい」のだ。

朝からめいっぱい走って、好きな所を周り、現地の本場モノを好きなだけ食べ、気ままに寝て、懐の痛みも少なければ、独り者の私は休みが取れる限り欲求の赴くままだ。 仕事漬けから開放されて気分のリセットにもなり、生きる活力も湧いて来る。 どんどん行っていない場所へ行っていたら、何時の間にか47都道府県周ってしまった。
しかし全都道府県へ行ったからそれで終わりという訳では無く、まだ行っていない場所は、狭い日本と言われてはいるが、実際は無茶苦茶広くて沢山残っているものだ。 もうすぐ47都道府県踏破2ラウンド目が終わるが、まだまだ行く所は有り余る程残っている。 さて次は何処へ行こうか?

私はまだこの先も、当分さすらいダーです。

<ロブロイストの日々>  毎・月始め更新いたします。